10月8日(土)池袋シネマ・ロサにて、映画『ささくれ』、『誰のための日』の初日舞台挨拶が開催された。登壇者は、『誰のための日』に出演した日高七海、名村辰監督。『ささくれ』に出演した星ようこ、大金康平監督、そして両作品に出演・プロデュースの里内伽奈。
上映初日を迎えた喜びと、作品にまつわるエピソードを語った。
■ 里内さんの脚本・主演・プロデュースの2作品『ささくれ』、『誰のための日』初日舞台挨拶
▼『誰のための日』について
当日、司会役として登壇した里内さんは、『誰のための日』の制作にあたって、ワークショップの中で名村監督と出会い、脚本を書きたい・監督をしたいという思いから始まったことを明かした。
映画制作をしたことない状態の俳優二人がつくった作品が劇場公開について質問された名村監督はパソコンの画面で編集していたものを映画のスクリーンであらためて観て、「(カメラが役者の顔に)寄ってるな」という感想を述べた。
京香(里内伽奈)と由梨(日高七海)の姉妹が口喧嘩をして、どんどん顔を近づいていく場面が名村監督が一番好きなシーンだという。
当時の撮影を振り返り、日高さんは「あんなに近くで撮影されたことがなくて、大きなスクリーンでみたらやっぱりヤバかったです」と語った。
▼『ささくれ』について
コロナ禍に俳優仲間でやれることはないかと制作されたのが『誰のための日』で、この作品をきっかけに劇場公開の話が出て、『ささくれ』の制作につながったことを里内さんは明かした。
里内さんは、自身の企画を大金監督にあずけて撮影をした作品が『ささくれ』で「私の手を離れたもの・預けたものという気がして作品として観られる」、『誰のための日』は自分で作った感・身近で手作りした気持ちが強い作品と説明した。
▼星ようこさんの出演
里内さんの事務所の先輩である星さんは、自身が演じた純子という役の難しさを語った。里内さんは、星さんの明るさと、役の純子の一生懸命さがマッチして、星さんに出演いただけたことが嬉しかったと感想を述べた。
▼撮影地・『ささくれ』栃木・『誰のための日』
『ささくれ』の撮影は3か月前の2022年7月だったという。星さんは栃木の田園風景が素晴らしかったと表現。撮影地として使われた家は、大金監督の祖母のご自宅だという。
『誰のための日』の撮影は、2021年の1月頃。ショートショートフィルムフェスティバルへ出品したくて、最初の話し合いから3か月ほどで作ったという。日高さんは、2020年の12月に里内さんに姉妹役をやろうと誘われて、脚本を読んだ時に、里内さんらしい脚本だと思ったと当時を振り返った。
▼里内さんはケンカがお好き?
2作品を通じて、姉妹や親子のケンカのシーンが共通点としてあることに対して、「里内さんはケンカが好きなんですか?」という質問が大金監督からあがると、里内さんは、「私が今興味があることは“家族”。ケンカというよりは、人が言おうとして言えなかったものを言う瞬間が好きだと、その理由を明かした。
▼お互いの作品を観ての感想は?
大金監督は、『ささくれ』の撮影が決まった時から、『誰のための日』を何度も観たという。
大金監督は『誰のための日』の姉妹喧嘩でのリモコンのシーンが印象に残っているという。また、名村監督は、リモコンのシーンについて、自身の実体験から描かれているものだと説明した。
名村監督は、『ささくれ』を観た感想として、ラストの母娘の間で交わされた台詞が良かったと語った。また、撮影された栃木や東京の風景が良かったと感想を述べるとともに、『誰のための日』は、風景を完全に排除した作品で、「風景ってこうやって撮るんだ…」と、作品から学んだ気持ちをつぶやいた。
▼『ささくれ』を観た感想と撮影時のエピソード
日高さんは、『ささくれ』を観て、父・晃一に腹が立つとともに、娘・瑞季に対するある言葉に対して気持ち悪い感じを抱いたという。そんな娘と父の関係と、映画での父に対する瑞季の動作に思わず涙を浮かべたと感想を述べた。
里内さんは、『ささくれ』での父娘のシーンとして、“縁側”で会いたい・向き合う形にしたくなかったと脚本執筆時のことを振り返った。そこで、選ばれた縁側が大金監督の祖母のご自宅だったという。
大金監督はそのロケハン時の際に、縁側の柱が邪魔だという話があがったが、そこを活かそうというエピソードを明かした。
続けて里内さんは、柱により二人の間の仕切りがはっきりしている点や、長回しで撮影を行ったことを語った。
縁側と柱のシーンについて質問された星さんは、あの場所には私は入れなかったし、あの時のことを考えると、どうしたらいいんだろうなという気持ちしか現場ではなかったと語った。
板尾創路さんとの共演について質問されると星さんは、『地球の魅力』(2005)という映画でご一緒して、その後、板尾さんプロデュースの「THE BAMBI SHOW」に里内さんが出演した際に観劇した時からの付き合いであることを振り返った。
舞台挨拶の締めくくりに、里内さんは映画『ささくれ』の感想や紹介、SNSでの投稿の際は、ハッシュタグ「#映画ささくれ」をつけての発信を呼びかけた。
■ 映画『ささくれ』 池袋シネマ・ロサ内の展示について
▼映画『ささくれ』写真展 in 池袋シネマ・ロサ
映画『ささくれ』の上映期間中(10/8土~10/14金)、池袋シネマ・ロサB1Fにて、写真パネルの展示が開催されている。
監督/編集/共同脚本そして、スチール撮影を務めた大金康平監督のコメントとともに、大きなバナーや写真パネルが掲示されている。
また、メインビジュアルの写真に加え、矢部太郎(芸人・漫画家)から寄贈イラストも展示されているので、劇場にて映画とともにご覧いただきたい。
■ 作品情報
▼映画『ささくれ』2022年/30分/カラー/DCP
・キャスト
里内伽奈、秋本奈緒美、星ようこ/板尾創路
・スタッフ
監督・編集:大金康平/脚本:里内伽奈・大金康平/プロデューサー:里内伽奈/撮影:萩原脩/照明:堅木直之/録音・整音:柳田耕佑/美術:柏倉さくら/ヘアメイク:藤原玲子/助監督:木村凌・江口嵩大/照明助手:松浦凌太郎/カラーグレーディング:島健太郎/メイキング:小池匠/スチール:大金康平/宣伝美術:山下礼/主題歌・音楽:小川未祐「ごめんね ありがとう」/製作:Sanaka
公式Twitter @sasakure_movie
予告編URL:https://youtu.be/TF7RHP6A5i4
【チケット情報】
『ささくれ』『誰のための日』上映+トークショー
当日一般:1500円 前売り券:1200円(劇場窓口にて販売中)
公式サイト: https://me9978.wixsite.com/sasakure2022
▼同時上映:映画『誰のための日』2021年/16分/カラー/DCP
・あらすじ
京香は母親の三回忌、親戚を集めた食事会を開いた。妹の由梨は参加するも不機嫌なまま。帰宅後、京香が由梨の態度を注意した事をきっかけに、お互いの生き方を理解できず姉妹の言い合いはヒートアップしてしまう。
・キャスト
里内伽奈、日高七海、村中玲子、田渕正博、小日向春平、長嶺安奈、鳥越勇作、鳥越一平
・スタッフ
監督・編集・音楽:名村辰/プロデューサー・脚本:里内伽奈/撮影:平見優子/照明:市川朋樹/録音:小川賢人/美術:柏倉さくら/ヘアメイク:藤原玲子/助監督:景山未喜/制作:小川諒/撮影助手:松田恒太/整音:五十嵐猛吏/スチール:柳澤将大/宣伝美術:山下礼
池袋シネマ・ロサにて10月8日(土)~14日(金)1週間限定レイトショーにて上映!