2022年9月30日、テアトル新宿にて、映画『ミューズは溺れない』の初日舞台挨拶が行われた。登壇者は、主演の上原実矩、若杉凩、川瀬陽太、新海ひろ子、桐島コルグ、渚まな美、淺雄望監督の7名。MCは映画活動家の松崎まことが務めた。
本作は、アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐるもがきなど、葛藤を抱えながらも社会の海へ漕ぎ出そうとする高校生たちの最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った青春エンタテインメント。
船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落した美術部に所属する高校生の朔子を上原実矩。それを目撃し「溺れる朔子」の絵を描いてコンクールで受賞した美術部員の西原を若杉凩が演じる。
■ 映画『ミューズは溺れない』初日舞台挨拶
この日、初日舞台挨拶を迎えた映画『ミューズは溺れない』。登壇者の一人、川瀬陽太さんが他作品の舞台挨拶へ移動のため、登壇者全員のひとこと挨拶のあと、序盤で監督・キャストのフォトセッションが行われた。
▼初日を迎えての心境は?
MCの松崎さんから初日を迎えての心境について感想を求められた淺雄望監督は、「この日を目指して生きてきたので、“生きてきたな!”っていう感じでした。」と喜びの言葉を述べた。続けて、キャスティングをどのように進めていったのかの質問に対し、監督自身がかなりの人見知りで、オーディションはせずに、インターネットで調べて声がけをし、面談をしてキャストを決めていったことを明かした。
▼撮影は体力的にきつくなかった?
冒頭の印象的なシーンから、体力的に大変な撮影だったのではないかと質問された上原さんは、撮影が12日間だった点をこたえ、3年前のことなのか忙しかったからなのかあまり覚えていないと当時を振り返った。冒頭の落水シーンは、インタービューでは衝撃的なシーンとして質問されるが、一発撮りの緊張感と、海に飛び込めることを楽しく取り組めたことを笑顔で語った。
▼役作りで苦労したこと・難しかったこと
役作りの苦労したこと・難しかったことを質問された若杉さんは、ぼんやりと大変だったことを思い出したと当時を振り返った。これまでの作品では、若杉(ご自身)に肉付けしていく役作りが多いが、今回はそれでは“違う”ことに気づき、イチから作り直して西原というキャラクターを自分の中で構築していく初めての経験をし、それが自身の糧になったと語った。
▼監督を叱った!?
上原さん演じる朔子の父親役を演じた川瀬さんは、MCの松崎さんから、川瀬さん演じる役には、“黒・川瀬”と“白・川瀬”に分けられるという印象を伝えられると、今回は“白・川瀬”だったと自身の考えを述べた。また、撮影時に川瀬さんは役者に対して視野が狭くなってしまった淺雄監督に対して、もっと周りに気を遣えと叱ったエピソードを語るととも謝罪した。
▼実は教師経験あり
教師役を演じた新海さんは、実際の教師経験について質問されると、小学校で15年間の勤務経験と1年間の高校でカウンセラー的な立ち位置の補助教員の経験があることを明かした。
▼SF研究部員役の二人のコメント
コメディ要素があるSF研究部の部員役を演じた渚さんは、監督からの指示について質問されると、一生懸命頑張って元気にやる気持ちをもって演じたことを語った。劇中、同じくSF研究部員の役を演じた桐島さんは、自身が高校生の時と役が重なるイメージがあったことを話した。
▼監督の演出について
監督からの演出について質問された上原さんは、監督自身のパズルのピースのようなものを手繰り寄せるような感覚でお芝居していたことを語った。同じく若杉さんはジェンダー系内容を含む映画で重くなりがちだが、そういった部分も配慮して映画をつくりたいと監督と話したエピソードを明かした。
▼お客様に観てほしいポイント
お客様に観てほしいポイントを聞かれた淺雄監督は、出演する役者陣が魅力的で、映画のどこを切り取っても素晴らしい作品になったことと、本作の魅力を語った。
本作は一時は完成しないのではないかと言われた作品で、それは5年先か10年先か完成がいつになるかわからないという状況だったという。
監督自身「待ってもいいかな」と思うくらい映っているものが素晴らしく、結果として1年半待つことで、無事に完成の目途が立ったことを明かし、「私の人生のたった一年半くらいを懸けたって、全然平気!」というくらいこの映画は素晴らしいと思っていると説明した。
▼上原さんを抜擢した理由
あらためて、上原さんのキャスティング理由となったのは、面談時に行ったあるシーンの演技を観る部分での彼女の動きやそれを行った考えだったという。
そのソーンは、本作の中で観ることができる。また、本サイトのインタビュー内で淺雄監督に語っていただいているので、作品の鑑賞後に確認してほしい。
■作品概要・公開情報
映画『ミューズは溺れない』
STORY……
美術部に所属する朔子は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した西原が「溺れる朔子」の絵を描いて絵画コンクールで受賞、朔子の絵は学校に飾られるハメに。さらに新聞記者に取材された西原は「次回作のモデルを朔子にする」と勝手に発表。朔子は、悔しさから絵の道を諦め、代わりに壊れた鳩時計などを使って造形物の創作に挑戦するが、再婚した父と臨月の義母、そして親友の栄美と仲違いしてしまう。引っ越しと自宅の取り壊し工事が迫る中、美術室で向き合う朔子と西原。”できること“を見つけられないことに焦る朔子は、「なぜ自分をモデルに選んだのか?」と西原に疑問をぶつける…。
【キャスト・スタッフ】
上原実矩 若杉凩 森田想
広澤草 新海ひろ子 渚まな美 桐島コルグ 佐久間祥朗 奥田智美 菊池正和 河野孝則・川瀬陽太
監督・脚本・編集: 淺雄 望
撮影監督:大沢佳子(J.S.C)|制作担当:半田雅也|照明:松隅信一|美術:栗田志穂|ヘアメイク:佐々木ゆう|監督助手:吉田かれん|撮影助手:岡田拓也|録音:川口陽一|整音:小宮元、森史夏|カラリスト:稲川実希|スチール:内藤裕子|音楽:古屋沙樹|音楽プロデューサー:菊地智敦|油絵:大柳三千絵、在家真希子|企画・制作・プロデュース:カブフィルム|
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト|配給協力:ミカタ・エンタテインメント|2021年|82分|16:9|カラー ©️カブフィルム
作品URL: https://mikata-ent.com/movie/1205/
公式Twitter: https://mobile.twitter.com/musehaoborenai
9/30(金)〜10/6(木)テアトル新宿、10/14(金)・10/15(土)シネ・リーブル梅田
ほか全国順次公開