映画『銀平町シネマブルース』ワールドプレミア 上映後トークセッション

映画『銀平町シネマブルース』ワールドプレミア 上映後トークセッション

2022年11月20日(日)、多摩市立関戸公民館(ヴィータホール)にて、映画『銀平町シネマブルース』が、 TAMA CINEMA FORUMにおいてワールドプレミア上映。上映後に開催されたトークイベントには、主演・小出恵介、劇場スタッフ役の日高七海、脚本・いまおかしんじ、城定秀夫監督、MCに森尚人が登壇。本作制作にまつわる様々なエピソードを語った。

銀平町シネマブルース

■ 映画『銀平町シネマブルース』

【ストーリー】
 かつて青春時代を過ごした街・銀平町に帰ってきた一文無しの青年・近藤(小出)は、ひょんなことから映画好きのホームレスの佐藤と、商店街の一角にある映画館・銀平スカラ座の支配人・梶原と出会い、バイトを始める。同僚のスタッフ、売れない役者やミュージシャンに映画を夢見る中学生まで、個性豊かな常連客との出会いを経て、近藤はかつての自分と向き合い始めるが…。

■ 映画『銀平町シネマブルース』ワールドプレミア 上映後トーク

銀平町シネマブルース

▼小出恵介さんに聞く、オファー時の感想

本作出演の話が来た時の感想を質問された小出さんは、最初に話を伺ったのが、2021年の春より少し前だったこと、話をいただいて、映画にまつわる話だということ。そしてご自身が高校時代に、ミニシアターに対して縁があり、その部分でリンクできるものにまた会えることが楽しみだったとオファーを受けた時の喜びを語った。

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小出恵介(近藤 役)

▼脚本・いまおかしんじさんは、城定監督の憧れの先輩

本作でいまおかさんとタッグを組んだ城定監督は、いまおかさんの名作、『彗星まち』などに影響を受けて映画界に入られたという。城定秀夫監督は、「ピンク映画に入ったきっかけの一つが監督たちの存在で、いまおかしんじ監督が特に好きだった。」と語った。

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城定秀夫監督

▼脚本・いまおかしんじさんが語る 城定秀夫監督とは?

城定監督とタッグを組んでみての感想をもとめられたいまおかさんは、「面白かった」と語った。
「“どういう人になりたいか”といった話をする時に、“「城定秀夫になりたい”という話をするというエピソードをいまおかさんは語り、「ピンクとか自主映画をやっている若手は、一昔前は“山下敦弘”で、今は“城定秀夫”なんです。」という話を披露した。

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脚本・いまおかしんじ

▼日高七海さんの本作に出演してみての感想

日高さんは本作の撮影現場の感想を「撮るのが速過ぎてヤバイ」と表現。「こんなにサクサク進む現場ってあるんだ」と思ったという。その撮影期間を尋ねられた城定監督は、「10日程度」と答えた。
日高さんは映画の中でメガホンを持って動画を撮ったシーンの感想を求められると、「自由にさせていただいて、とても楽しいシーンでした。」と語った。

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日高七海(劇場スタッフ 大崎 役)

▼小出恵介さんが作り上げた主人公像

小出さん演じる主人公・近藤の人物像についてどのように作り上げたか質問された小出さんは、「“映画監督という部分で映画に対する人生的な愛を持っているっていう部分”と、“人生があるところで止まって、彷徨って、そこから自分でまた道を探していくところ”の2つの要素を自分で捉えられたらと思っていた。」、「けれども、脚本で世界観が完成されていて、僕が余計なことを何もしなくていいんじゃないかなっていうくらい完成されていたので、とにかく脚本を絶対に邪魔しないように現場に入った」、「現場に行ってみると、その10倍ぐらい上を行くようなカリスマ性や空気…現場ができていて、更にやることがなくなった。」と、その流れを説明した。

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▼城定秀夫監督と撮影現場

撮影現場について質問された城定秀夫監督は、「本当に僕も楽しかった。途中骨折することもあったが、こんなにストレスのない現場は珍しいってぐらい問題もないし、楽しいし、脚本に対しても何の迷いもない感じでした。」と答えた。

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▼スカラ座群像というのは、脚本の段階でどのように構成したか。

本作の群像劇のスタイルがどの段階で構成されたかについて質問されたいまおかさんは、「最初に話が来た段階で、コロナによってミニシアターが厳しい苦境に立っているから、ミニシアターを題材にして、元気が出るような大まかな話がありました。」と、念頭に置いたものは、『スモーク』 (1995年 群像劇映画)、ウェイン・ワン監督を念頭に置いたものがあると説明した。

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▼小出恵介さんが現場で印象的だったこと

現場で印象的だったことを質問された小出さんは、「スカラ座が始まって、皆さんが合流してきた日があったんですけど、皆さんが一気に集まってるとこから始まって、最初から皆さんのキャラが完成されていました。最初からこんなに空気感ができているってないなというぐらいでした。」、「それぞれが“自分だけ!”ということもなく、調和すら生まれている雰囲気にびっくりしました。」と現場での驚きを表現した。

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小出恵介さんがその雰囲気について日高さんに「なんだったんですかね、あれは。初めましてですよね?」と質問すると、日高さんは、「初めましてです」、「でも、初日な感じはしなかった。みんな持ってきているものがあって、脚本を信じている印象があった」と答えた。

▼日高さんと“百円ちょうだいおじさん”

劇中に出てくる“百円ちょうだいおじさん”さんの話題をいまおかさんが口に出すと、最初の企画書にそのエピソードが記載されていて、「これを映画化するってこと?」という話もあったそうで、それは日高さんのコラムが元になっているとのことを明かした。


【参考】
「100円ちょうだいおじさん」
⇒日高七海さんのコラム(https://kichijoji-time.com/hidakananami/#index_id2)

▼キャスティングについて

キャスティングについての質問された城定秀夫監督はその理由を「キャスティングの方が頑張ってくれた結果です。出たいと言ってくれる方が多く、ささやかな予算で作った映画なのにこれだけのベテランの方に出ていただけたのは、皆さんが映画好きなんだなと思います。」と説明した。

▼劇中に出てくる“映画内映画”について

映画内映画も10日間の撮影期間に撮影されているそうだ。場所とキャストだけ決めて、現場のノリで撮ろうと考えたが、前日に「ノリなんかで撮れないな…」と思い、城定監督自身が台本を書き、撮影に臨んだという。

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▼完成した映画を観た時の感想

完成した映画を初めてご覧になった時の感想を求められた小出さんは、感想に先んじて、城定監督へ、「僕がまず聞きたいと思ったことは、あれだけのキャストがたくさんいて、あれだけのいろんな人が足したり、引いたりということを現場でするわけですよね?あの短時間で監督がさばいて、結果として統一したトーンになっているのがすごいなと思いました。でも、監督は聴いているんだかいないんだかわからない受け答えが秘訣と思ったと、自身の見解を述べた。

それを受けて、城定監督は、「小出さんは芝居は完璧に出来ているんですけど。元々の人間的に“陽”の感じがあるから、「そこを少し抜いてください。」とスピリチュアルなことしかり言っていないと語り、会場を笑わせた。

銀平町シネマブルース

続けて、城定秀夫監督は。「言葉で説明されても分かんないし、やってみてそれを受ける相手・役者がいるわけで、勝手なアドリブばかりでは、相手も困るし。そこはお互い調整・相談してやってみてといった感じです。」と答えた。

▼日高七海さんの試写を観た時の感想

試写で本作を観た時の感想を日高さんは次のように語った。
「試写で泣いたのは初めてでした。みんな泣いていたんですけど。いいシーンしかなくて、どのシーンが好きって言われたらすごい難しいんですけど、やっぱり踊るシーンがすごく印象に残っています。」、「小出さんが現場で私に語りかけてくるシーンがあって、“これは、もういい映画になる”って思っていたのですが、実際に観たら、とてもいい表情で本当に出られて良かったと思いました。

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▼城定秀夫監督が語る小出恵介さんの印象

城定秀夫監督は小出さんの印象を次のように語った。
「あまりこういう映画で見かける人ではなかったので、そこがどうなるのかが楽しみでもあり、不安な部分でもありましたが、ぴったりはまっていました。」
続けて、「恐らく何でもできるんでしょうけど。今後もよろしくお願いします。」と次回作以降の声がけをした。

▼締めの言葉

トークセッション終了の時間が迫ってきた頃、会場に本作出演の宇野祥平さんが鑑賞されていたことがアナウンスされ、宇野さんに登壇が促された。

壇上に上がった宇野祥平さんは、「皆様、今日はお忙しい中ご来場いただきありがとうございます。」という挨拶ののち、
「いや、やっぱり映画っていいですね」という言葉でトークセッションを締めくくった。

銀平町シネマブルース
宇野祥平(佐藤 役)

映画『銀平町シネマブルース』

監督=城定秀夫
脚本=いまおかしんじ
撮影=渡邊雅紀
美術=羽賀香織
音楽=黒田卓也
出演者=小出恵介、吹越満、宇野祥平、藤原さくら、日高七海
2022年/「銀平町シネマブルース」製作委員会製作/SPOTTED PRODUCTION配給/99分
©2022 「銀平町シネマブルース」製作委員会

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2023年02月10日 新宿武蔵野館ほか全国順次公開

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