映画『上飯⽥の話』(かみいいだのはなし)が、4⽉15⽇(⼟)からポレポレ東中野で公開される事が決定。それにあわせ、諏訪敦彦、⿊沢清、深⽥隆之、⾕川俊太郎、吉⾒茉莉奈からの推薦コメント、本作の⾃主配給・宣伝も務める監督のたかはしそうたからのコメントが到着した。
■ 映画『上飯田の話』
エスノグラフィックな⼿法で撮られたタウンムービーの快作
本作は「ショートストーリーによって連結された町の物語」であり、主役は町そのもの。その不思議な感覚は特殊な撮影⼿法によってもたらされている。今回が初の劇場公開作となる監督たかはしそうたは、劇中にも登場する「上飯⽥ショッピングセンター」の建物の佇まいから強い映画創作の着想を得た。現地に何度も⾜を運び、町⺠の⼈々と交流するなかで、物語を制作していった。
主要キャストはエビス⼤⿊舎に所属する若⼿俳優たち。こちらも演技のレッスンに⾜を運び、それぞれの⼈物像と登場⼈物を丁寧にすり合わせていったという。
上飯⽥町に実際に⽣活する⼈々も出演してもらっており、俳優たちの演技のなかに、いきいきとした町⺠の会話が溶け込み、フィクションにいろどりが与えられいる。
フレームの外の町の⾵景、⽣活、⼈々が、巧みにフレーム内に融合した、この時代にしか撮れないエスノグラフィックムービーが誕⽣。
▼ストーリー
横浜市泉区上飯⽥町、横浜の端っこで⽣まれた3つの⼩話。
『いなめない話』
⽣命保険の営業のヒロコが、乾物屋で働くマコトの依頼で訪問し営業をすることに。マコトが依頼をしてきたのに、なぜかヒロコに⾼慢な態度で迫るがその裏には…。
『あきらめきれない話』
もうすぐ結婚するショウは、仲の悪い兄ツヨシに結婚式に出てもらいたく兄の家に⾏くが、兄は頑なに出たくないと⾔う。
『どっこいどっこいな話』
知らない場所に⾏っては、そこでもし⽣活したらということを想像するナオキ。ある⽇上飯⽥町を写真に撮っていると乾物屋のマコトと出会い、そこでつかの間の奇妙な関係が始まる。
▼監督コメント
祖⽗⺟が住んでいた上飯⽥町を散歩していたとき、上飯⽥ショッピングセンターを⾒つけました。いかにも地元に根ざした個⼈商店が連なり、地元の⼈が通い、独特な時間の流れがありました。地元の⽅と関わる中で、この町は徐々に⾼齢化が進み、⼈もまばらになっていることがわかりました。つまりこの場所で感じた時間の流れは、今撮らなければまた別のものになってしまう。なんとかこの町の今の時間の流れを映画にすることはできないだろうかということが製作のきっかけとなっています。今回の上映で、⾒ている⼈と⼀緒にこの町の時間を共有できたら嬉しいです。
▼コメント
諏訪敦彦(映画監督)
上飯⽥という場所は実在するが、『上飯⽥の話』はどこにも存在しない。それは誰かの私的な記憶の場所でありながら、誰もが知っているはずの⾵景である。映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの⽊とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する「と」という接続詞をヒョイと⾶び越え無効にしてしまうたかはしそうたの⼤胆不敵さを御覧あれ。これもまた映画にしかできない離れ技である。
⿊沢清(映画監督)
その辺の普通の⼈たちのいつもの⽣活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに⾒えてくるから不思議。たかはしそうたは若くして映画の本質をつかんでしまったようだ。カメラがゆっくりパンを開始する度に、僕は⾃然と襟を正した
深⽥隆之(映画監督)
なんて⾵通しの良い映画なのだろう。それが最初の感想だった。俳優も、不意に横切る⼈々も、上飯⽥という街も、無理をしていない。これは映るものの”⾃然さ”を安易に装うつまらない映画なのだろうか?
いやちがう。カメラが俳優へ近づくとき、私たちはフィクションへ跳躍する。俳優によって、フィクションによって、あるいは撮るという⾏為によって、上飯⽥の街は別の相貌を垣間⾒せてくれる。たかはしそうたが作り出す、街と⼈のあいだに流れるささやかだが苛烈な⾵は、劇場の暗闇でしか体験できないはずだ!
⾕川俊太郎(詩⼈)
⽣きることを物語に要約しないことで、毎⽇の暮らしのどうでもいい細部にひそむ不安が⾒えてくる、隠された⽇常の発⾒。
吉⾒茉莉奈(俳優)
⼈間って、時々憎たらしく思えることもあるけど、やっぱりおもしろいし、楽しいし、かわいい。
だから嫌いになれないしやめられないんだよな。そんなことを、⾒ていて思いました。
流れている時間と、たかはし監督の持つ”おかしみ”がとても⼼地よい映画です。
▼作品情報
『上飯⽥の話』(かみいいだのはなし)
⽵澤希⾥ 本多正憲 吉⽥晴妃 ⿊⽥焦⼦ ⽇下部⼀郎 ⽣沼勇 荒川流 上飯⽥町の皆様
監督/脚本/編集:たかはしそうた 撮影監督:⼩菅雄貴 録⾳:河城貴宏 助監督:福地リコ 制作:⽣沼勇 整⾳:浪瀬駿太
⾳楽:本⽥真之 絵:⻄永怜央菜 DCP制作:⻄後知春 宣伝協⼒:ガブリシャス本⽥
協⼒:㈱エビス⼤⿊舎、上飯⽥ショッピングセンター 英語字幕:Megumi Suehara
2021年/⽇本/カラー/スタンダード 1:1.33/モノラル/63分
公式HP:http://kami-iida-stories.com/
Twitter、Instagram:@kami_iida_movie
監督:たかはしそうた
1991年⽣まれ。⾼校時代から映画を学び始め、東京造形⼤学映画専攻領域へ⼊学。在学中は諏訪敦彦ゼミに所属。卒業後5年間イベント制作会社にて会社員として働きながら⾃主で映画制作を続ける。2020年度から東京藝術⼤学⼤学院映像研究科映画専攻監督領域に進学。『上飯⽥の話』はコロナ禍のため休学していた2020年に⾃主制作した。今作『上飯⽥の話』は初の劇場公開作となる。
ポレポレ東中野で4/15(⼟)より公開