映画『なぎさ』初日舞台挨拶。皆さんの助けがなかったらこの映画はできていない。

映画『なぎさ』初日舞台挨拶。皆さんの助けがなかったらこの映画はできていない。

5 ⽉ 12 ⽇(⾦)、国内外の映画祭で注⽬を集める古川原壮志監督の⻑編デビュー作『なぎさ』がテアトル新宿ほか全国順次公開。テアトル新宿では、満席の中、初日舞台挨拶が行われた。登壇者は、青木柚、三上紗弥、髙橋雄祐、蜷川みほ、古川原壮志監督。MCに松崎まことを迎え、撮影時のエピソードを語った。

なぎさ

■ 映画『なぎさ』 初日舞台挨拶

▼上映初日を迎えた感想

MC:松崎まこと
この『なぎさ』という長編は、幼少期ぐらいから古川原監督の少年期・青年期を通じて20年ぐらいかけて熟成したものを長編にしたというふうに伺っています。改めて20年の溜まったものを作品にして、こちらのテアトル新宿にかけ、初日を迎える今日のこの気持ちを伺いたいと思います。

古川原壮志監督
物語のテーマ「喪失」というものについて20年前、本当学生時代からちょっと取り組み始めているアイディアとして書き出していて、それをプロット脚本という形にしていくのがちょっと時間かかってしまっているんですけれど、合間に短編も作りながら、どうこのテーマに向き合おうかと思い、リサーチし、映画も研鑽を重ねながら進めてきて、ようやく今日、劇場公開を迎えられるというのが本当に一つの人生の転機だなと思っています。

なぎさ
古川原壮志監督

▼本作の主役・文直に対し、どのように臨んだか

MC:松崎まこと
古川原監督の20年の思いがこもった作品の主役・文直を演じた青木さんは、監督の思いをどう受け止めて、どういうふうにこの文直に臨んだのでしょうか?

青木柚
文直を演じさせていただくことになったのは、オーディションでした。オーディションの段階から監督の思いは肌で感じていましたし、撮影中も佐賀のホテルで一対一でタイマンで撮影中にすごくいろんなディスカッションしていたので、とても思い入れが強いです。
文直を演じるに当たっては、いろんな愛情の形があると思うのですが、今回ほど複雑なその種類の形のものを演じたことがそんなになかったので、最初はすごく不安には思っていました。けれども、監督の思いもそうですし、脚本に込められた文直の切実さや脆さ、いろいろなものが自然に心の流れが脚本に詰まっていて、僕もこれを演じることができたら、自分の中で何か大きな変化があるんじゃないかなって思ってクランクインした記憶があります。

1人の人間を演じるにあたって、繊細なこの時間の積み重ねは『なぎさ』ですごく濃い時間を過ごさせてもらいました。どんなに出演時間の少ない役でも、文直みたいに濃い時間を過ごしてきた1人という感覚・経験を『なぎさ』でいただいたということだと思います。

なぎさ
青木柚 (文直 役)

▼撮影当時、小学生だった山﨑七海さんとのやり取りは?

MC:松崎まこと
撮影当時、小学6年生の山﨑七海さんと、文直となぎさというかなり難しい兄と妹の関係性をつくり、演じるにあたって、どんなやりとりをされましたか?

青木柚
役から離れた状態では、そんなにたくさんお話をしたわけではありませんでした。七海ちゃん自体はすごくしっかりしている子だったので、僕が「ここはこうやるんだよ」とか、そういう面で気にかけることは特に必要としないくらい自分の足で立たれている方だと思いました。
なので、撮影以外はそんなにお話しをしていないんですけど、撮影中はとにかく、なぎさと文直としてというか、そういう濃い時間を。そのときにしかない七海ちゃんのきらめきみたいなものを、もうずっと感じながら、自分も刺激を受けながら撮影した思い出です。

なぎさ


▼役を演じるにあたって自分で考えたこと、監督から言われたこと

MC:松崎まこと
稲川さんの役も文直と同じく、事故で愛する者を失って我を失っているような役ですが、演じるにあたって自分で考えてこうしようと思ったことと、監督からこうしろと言われたことがあったら教えてください。

蜷川みほ
まず皆さんは、私がどこに出ていたのかなと思ったのではないかと思っています。
私は今回のような役が多いんです。最初にお話が来たのが中島哲也監督の『来る』という映画に出たときに、キャスティングプロデューサーの方から「もうこれは蜷川さんしかいないと僕は思うんで、ぜひいかがですか」ってお話をいただいたんです。
その後監督とお会いして、カメラテストもやらせていただいて、それで出演させていただくことになったんですが、その途中の段階で監督が「この役は顔も含めてシルエットだけにしたいと言ってるんですけどいかがでしょうか?大丈夫でしょうか?」と、ご丁寧に連絡が来たんです。
私は短編の『なぎさ』も見せていただいて、脚本も読んでとても素晴らしかったので、「それはもうもちろんぜひ参加させてください」って言ったんです。
仕上がりを観たら、本当に素晴らしくて、そういった監督の英断・決断力が作品を素晴らしいものに作り上げているんだなと思って、本当にこの作品に参加させていただいて、光栄に思っています。

青木柚さんが本当に入り込んで、すごかったです。役に入り込んでガタガタとカラダが震えるくらいで大丈夫かと心配になりました。今日会って笑顔をみて、良かったと思いました。

なぎさ
蜷川みほ (トンネルの母親 役)

青木柚
蜷川さんにトンネルでお会いした時に、マジでめっちゃ怖かったです。それで震えていたかもしれません。

▼車内のシーンの二人の演出は?

MC:松崎まこと
柚くんが演じる文直の職場の先輩・同僚役の二人の髙橋さんと三上さんは、ドライブに誘って車内でずっと喋っていますが、あれば演出ですか?

古川原壮志監督
僕的には演出ですけど、本の通りにしたくないというか、高橋くんと三上さんのキャラクターが素晴らしいと思いました。入れたい情報・ポイントはあるんですけど、そこにプラスアルファを入れて生々しくしたかったんです。まさか幽霊が出るとは思わないみたいな感じを入れたかったんです。

MC:松崎まこと
あれはアドリブ?

髙橋雄祐
脚本もありながらその間をアドリブで埋める感じです。

なぎさ

古川原壮志監督
オーディションの時から、二人はあのノリだったので、すんなり撮影できました。

髙橋雄祐
オーディションが一緒だったんだよね。

三上紗弥
元々、オーディションが一緒で、監督が頭の中に描いてるシーンをこうやってっていう感じで、監督の与えてくれるイメージ図みたいなものがすごいわかりやすかったです。

なぎさ
三上紗弥 (ゆか 役)

髙橋雄祐
僕も、「そのまんまで」と言われていたので、やりやすかったです。

青木柚
あの車のシーンは、何度も撮った記憶があります。何回も行ったり来たりして、僕は後ろの席で外を見ているだけですけど。「あっさり終わったんです」みたいな感じにとらえられているんだと思いました。僕はもう、長くて長くて…。

▼撮影地はどこ?

MC:松崎まこと
あのトンネルの撮影地はどこですか?

古川原壮志監督
あれは佐賀の山奥です。ロケ地は佐賀がメインで、佐世保市とあと東京で撮っています。佐賀は撮影しやすいです。フィルムコミッションの方にご協力いただいて、うん、あの協力なしでは全く撮影できませんでした。
大学のシーンがあったと思いますが、あれもあの大学しかなかったんです。佐世保の大学の先生に協力していただいて、学生も含め、皆さんの助けがなかったらこの映画はできていないです。

▼古川原壮志監督からのメッセージ

古川原壮志監督
今日は初日ということで、たくさんの方に来ていただいて本当にありがとうございます。これからテアトル新宿様で上映の方は続いていくんですけれども、地方、また他の追加劇場とかも、徐々に情報を解禁していきますので、それを景気付けるというか、盛り上げるためにも、引き続き拡散だったり、周りの方への声がけや感想を SNS に上げていただければ、僕がぜひチェックするのでご協力いただけるとありがたいです。引き続きよろしくお願いいたします。

なぎさ
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青木柚 山﨑七海

北香那 日向丈 宇野祥平 蜷川みほ 三浦誠己
脚本・監督 古川原壮志


プロデューサー:明里マミ
撮影:石田遼 美術:秋葉悦子 照明:神山啓介 録音:小川武 衣装:一宮理紗 ヘアメイク:伊藤聡
キャスティング:元川益暢 富岡萌 ラインプロデューサー:早川徹 助監督:宮本忠栄 制作担当:多賀典彬


協力:佐賀県フィルムコミッション 制作プロダクション:フラッグ
配給:アークエンタテインメント
Nagisa-film.com

2023 年 5 ⽉ 12 ⽇(⾦)テアトル新宿ほか全国順次公開

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