2023 年 5 ⽉ 12 ⽇(⾦)、映画『なぎさ』がテアトル新宿より全国順次公開決定。本作は国内外の映画祭で注⽬を集める古川原壮志監督⻑編デビュー作。主演映画が相次ぐ⻘⽊柚& 撮影当時 12 歳の山﨑七海の鮮烈な存在が光る。
また、4月29日(土)には、映画『なぎさ』公開を記念したイベントの開催が決定した。
今回、古川原壮志監督にお時間をいただき、本作制作のきっかけや経緯、テーマについて掘り下げてお話しいただきました。
■映画『なぎさ』古川原壮志監督インタビュー
▼映画『なぎさ』の制作のきっかけについて
-本作制作についてきっかけや経緯についてお聞かせください。本作の制作について古川原監督は「アイディアは学生時代で、20年ほど前」とコメントされているのを拝見しました。
古川原壮志監督
振り返ってみて一番大元だと思うことは、僕が小学生だった頃の祖母、そして祖父が立て続けに亡くなった時のことになります。僕は生まれてから小学生低学年くらいまで長崎県佐世保市に住んでいました。4歳の時に、まず祖母が亡くなって、初めて人が亡くなることを経験しました。
祖母が亡くなった時の祖父の後ろ姿や、祖父母という大切な人を亡くして残された母の姿が強く脳裏に焼き付きました。当時の僕は、人の死が何なのか理解できていなかったのを覚えています。祖母が亡くなった時に、葬式で泣いていなかったのは僕だけだったんです。一生懸命に泣こうとしたことが記憶にあります。
祖父が亡くなったときに、初めて大切な人を亡くして残された感覚や感情のようなものを自分で感じることができたという経験がありました。それが恐らく脳裏に焼き付いていると考えています。
その後、僕は家族みんなで東京に出てくることになったのですが、それが僕の中で、“人間の普段は見えない姿”や、“真実の一片“といった点に心を惹かれていると認識した出来事であり、一番大元のきっかけだと思っています。
僕は学生時代に渡米して、アメリカで映画学部に属して勉強していたのですが、授業でも調べていても、有名な監督の方の言葉でも、パーソナルなものが強いということが述べられていました。自分にとって何が原点で、一番の根幹なのかと考えたときに、幼少期に受けた感覚・イメージが、“残された人の姿”でした。最初はアイディアレベルだったのですが、それを書き連ねて、プロットとして形作っていきました。
-コメントでは「20年前」となっていましたが、その大元になる経験は、小学生時代まで遡るんですね。
古川原壮志監督
そうですね。それはもう無意識な感じのものになるのですが、僕の中で当時の経験が色濃く思い出されますし、一番強く焼き付いていて自分の根幹だと思います。
▼長編制作のための短編製作について
-今回上映される長編作の『なぎさ』には短編作の『なぎさ』がありますが、短編作の長尺化というスタイルでは制作されていないと思いました。「長編をつくるために短編をつくった」といったコメントを東京国際映画祭の質疑応答でお話しされていましたが、その意図や目的、短編『なぎさ』を長編『なぎさ』より先に作ったことによってどういった効果があったかをお聞かせください。
古川原壮志監督
短編『なぎさ』は、まさに長編『なぎさ』を作るために作ったものです。短編『なぎさ』を制作した時に、長編『なぎさ』の脚本を書いていて、改稿を続けている段階でした。
当時、煮詰まっているところがあって、書けば書くほど、修正すれば修正するほど、どこへ向かえばいいのか模索して迷っている状況でした。実際にこの脚本を映像として仕上げる上で、このテーマをどう昇華するか、どう映像で伝えるかを実験というか、まずは作ってみようという感覚で、このテーマで短編を作ろうと思って作ったのが一番のきっかけです。
やはり、長編の物語をつくるとなると、費用面等いろいろな意味で大変なことにもなりますし、まずは、このテーマを撮りたいというのが一番の思いとしてあったので、このテーマを軸として短編を作ったことになります。
実際作ったことで一番良かった・得たものというのは、「長編に持ってくることが出来たな」ということを感じています。その後の改稿作業にあたって、新たな方向に向かえたような思いがして、その後すぐに脚本をすっと書くことができました。短編『なぎさ』を作ったことは、脚本を書く上で良い影響でした。
映画祭でいろいろな場所に行く機会を得られたことも大きな効果でした。短編『なぎさ』を作って釜山国際映画祭に行くことができたことは、僕の中で刺激が強くて大きな影響がありました。世界の中で僕と同じような初監督に出会ったり、お金がない中で映画を作っている方の思いをまざまざと感じられたことが良い経験になりました。
また、映画祭に参加できたことで、映画関係の方や映画編成の方、映画評論家の方々に、短編『なぎさ』を好んでいただいて、「その先どうするのか?」といったお話までできて、想像以上に僕の視野が広がったと思っています。
-作品ができないことには、一歩も先に進めないですものね。
古川原壮志監督
そうなんです。「そこでどういうふうに映像で伝えたいか」、「このテーマにどう向き合って表現していくのか」ということが、一度、映像という形にすることで、一つ明確になることを感じました。
▼キャスティングについて
-青木柚さんと山﨑七海さんのキャスティングについて教えてください。
古川原壮志監督
2人ともオーディションで選出しました。選出の決め手としては、文直役の青木柚くんから言うと、まずコロナの真っ只中で、誰もがどうなるかわからない不安を抱えているとともに、緊急事態宣言が初めて出されたぐらいの時期で、キャスティングは非常に難航しました。コロナウイルスの状況を鑑みて、オーディションを1回ストップすることがあった中で、ようやく青木柚くんにたどり着けました。
青木柚くんは、本当にお芝居が素晴らしくて信頼がおけるのと、彼自身が持っている繊細さ・ナイーブさが、文直にとてもマッチすると思いました。尖っているナイフのような繊細さというか、ちょっと触ったら切れてしまいそうな部分とか、彼のそういういた幼気な様子がにじみ出ているのを感じて、是非、柚くんにお願いしたいと思いました。
なぎさ役の山﨑七海さんに関しては、柚くん以上に難航しました。最後の最後まで、正直悩んだのが本音です。物語の“なぎさ”という役が、僕の中では中2から中3ぐらいの子だといいなという想定でした。『なぎさ』は、話的にとても複雑な環境下で育った女の子です。撮影時の七海さんは当時12歳でランドセルを背負っている小学生でした。この役を小学生にお願いするのはちょっと違うんじゃないかと思いました。
ただキャスティングの際に、「この子も見てみたら?」ということで、実際に会ってみたら、「いいな」と思ったんです。この話にマッチするようなあっけらかんとした、ちょっと獣っぽさ、こどもらしさが感じられたんです。オーディションの時にいきなりギャン泣き・ワーッと泣いて、面白い部分が垣間見えて、とても素晴らしい素材だなと思ったんです。
けれども、やはり小学生というのが、僕の中では最後までネックで、最後の最後にプロデューサーと相談して、彼女ができないという話だったら、今回はもうできないぐらいの状況で、そこで僕は七海さんに親御さんも含めて、作品の内容をきちんと説明・相談した上で決めさせていただきました。
撮影前、撮影時、全て含めて、七海さんの対応・どうケアしていくかが、僕の中で一番大きな問題でした。未成年というかこどもなので、対応に気をつけないと彼女を傷つけてしまいかねないと思ったんです。それはもう、周りのスタッフも僕自身もとにかく気を遣ったところで、それが一番大変でした。
▼撮影地について
-主な撮影地に監督のご出身の長崎県やその隣の佐賀県が使われていますね。
古川原壮志監督
長崎県佐世保市と佐賀県で撮影しています。おっしゃる通り生まれ故郷である長崎で撮影しようという考えの他にもいくつか理由があります。長崎の佐世保は佐賀の唐津に近く、方言的にも長崎市よりも似たものがあり、文化的にも近いものがあります。
場所を探してロケハンしていく中で、長崎県と佐賀県をぐるっとロケハンした時に、「ここしかない!」というトンネルがまさにあのトンネルでした。それが一番大きかったと思います。もちろん長崎県そして佐賀県フィルムコミッションの方に協力していただいて、今でも助けていただいています。また長崎国際大学、そして尾場均先生の多大なご協力がなければ撮影しえませんでした。本当にみなさまに感謝です。
▼本編に映る写真について
-劇中に登場する大学の授業のシーンで、長崎で撮影されたジョー・オダネルの「焼き場に立つ少年」の写真が映る瞬間があり、古川原監督の出身地と関係した想いを感じました。
古川原壮志監督
オダネル氏のあの写真は、僕も見たときにすごい衝撃を受けました。下の子を背中に背負っている男の子のある意味凛々しい姿ですが、瞬間の1枚で表現する悲しみを感じました。まさにこの映画のテーマにも通じるものとして、映画の序盤にぜひとも入れたいなと思ったのが一番大きな理由です。下手に説明する必要がないし、説明を下手にしたくもないというか、あくまで一つの要素として、見る者を惹きつける写真の力の存在も入れたいと思った次第です。
▼兄妹、過ごす場所、歌について
-文直となぎさという兄妹関係があって、幼い時の二人の生活や記憶が作品に盛り込まれていると思いました。
押し入れや、歌、食事作りなどの要素がありましたが、これに纏わるエピソードを教えていただけますか?
古川原壮志監督
このあたりのエピソードは、僕が脚本を書く上でリサーチを幾つかしているんです。
虐待に遭うこどもたちのリサーチをしていまして、あるこどもから、自分の居場所が押入はもちろんのこと、家の中にないという話がありました。家の軒下に自分のものを置いて、そこを自分の家・部屋にしている子であるとか、自分の逃げ場を作るというエピソードがいくつかあったんです。
その中で、この兄と妹の主人公の二人の逃げ場、二人だけの世界の場所をどこか家の中に作りたいと思って、押入という設定で、フィクションではありますが作っているんです。押し入れの中って、小さい頃に親に怒られて中に入れられたりだとか、ふざけて遊んで友達と入ったりしたこともあると思うのですが、真っ暗なので、そういうところで懐中電灯を使ったり、シールをペタペタ貼ったり、落書きしたりというのは絶対に行うことだし、想像できることだと思うんです。
僕も冷蔵庫にシールをいっぱい貼っていたなとか、そういうことも思い返しながら、暗闇の中にちょっとした光が見えるということについては、星のシールを貼ったのは僕の思いとして入れています。
劇中で歌う「ベーコンパンケーキの歌」は最初に台本を書いたときから変えています。
最初は“ドラえもんのものまねをしている…”とかにしていたのですが、急遽変えました。「二人でこういう歌を歌うんだったらかわいいね」という話でプロデューサーも含め、僕もこっちでもいいと思ったのでこちらにしました。あと、七海ちゃんの歌声がかわいくて、いい具合だなと思いました。
▼風鈴づくり、餃子づくりのシーンについて
-風鈴づくりや、餃子づくりのシーンはいかがですか?
古川原壮志監督
正直に言うとこれは装置というか、2人のお芝居のシーンをするときに、あまり台本通り・杓子定規に綺麗に台本をなぞることよりも、2人で何かをしているということがドキュメントというか、流れの中で撮影したいという思いがありました。
何かのアクティビティをいくつか入れようと思って、風鈴作りを2人で共同でしてもらって、長回しで撮影してみました。
▼音について
-短編『なぎさ』でも、長編『なぎさ』でも、ループする音が印象的でした。
古川原壮志監督
音のループに関しては、短編『なぎさ』ではプールの音というものがあります。
短編『なぎさ』の場合は、川向こうと川のこちら側のような、彼岸と此岸(しがん)みたいな思いもあって、プールサイドでは、生きている生徒たち・クラスメイトたちは、プールの向こう側を歩いていて行くんですけど、手前のこちら側は死者の世界。文直は死者の方のそばに寄り添っているという感じでプールの音を入れています。
反復感とかループから、心音だったり、胎児が聞く初めての音だったり、ループする水の音って安らぎを感じると思います。記憶も繰り返されるという意味で、ループしていくと思います。
今回の長編『なぎさ』では、主人公の記憶をたどるというか、心の旅・過去への旅といった部分が強いと思っています。あのトンネル自体、歩くシーンは、ある意味、記憶は同じシーンを繰り返すといった意味合いで音もループさせています。それは呼吸音も足音も水音もそうなんですけど。
そういった過去へ戻る過程に聞こえてくる・胎児へ戻るといった、過去へ戻っていくこどもの小さい頃のなぎさとの愛情関係、母と子の愛に近い部分もあると思っています。原点というか、根源へ帰るみたいな意味で音をループさせている思いがあります。
▼色について
-音に加えて、色も印象的でした。トンネルの赤や、なぎさが好きだという青が特に印象が強いのですが、色に対する考え方について教えていただけますか?
古川原壮志監督
大きく意識していたのが、赤と青の2色です。
この話自体がこちら側とあちら側だったり、現在と過去だったり、長崎と東京だったり、大きくは二つの世界を表していると思っています。
色自体も赤と青をその二つのメインのカラーとして考えています。
赤は、怒りというのが一番感情としては強いものであって、妬みなのか嫉妬なのか怒りなのかという、文直自身がなぎさに対して、憤りのようなものを感じてしまったのもそうだし、彼自身が罪悪感で抱えているなぎさからの怒りとか、それは彼が想像しているものですけど、そういったときに赤というものは意識的に入れてあります。
青は、赤の逆に存在するというか、安らぎや落ち着いたピースフルな世界、風鈴のシーンがそうなんですけれど、そういったところで対極のものとして、血も赤と青があるというか、その感情も含めて対比させて映画の中で散りばめています。
▼暗い画面とバックショットを使った表現について
-東京国際映画祭でも、「想像力を働かせてほしい」といったメッセージを残されていたと思います。全体的な画面の暗さやバックショットが多かったと思うのですが、その狙いや効果についてお話をお聞かせください。
古川原壮志監督
この映画自体がパズルのような構成というか、主人公文直の心の旅を一緒に体験するという形に近いと思っています。
彼自身が実際に何を見たのかというと、なぎさと電話している時に渚がどういう表情をしていたかは彼は見えないわけです。また、父親の後ろ姿をみても父親が何を考えていたのかそのときどういう顔をして仏壇に向かっていたのかも彼は見たことがないものになります。
それは彼は想像するしかないわけで、それを同じように観客の方とも同じ情報の上で想像してもらいたいという思いで、バックショットは多用している部分があります。
暗闇が多いのも、見えないものを見ようとしているという部分が大きいです。表情が直接的に見えないっていうのも含めて、お母さんのおなかの中にいるときに、音だけ聞こえてくるあの頃に帰っていく中で、朧おぼろと過去のシーンが見えてくるみたいな、彼が実際あの真っ暗な暗闇の中で1人いた時間、音だけ水流の音だけがするというものを、観客の方と一緒に共有したいっていう思いがあったために暗闇のシーンが多いかなと思っています。
▼劇中のセリフの中に登場する「きつねの窓」について
-劇中のセリフの中に登場する「きつねの窓」という小学校時代の教科書の題材は、今までお話を伺った中で、本作のテーマとの共通点があり、大きく影響を与えたものではないかと思うのですがいかがでしょうか?
古川原壮志監督
おっしゃる通り「きつねの窓」の話は、描きたかったテーマと重なる部分です。僕が小学生の時に読んだ中で一番好きで、今でも心に残る物語です。そして自分の根源に関わってくると思っています。
振り返ると自分が心惹かれるものをテーマとして扱っていると思うんです。喪失とどう向き合うかという、その折り合いの仕方というか、「きつねの窓」も、子ぎつねの折り合いの仕方と、主人公の狩人のそれに対する向き合い方や、そこに何か明確な彼ら自身の答えは定義しなくても彼らがどう捉えているかっていうのが、小学生対象の物語ですが、それがそこはかとなく感じられると思います。
それもまさにオダネル氏の写真と同じで、要所要所でそういうテーマを無意識に再認識できるような要素として入れたいと考え、配置したところです。
-「きつねの窓」でも青い色が印象的なので、『なぎさ』とのつながりを感じましたね。
文章である物語であれ、映画であれ、色を想起させると、強いイメージが残るということを意識しています。どういった映像であれ、僕はやっぱり色も想像できるというか、ぱっとイメージが広がるような色の使い方が個人的には好きで、それを一つの到達点として考えて、要素として入れているところがあると思っています。
▼撮影時のエピソードについて
-青木さんと山﨑さんの撮影時のエピソードがありましたらお聞かせください。
古川原壮志監督
まず柚くんからいくと、コロナウイルスの影響で、準備の時間も含めて時間がない中でやらなきゃいけないというのがありました。でも柚くんの演じる文直というキャラクターは最も複雑です。
そこを理解してもらう・到達するのが、撮影が始まってしまうと難しいと感じて、東京から九州に移動する間の2日間でもリハーサルをして、いろいろと詰めました。彼にはかなりのオーダーを出しました。トンネルのあのシーンが大切なのでそこで限界までやってもらうというか、その果ての果ての様子を撮影したい思いでした。そしてそれを実際に使っています。
実際は映画に使っている部分以上の崩壊する様子みたいなものまで撮影していて、それはだいぶ無理させてしまったと思っています。見ているこっちがごめんね、でもありがとうと。
やりきってもらって柚くんには本当に感謝ですね、もう彼で本当に良かったと思います。
七海ちゃんの方は、さきほどもお話ししましたが、小学生であることが撮影前から胃がキリキリしていました。
彼女がそこまで絡むところが直接的ではないにしろ、どうしても性描写が多い部分が表現としてあるので、その説明の仕方に加えて、実際にどういうアクションをさせるのか頭を悩ませました。
それはアングルもだし、伝え方一つ、言葉のかけ方にしても、すごい気にしました。七海ちゃんが関係するシーンだけ絵コンテを書いて、事前に事務所の方含め、親御さん含め、ご説明した上でどこまでどうしよう、本人にどう話そうっていうのももちろん相談した上で撮影に臨んでいて、それでもやっぱり心配でした。
とはいえ撮影が始まると、より良いものにしたいという思いが強く、自分の中でアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じがありました。自分の中でタガが外れないように、七海ちゃんのことは本当に気をつけるようにしたのが、僕として一番気を遣ってつらかったところです。
■お客様へのメッセージ
-お客様へのメッセージをお願いします。
古川原壮志監督
この映画「なぎさ」は象徴的な要素が多いと思います。また、パズルのように進む構成で率直に言うとわかりやすい映画ではない気がします。
話としては主人公・文直とともに彼の心の旅を経験する、そんな一人称視点ともいえる映画となっています。ジャンル自体もひとくくりにできないものにあえて構成してあり、ジャンルが変化していく形式をとっています。
1人の人生を描くときに、それはそこには様々なジャンルが存在するだろうと僕は思っています。そういう意味でもジャンルをオーバーしていくような構想なので、映画の最後まで、主人公・文直の心の旅の終着点まで、観客の皆様とご一緒できれば幸いです。
僕の場合は、祖母を失った祖父の後ろ姿を幼い頃に見たときの感覚なのですが、皆さん誰もが大切な方を失った人の後ろ姿というものをどこかで経験してきていると思います。そして同時に自身も誰か大切な人を失っている、その後ろ姿でもあるのだとも思います。
少しでもその時に感じた空気を皆様とご共有できれば良いなと願っております。
■【4月29日(土)映画『なぎさ』公開記念イベント開催】
4月29日(土)、学芸大学、路地裏文化会館C/NEでは、国内外の映画祭で注目を集める古川原壮志監督の⻑編映画デビュ ー作『なぎさ』の劇場公開を記念した短編映画特集上映会が開催される。
東京国際映画祭 Nippon Cinema Now部門、サン・セバスティアン国際映画祭 New Directors部門、トリノ映画祭 国際長編部門 特別表彰など、各映画際で高い評価を得た『なぎさ』がいよいよ5月12日(金)からテアトル新宿より全国順次公開されます。
今回の公開記念イベントでは、古川原壮志監督をゲストに迎え、映画『なぎさ』のテーマに通ずる、監督の短編映画2作の特別上映とアフタートークをお届けするとともに、5月12日(金)から公開される映画『なぎさ』前売り券販売も行われる予定。
▼『映画 なぎさ 公開記念イベント』
『映画 なぎさ 公開記念イベント』
日時:4月29日(土)14時〜19時
場所:東京都目黒区鷹番2-13-19 C/NE
タイムテーブル:
・1部 14時〜16時
・2部 17時〜19時
※各回、30分前より開場
定員:各回25名
参加費:¥1000(ワンドリンクオーダー制)
※当日現金払い
・参加方法:
C/NEのインスタメッセージ、もしくはメール(info@welcomecine.com)まで、件名を「なぎさ公開記念イベント 参加希望」として、お名前、連絡先、参加人数と希望の回(1部 or 2部)を明記してご連絡くださいませ
上映作品:
●短編映画「なぎさ」18min 2017(長編映画なぎさの元となった別ストーリーの短編映画になります)
・釜山国際映画祭2017
・ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2017
・Japan Cuts2017
・Nippon Connection2017
ストーリー
クラスメイトの男の子と女の子。プールの時間に二人で話したことを、男の子は繰り返し思い出す。うつろい消えゆく時間の中、いつまでも彼女の声が耳に残る。
●短編映画「緑の雪」(Birdland)20min 2019
・米国アカデミー賞ショートフィルム候補作
・ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2020 (ジャパン部門最優秀賞・東京都知事賞)
・釜山国際映画祭2019
・スラムダンス映画祭2019
・札幌国際短編映画祭2020 (国内最優秀作品賞)
・Japan Cuts2020
・Nippon Connection2020
ストーリー
ベッドの上で一日を過ごす寝たきりの老人。ある冬の夜、老人は窓の外に降る雪を見て思い出す。それは先立った妻との最後の時間。
青木柚 山﨑七海
北香那 日向丈 宇野祥平 蜷川みほ 三浦誠己
脚本・監督 古川原壮志
プロデューサー:明里マミ
撮影:石田遼 美術:秋葉悦子 照明:神山啓介 録音:小川武 衣装:一宮理紗 ヘアメイク:伊藤聡
キャスティング:元川益暢 富岡萌 ラインプロデューサー:早川徹 助監督:宮本忠栄 制作担当:多賀典彬
協力:佐賀県フィルムコミッション 制作プロダクション:フラッグ
配給:アークエンタテインメント
Nagisa-film.com
2023 年 5 ⽉ 12 ⽇(⾦)テアトル新宿ほか全国順次公開