10月31日(月)渋谷ユーロスペースにて、映画『さすらいのボンボンキャンディ』ヒット記念舞台挨拶が開催。主演の影山祐子、原田喧太、伊藤洋三郎、延江浩(原作者)、サトウトシキ監督が登壇。本作制作のきっかけ、経緯や本作品への想いを語った。
本作は、『タンデム』『迷い猫』『今宵かぎりは…』ほか脚本家小林政広と組んだ秀作を経て、『短篇集さりゆくもの もっとも小さい光』のサトウトシキが企画と監督を務めた最新作。延江浩の短篇小説集「7カラーズ」(水曜社刊)の一編を映画化。言語化できない感情が映像の奥から浮かび上がる演出はサトウトシキの独壇場。他者との距離感が希薄になった未曽有の時代に贈る、愛を探す人びとの愚かで滑稽でちいさな物語。原作者と監督のタッグは『アタシはジュース』(1996)以来となる。主演は『花束みたいな恋をした』『はい、泳げません』『激怒』など、注目作への出演が続く影山祐子。生きる実感を持てないままに、性にのめり込んでゆくでもなく、声高に叫ぶでもなく、それでも人間らしいつながりと愛を求めてさすらうヒロイン・仁絵を演じて、唯一無二の存在感と大胆な演技で初主演を鮮やかに飾る。相手役の原田喧太は本業がギタリストながら、父・原田芳雄を彷彿とさせる好演を披露。初のからみにも挑戦。
■ 映画『さすらいのボンボンキャンディ』ヒット記念舞台挨拶
▼原田さん オファーを受けた時の想い
原田喧太
台本をいただいて読んだ時に、ものすごい難しい役柄だったのと、久しぶりの俳優の仕事なので、どこまで自分が演じきれるかどうか不安でもあった。、また、スケジュール的にその時はもう全く空いてなかったのでで「ちょっとできないですね」っていう話を監督にさせてもらったら、ずっと待ってくれた。あとはよく監督と飲んでいたので、監督の牛歩作戦にハマって、気づいたら出演をOKしていました。
▼影山さんを抜擢した理由
サトウトシキ監督
影山祐子さんとはも随分と付き合いが長いんです。昔、彼女が日本映画大学の学生だった時に、私は実習の講師で呼ばれていて、その時から知っていました。
その後、本人から俳優を続けている話を聞いていて、映画を何本か見たり、一本出演してもらったりもしました。
主役で1本出てもらいたいなと思っていたのですが、本作はハードルが相当高いと思っていたんですけれども、影山さんに「なんとかやってみてくれよ」と相談したという感じです。
影山祐子
監督とはお酒を飲みまして…
サトウトシキ監督
時間がかかったんですけど、何でも話せるようにね。お酒を飲んで何度も会いました。
影山祐子
最初は「もう断ろう」という気持ちでお会いしたんですけれども、「決めなくていいから、考えて」と言われました。そうしてお酒を飲んでいるうちに、喧太さんがいたり、延江さんがいたりするようになりました。
サトウトシキ監督
今回撮れなかったら、もう無くなる話だなと思いました。これだけいろんな人に引き合わされて、みんなの年齢も原作と同じくらいだし。ここで撮れなかったら、なかったことにしようと思って、ちょっと頑張りました。
喧太さんはミュージシャンとしてすごく有名で活躍されているし、私が演出したところでどうなるものでもないので、とにかくスクリーンに出てもらいたいと思いました。
影山さんに関しては、すごく大変な役だったので、原作を読んでもらって、主人公をどういうふうに理解してもらえるのかということがすごい心配でした。それがあって、時間を掛けたというのもあります。
なので、飲んでいたばかりじゃなくて、きちんと仕事としてお話をしていました。
▼メッセージ
サトウトシキ監督
遅い時間にありがとうございます。リラックスして映画を観ていただければと思っています。
今日はありがとうございます。
影山祐子
私からはパンフレットの話をします。
今回、自主制作という形で、私とチラシなど、全般的なビジュアルのデザインをしてもらった。中野香というデザイナーがいまして、私たちはもう映画学校からの同級生でトシキさんに教わってきた仲間なんですけど、二人で自主制作という形でパンフレットを作りました。
パンフレットというか、延江さんが初日におっしゃっていただいたんですけども、読本という言葉の方がしっくりくるなっていうぐらい。今日の舞台挨拶で皆さんが話したことが、10倍、100倍くらいになったような内容の冊子になりました。より映画を深めていただけるものになったと思うので、是非買って読んでいただきたいと思います。
何はともあれ、まずは映画を楽しんでいただければと思います。よろしくお願いします。
原田喧太
僕はこの映画に関しては音楽の方も担当させていただいて、エンディングテーマも僕が作っています。それぞれのエンディングっていうのは、皆さんも感じ取るところが違うと思うんですが、エンディングテーマまでしっかり映画の一部にもなっていますので、その辺りもぜひ楽しんでいってください。
伊藤洋三郎
この映画を僕は試写で見せてもらったんですけど、女は怖いというのはよく聞かされてきたんですけども、本当に女の人はすごいなと思いました。
改めてもう還暦を過ぎた男が言うのも変ですけど、やっぱり女にはかなわないなという本当に素敵な女性とバカな男が出ています。是非楽しんでいってください。
辻しのぶ
影山祐子ちゃんの透明感というか、すごくまっすぐな感じがスクリーンで私は共感できたのと、喧太さんのピュアな独特な存在感もとても見物だと思います。その雰囲気を楽しんで帰ってください。
延江宏
巷では、いわゆる忖度というかコンプライアンスが広がって、表現の場がちっちゃくなっているんだけど、このチームは忖度は0ですね。それでいて、フランス映画のようにケレン味がなくて、何度も見たいなと思わせるような映画になりました。
それはすべて表現ということをみんながトシキ監督を始め、考えて得た作品だと思うので、最後までごゆっくりお楽しみください。よろしくお願いします。
映画『さすらいのボンボンキャンディ』作品概要
影山祐子 原田喧太 雅マサキ 足立智充 嶺豪一 飯島大介 辻しのぶ 伊藤洋三郎
企画・監督:サトウトシキ 原作:延江浩(水曜社刊『7カラーズ』)
プロデューサー:森田一人 脚本:十城義弘 竹浪春花 音楽:原田喧太
撮影監督:小川真司 JSC 録音:光地拓郎 編集:目見田健
© 映画『さすらいのボンボンキャンディ』製作委員会/延江浩
2022 年/114 分/5.1ch/ビスタ/R15
製作・配給:インターフィルム
公式サイト https://sasurainobonboncandy.com/
公式Twitter https://twitter.com/s_bonboncandy
渋谷ユーロスペースにて絶賛公開中