年末年始の休暇明け、都内にある稽古場にて、舞台『インタクト』の通し稽古見学会が行われた。本番は1/7(土)~1/9(祝・月)に、赤坂RED/THEATERにて上演される。今回、きょうだけゆるして製作委員会旗揚げ公演「インタクト」をプロデュースした俳優・板橋廉平さんにお時間をいただき、プロジェクトユニット「きょうだけゆるして委員会」の立ち上げや、第一作品となる『インタクト』、4人芝居と声がけ等について語っていただいた。
■きょうだけゆるして委員会『インタクト』プロデュース・板橋廉平インタビュー
▼プロジェクトユニット名について
-「きょうだけゆるして製作委員会」という名のプロジェクトユニットの名前に興味を持ったのですが、命名の由来・理由などを教えてください。
板橋廉平
所属していた劇団を辞めてフリーになった時に、僕が一人でバースデイイベントのようなものをやったんです。その時につけていたタイトルが「きょうだけゆるして」でした。元々、「きょうだけゆるして」って、語呂がいいなって思っていたんです。
その後、せっかく旗揚げをするなら名前を考えようとなって、色々と考えたんです。自分の名前や、プロデューサーの実川の名前を使って…等、いろいろ考えたのですが、結果的に「きょうだけゆるして」ってなんかいいよなって思いました。
いいよな…と考えた理由として、「きょうだけゆるして」というのは、相手を許すことはもちろん、自分自身を許すことが、今の世界で生きていく中で、とても大事なことなのではないかと思ったんです。
今日だけでも許してあげるという、例えば、何か追われていることに対して、“今日だけは逃げてもいい”という時間を作ることって大事だと考えました。
現代社会の沢山のコミュニケーションデバイスがある中で逃げられない状態・常に何かに追われている状態を僕も窮屈に感じてしまうので、「きょうだけゆるして」をそのまま活かしたいと思いました。
けれども「きょうだけゆるして」だけだとタイトルなのか何なのか分からなくなってしまうので、“製作委員会”ってつければ格好良くなるのではないかって思いました。
-映画の“xxx製作委員会”のようですね。
板橋廉平
そうです。アニメの“xxx製作委員会”のようなイメージでプロジェクトユニット名としてつけました。最初に思いついた時は、そんなに深い意味はなかったのですが、今回、この舞台の企画を考えていく中で、意外と「きょうだけゆるして」という言葉は、やりたいことに近くて、後からリンクしてきた感じがしています。
-「今日だけ許して」を耳にした時に「一生のお願い!」と似たものを感じました。板橋さんの口癖やよく使う言葉だったりしますか?
板橋廉平
なるほど。確かにそういう意味もアリかもしれませんね。
僕は自分に甘いタイプなのでストイックではないんですよ。末っ子ですし。
なので「ちょっと甘えさせてよ」、「ちょっと休ませてよ」というようなことが多いです。言い方を変えると、僕はワガママなんです。だから、「今日だけ許して」という、許してもらうことが、僕にとってはうれしいんですよね。
▼作品作りの考え方について
-“「生きるって面白い」と思える作品をコンセプトに、自由にフラットに作品作りを目指す
”と書かれていますが、第一作品目となる『インタクト』にもそこがテーマになっているわけですよね。
板橋廉平
「当たり前なことはないんだ」っていうことをずっと自分で思うようにしています。変な話、明日自分が死ぬかもしれないし、ほかの大事な人が明日死ぬかもしれない。
そうした時に、こうやって舞台ができることや、自分がこうやってお芝居できる環境だったり、周りとの関係性だったり、それらを当たり前なことだと思い過ごしてしまっていることを改めて見直すことで、「自分が生きている人生って幸せなんだ」、「こんなに幸せが溢れているんだ」、「こんなに楽しいんだ」って思い直すきっかけになればいいなという気持ちを込めて作っていきたいと思っています。
▼タイトル『インタクト』について
-今回のタイトル『インタクト』に込めた想いを教えていただけますか?
板橋廉平
これは脚本・演出の佐藤慎哉さんが提案してくださいました。「インタクト」の意味って“完全なまま“とか、“損傷がない”が調べると出てくると思います。今回は家族の話で、その中の一人が難病になって、体が動かなくなっていきます。
体は動かなくなっていきますが、その難病は意識や感覚はそのままで、触られることや、寒い・暑い、かゆいといった感覚はそのままなんです。それをある書籍で「インタクト」と言っていたのを佐藤さんが見つけてくださったんです。
それで『インタクト』がいいんじゃないかという話がありました。今回の話はバラバラになってしまっている家族のお話で、それぞれがバラバラに生活していたのですが、括りとしては家族にはなるから、その「家族」であるがゆえの“完全なまま”とか、“その状態というものは何になるんだろうか”ということも掛けて、『インタクト』というタイトルになりました。
▼4人芝居。どのように声がけしたか
-今回は4人芝居というかたちですが、どういった繋がりで声がけされたのでしょうか?。
板橋廉平
土路生優里さんは昨年の4月に『いつかのっとかむ』という舞台で共演しました。その時が土路生さんにとっての初舞台だったそうです。彼女は今回の『インタクト』で舞台が3回目なのですが、他の同世代の女優・俳優さんたちを見ても、肝の座り方が違うんです。
表に出る勇気というか、臆さないところが僕はずっと素敵だなと思っています。それで今回この4人芝居の中で唯一、息子の嫁が必要だとなった時に、土路生さんにお願いしようと、即決しました。
三嶋健太さんは、僕が入っているアクティングのレッスンのクラスメイトというか仲間で、そこで知り合いました。彼は本当にお芝居に対しての熱量が高くて、3度の飯より芝居が好きというタイプですごい真っ直ぐな愚直な人間なんです。
僕は自分に甘い人間なので、一生懸命さや自分に妥協しないストイックな人間にすごく惹かれるんです。そういう理由で、三嶋さんは同じレッスンに通ってる仲間として一緒にやりたいなって思ってお誘いしました。
ダンカンさんは、昨年、映画の撮影で初めてご一緒しまして、ワンシーン30分くらいの撮影しかご一緒していなかったんですけど、本番の「よーいスタート!」で始まった瞬間に変わる目に相対した時に、僕としてもいきなりスイッチを入れさせられたような気持ちになったんです。そこで、「これってすごいことだよな」って思ったんです。相手を変えるほど、スイッチを入れられるって、そんじょそこらの芸当じゃないなって思ったんです。
そこに純粋に感動してしまいました。そこで撮影が終わった次の日にマネージャーさんの名刺をいただいて、すぐに「お願いします!」と依頼させていただきました。
■お客様へのメッセージ
-1月7日(土)からスタートですが、いらっしゃるお客様に向けてのメッセージをお願いします。
板橋廉平
今回のテーマは「家族」なんです。病気や安楽死といった重たいテーマも含んではいますが、お父さんとその息子、そしてその息子とその嫁の4人のミニマムな世界観の作品で、笑って泣けて、そんな舞台が僕は好きでもあり、身近なテーマでもある「家族」で企画しました。
そして舞台「インタクト」は、「笑って泣ける」にプラスαなものを感じていただける作品になったと思ってます。
是非劇場へお越し下さい。
▼公演概要
きょうだけゆるして製作委員会『インタクト』
公演期間:2023年1月7日 (土) ~2023年1月9日 (月・祝)
1月7日(土) 19:00
1月8日(日) 14:00 / 19:00
1月9日(月・祝) 13:00 / 17:00
会場:赤坂RED/THEATER(東京都港区赤坂3-10-9赤坂グランベルホテルB2F)
出演者
池田 寛 役:ダンカン
松原修太 役:三嶋健太(みしま けんた)
松原理恵 役:土路生優里(とろぶ ゆり)
池田順二 役:板橋廉平(いたはし れんぺい)
スタッフ
脚本演出:佐藤慎哉
舞台監督:森脇洋平
照 明:安永瞬
音 響:ひのだい
制 作:萬田拓未
宣伝撮影:滝沢たきお
宣伝美術:田村マイ
宣伝映像:FIP(ForestImageProduction)
宣伝ヘアメイク:こんなつき
プロデュース:板橋廉平、實川美千代
チケット料金
全席指定:6,000円(税込)
チケット取扱:カンフェティ http://confetti-web.com/intact
協賛:WHILL株式会社
特別協力:一般社団法人日本ALS協会
企画制作:きょうだけゆるして製作委員会
きょうだけゆるして製作委員会Twitter https://twitter.com/kyo_yuru
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