映画『水いらずの星』W主演“男”役 梅田誠弘インタビュー(第一回目)

映画『水いらずの星』W主演“男”役 梅田誠弘インタビュー(第一回目)

オンラインメディアPINTSCOPEにて、映画『水いらずの星』のプロデューサーで主演も務める河野知美さんの映画製作や日々にまつわる日記の連載がスタート。連載開始をきっかけにW主演である梅田誠弘さん側からみたアンサーインタビューも読んでみたいというリクエストが多くあがり、今回のインタビューが実現した。第一回目は、梅田さんにスポットをあて、本作出演の経緯から、特技の絵について、河野さんの連載日記への挿絵・イラストについてお話をうかがった内容をお届けします。

水いらずの星

■梅田誠弘インタビュー

▼『水いらずの星』への出演の経緯

-『水いらずの星』の男役を務めることになった経緯を教えてください。

梅田誠弘
僕が現在の事務所に入ったのがちょうど1年前ぐらい(2022年2月頃)で、その2か月後に河野さんも入られたんです。そこで河野さんとの顔合わせを木村社長と一緒にしまして、そこで自己紹介した際に、すぐに年齢を聞かれたんです。

その時は今から1年前なので「39歳です」と答えたら、「なるほど…」といった様子で、しばらくして事務所から『水いらずの星』の脚本が送られてきて、読んだ感想を聞かれました。
 読んでみて、すごい作品だなと思ったので「面白いと思います」と答えたら、“男”の役として越川監督とお会いすることになり、実際にお会いした際に「やります!」と答えて、役が決まりました。

-脚本を読んだ時の感想は?

梅田誠弘
一番すごいと思ったことは、“本当にそこに住んでそういう経験をしてないと書けないだろうな”と感じたことです。ドラマとして表現されるものではなく、本当にどこかの地方であった男と女の時間が強く感じられ伝わってきたことをすごいと思いました。

そこからまた、他の展開がなされることもファンタジーな流れに見えて、とてもリアルに感じました。そういった話を、人間という生き物をまとめられる世界観を面白くすごいと思いました。

自分も中国地方の人間なので、その地方に住む人の匂いを強く感じました。鳥取出身なのですが、鳥取で暮らしていた時のそこで暮らしていないと分からないようなものが、脚本から伝わってくる感じがあったんです。

水いらずの星

▼撮影前後での梅田さん自身の変化

-水いらずの星の撮影を終えた後と前で俳優として何か変化したことはありますか?

梅田誠弘
演技というものが分からなくなった点がありました。“演技ってこういうもの”と、どこかで考えてやっている部分があったのかもしれません。越川監督は、演技というものは体験するものとしかその場でやっていなかったような気がします。

“これはこう表現する”ということをほとんど無くして、“その人物として”というか、“自分がそれを体験する”ことで、全編演出をつけられました。そうなると、「演技って何…?」って思いました。

元々演技を始めた時に、それを夢見てやってきたことなんですけど、20年近く演技をいろいろと考えてきて、やはりどこかで“演技ってこういうもの”が自分の中に出来てしまっていたと思うのですが、それが取り払われた感じがします。

-それを感じたのは越川監督の演出によるものなのか、共演された河野さんや周りの役者さんも含めたものなのか、その感覚はありますか?

梅田誠弘
そうですね、そうしたものはやはり総合的なものだと思うんですけど、越川監督も「その場を生きる」ということを強く言われていましたし、本でイメージしたものをそのまま表現してみるという考えだと、なかなか“男”や、その人物が出現してこない感じもします。

共演した河野さんも天真爛漫というか、どこに飛んでいくか分からない感じがありました。それらの点に注意して、男として制止しないと駄目だし、すべてのことが要因だと思っています。

水いらずの星

▼PINTSCOPEでの河野知美さんの連載日記の挿絵・イラストについて

-河野さんの連載日記(https://www.pintscope.com/series/mizuirazu_movie/)に挿絵・イラストを描いていらっしゃいますが、どんな流れで依頼を受けることになったのでしょうか?

梅田誠弘
自分がイラストを描いていることを事務所のみんなに伝えていて、事務所のロゴを自分が描いているんです。

※事務所の社長と梅田さんがお会いした時に、イラストが特技だという話になり、事務所(https://woody-inc.com/)をイメージして描いてみてと言われて描いたものが事務所のロゴになっているとのこと。

梅田誠弘
それでPINTSCOPEさんと企画をご一緒することになりました。僕は絵が好きだということで、何ができるか河野さんと考えて、自分が「じゃあ絵日記を描いてみよう」ということになって日記を書いています。

昨年の越川監督の上映会のフライヤーに監督の似顔絵を描きました。そういった流れで、PINTSCOPEの河野さんの連載日記のタイトルバナーもイラストで描いてつくりましょうという話になりました。

-連載日記のタイトルバナーに描かれた花と丸いものは、どういったものをイメージされているのでしょうか?

梅田誠弘
丸いものは、河野さんのカラダの中にできてしまったもので、最初は石としてイメージしていたんです。でもそんな風に限定してしまうことって違うと思ったんです。

河野さんは人に花を持たせたいという気持ちがとても強い人で、自分にとっても人にとっても、華となるものを追求したい人なんです。

それって天秤にかけるものがたくさんあると思うんです。なので、何かに限定するものではなく、例えばクイズで「〇〇に当てはまるもの」のように、いろいろなものを総称することができる印になるかもしれないと思って、手には“花”と“丸いもの”を持たせています。

▼絵を描き始めるきっかけ

-梅田さんの特技が絵を描くことだというのは、耳にしたことがありました。どんなきっかけで、いつ頃から絵を描き始めたのでしょうか。

梅田誠弘
始まりとしては、両親が絵を描いていたことがきっかけになります。父親は写実的な絵が得意で、母親は幻想的な感じのイラストが得意なんです。僕は小さい時からイラストの本をこっそり見ていたのですが、その時に見て感じたことによって、僕の絵に対する思いがバーッとひろがったんです。憧れができた感覚です。

絵から感じられる世界観がすごいと思って、その時に浸ったものが忘れられないものになりました。それに影響を受けて、絵を描きたいと思うようになりました。

絵が好きで時々描いていましたが、二十歳を越えた頃から、絵に対する思いが強くなりました。俳優をやる前に絵でやっていきたいと思ったことがあり、今も絵を描いています。

水いらずの星

-印象に残っている画家、絵はありますか?

梅田誠弘
自分が絵でやっていきたいと思っていた時は、ルネ・マグリットといったちょっとシュールな世界観が好きでした。バイクに乗っていたので、モーター系、ホットロッド系のアートというか、70、80年代のアメリカ的なものも好きでした

-絵を本格的に学んだ経験は?

梅田誠弘
絵を勉強するために学校に行ったことはなく、近所の絵画教室に通ったことがあるくらいです。高校を出る時に美術大学に行きたいと思ったことがありましたが、準備が間に合いませんでした。

-小さい頃から、二十歳を過ぎ、今に至るまで、継続して絵を描かれているんですね。

梅田誠弘
一時、「俳優は俳優、絵描きは絵描き」という考えがあって描くのをやめていた時期もあるのですが、自分が好きなのに辞めるって意味が分からないなと思って、また描き始めました。

-個展やグループ展などへの参加経験は?

梅田誠弘
まだないんですけれども、知り合いの絵描きさんとグループ展をやりたいという話をしていて、いつかやってみたいと思っています。

-実現するといいですね。日記と連動したイラストを描かれていますし、連載期間中に多くの絵を描かれると思うので、『水いらずの星』の公開の際に展示会などがあるといいなと思いました。

▼河野さんの日記と梅田さんがイラストを描くときの選び方

-PINTSCOPEの河野さんの日記に対するイラストを描かれているわけですが、絵を描く対象となる日記をどのように選んでいらっしゃいますか?

梅田誠弘
おおまかにいうと、「絵を描くにはどれがいいかな….」という風には選んでいなくて、日記の内容の面白さというよりは、「僕が絵を描きたくなるかどうか」という目線で見ていると思っています。日記をざっと読んでいった時に、何か引っ掛かるものがあるんです。その日記を読み返して、どういう絵が描けるかなと思って、頭に絵が浮かぶものを描くようにしています。

そういった日記は、河野さんが自分自身のことを深く語っているというか、自分目線でその時に起こったことや、自分の中に深く入り込んでいる時に書いているのかなって思っています。

この考えが合っているかどうかは分からないんですけど、“描きたくなった”プラス“頭の中に絵が浮かんだ”ところから、絵を描くようにしています。

水いらずの星

▼好きな日記、印象に残った言葉

-毎日のように更新されている河野知美さんの日記(Vol.1&Vol2 )の中で、一番印象深かった日記はどれでしょうか?

梅田誠弘
「この日の日記が印象深い」というよりは、印象深い日記は、河野さん自身の体調のことに触れて、それについての葛藤とか、「それでも私はこういうことがやりたい」というエネルギーがバーッと湧いている時とか、そういう日記に対して印象的だなって思っています。

-その中でも印象に残った言葉はありますか?

梅田誠弘
日記には僕の名前も登場する時がありますが、「私たち映画俳優になろう。」という言葉が印象に残っていますね。

映画に憧れて俳優を始めて、映画の良さというものをまた『水いらずの星』で体験したので。

※該当日誌リンク(11月19日の日記) https://www.pintscope.com/serial-story/mizuirazu_movie_001/

水いらずの星

映画『水いらずの星』

【クレジット】
タイトル:水いらずの星
監督:越川道夫 『アレノ』『海辺の生と死』『背中』
原作:松田正隆 『紙屋悦子の青春』『海と日傘』『夏の砂の上』
主演:梅田誠弘 『由宇子の天秤』『鬼が笑う』『かぞくへ』
河野知美 『ザ・ミソジニー』 『truth〜姦しき弔いの果て〜』
撮影:髙野大樹 『夜明け』
プロデューサー:古山知美
企画・製作:屋号 河野知美 映画製作団体
制作協力:有限会社スローラーナー/ウッディ株式会社
配給:株式会社フルモテルモ/Ihr HERz 株式会社
©2022 松田正隆/屋号河野知美映画製作団体

■Twitter:@Mizuirazu_movie
■Instagram:mizuirazu_movie

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