9/30より、テアトル新宿ほか公開の映画『ミューズは溺れない』より、多彩な著名人からの絶賛コメントが到着。併せて新予告編も解禁。主人公の朔子を演じるのは上原実矩。そのほか若杉凩、森田想、渚まな美、桐島コルグ、川瀬陽太、広澤草らが脇を固めた。監督は、大九明子監督などの元で助監督をつとめながら中・短編を製作してきた淺雄望。この度、本作をいち早く鑑賞し、爽やかな青春譚に魅了された著名人たちからの絶賛コメントが到着した。
本作はアイデンティティのゆらぎ、創作をめぐるもがきなど、葛藤を抱えながらも社会の海へ漕ぎ出そうとする高校生たちの最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った青春エンタテインメント作品。インディーズ映画界の登竜門である第22回TAMA NEW WAVEと第15回田辺・弁慶映画祭の双方でグランプリを受賞している。
美術部に所属する高校生の朔子(演・上原実矩)は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した美術部員の西原(演・若杉凩)が「溺れる朔子」の絵を描いてコンクールで受賞、絵は学校に飾られるハメに。悔しさから絵の道を諦めた朔子は、代わりに新たな創作に挑戦しようとするが、ある日、西原から「次回作のモデル」を頼まれてしまい・・・。
■ 映画『ミューズは溺れない』 絶賛コメント
▼多彩な著名人からのコメント
内⽥英治(映画監督)
⾼校⽣たちのひりひりと掻きむしられる感情に、⼀瞬の隙なく⾒⼊ってしまった。素晴らしいストーリーに演技。はっきりいって傑作。
⼤九明⼦(映画監督)
嬉しい︕先に観た⽅が⼝々に「傑作」と⾔うではないか。遅れをとって悔しい。私は何度もこの映画をスクリーンで観るチャンスを逸してきて、先ほどようやく緊張しながらパソコンで観た。
⾯⽩かった︕
ほっとすると同時に⾔いたい、私ほどこの映画の出現を待ちわびたものはいないはずだと。淺雄さんと出会ってからの10年ほど、ここ数年は特に、私、絶対この⼈のつくる映画を観たい、と待っていた。「この⼈はそのうち映画監督になる⼈なんですよ」と、本当に私、(何⼈かには)⾔ったことあるし。(本当です︕)
私は待っていたんです、この映画の出現を、淺雄望さんがその名の通り望みを叶えて映画監督になる⽇を。ジェンダーギャップが叫ばれる監督という職業、⼥性の監督は多い⽅がいい、しかも私なんぞと親しくしてくれる奇特な仲間が増えたらなおのこといい。
さあ皆さん、この映画を楽しみましょう︕作る喜びにあふれたこの映画を。キラッとした⼥性だらけのこの映画を。軽やかな後味を楽しんで︕私には、たからものみたいな映画でした。
万⽥邦敏(映画監督)
語ろうと思えばいくらでも複雑めかして語れる⼈間関係にまつわる現代的なテーマを、まったく素直に感情と⾏動のドラマとして描いている点が、凄い。登場する⼥⼦⾼校⽣たちは、⽣き⽣きとしているのではなく、まさに⽣きている。その様は、つねに問われ、答えられてきた「⻘春とはなんだ」の、⼀番新しい答えのひとつとなっている。「雰囲気」と「⽇常感」とは無縁に、「いま」と「⾃分たち」にきちんと向きあっている若者の映画は、久しい。歓迎しよう。
前⽥弘⼆(映画監督)
周囲に合わせようとするあまりに⾃分を出せない。
⾃分を貫いて周囲から浮いてしまう。
きっとみんな、⾈はどちらかに少しだけ傾いているだけなんだ。
淺雄監督は不器⽤な⼆⼈の⼼情の変化を繊細に描きながら、時にダイナミックに仕掛け、観る者にエールを送る。
隅々まで奏でる⾳の使い⽅もユニークで⾯⽩く、演出の⼿腕に何度も唸りました。
⾊んな思いを抱え、創作の熱が⽌まらなくなっていく上原実矩さん演じる朔⼦の姿が、すっごくかっこよかった。
⾦⼦雅和(映画監督)
⼩学⽣の時、転校⽣のスケッチを描くことになった。でも結果としてまともな絵が描けず、今でも苦い記憶として残っている。
振り返ると、「描く」「撮る」というような創作⾏為は、たとえフィクションでも被写体に対する愛情・憎悪・羨望などの強い感情が無ければ成り⽴たなく、その時の⾃分は描く相⼿との「関係性」が何もなかったのだな、と思う。 本作の登場⼈物たちの瑞々しい美しさを前にして、そういうことが如何に⼤切なのか、改めて気付かされた。
年森瑛(⼩説家)
他者の視線で焼かれた朔⼦の肌はひどくひりついていて、私はその痛みを知っているような気がした。砂浜に⾜をとられながらも顔を上げた彼⼥の船が難破しませんように。遠くの島から祈っています。
ミロコマチコ(画家)
この世には気が合う⼈はいないんだ、と思っていたあの頃。誰かや何かに合わせて、⾃分を押し殺し、鬱屈としていた。そんな私を解放してくれたのは絵だった。
ぶつかり、傷つけ合いながら、ひとつずつ認め合っていく⾼校⽣たちの姿は、ひとつもとどまることなく揺れ続ける海のように、キラキラと眩くて、夢中になれる何かが、⼈との出会いや新しい感覚を私に繋げてくれたことを思い出す。
「そうだ、私は私でいいんだ」って認めたくなる。
鈴⽊みのり(ライター)
「描けないなら作ってみようと思って。とにかく⽬の前にあるものをつなげてみようって」
そう⾔う主⼈公・朔⼦の作った船はどこにも⾏き着かないかもしれない。それでも、⼿を動かしてみる。そんな⾏動と葛藤の映画。
特に、段ボールの擦れ、ガムテープを引き伸ばしたガムテープの破折⾳、ピアニカのキャップを外し
た、ネジとか座⾦が外れるときの重なり、ドリルの旋回がつなぎあわされた⾳楽で象られるシーンに
は魅了された。
鈴⽊史(映画監督・美術家・⽂筆家)
⻄原の朔⼦への想い、朔⼦のどこにも向けられない想い。そのふたつの誠実さに触れることで、遠藤という野球部の⻘年を好きでいる栄美の想いが逆照射される。朔⼦や⻄原を「何考えてるかわからない」と、周縁に追いやることで、⾃分の「ありきたりな恋」の確かさを保とうとしていた栄美は、このふたつの誠実さに触れて初めて、⾃分⾃⾝もありきたりな⼥⼦⾼⽣なのではなく、特別な個⼈なのだという実感を獲得していく。⼈はひとりひとり違う。でも、ともにいる。その当たり前の、しかし誰もが忘れている事実をこの映画は思い出させてくれる。
児⽟美⽉(映画執筆家)
少⼥が海へと落下する。どうやら彼⼥たちの⽴っている世界は不安定らしい。
それでも作ったり壊したり、書いたり消したりを繰り返しながら、未来絵図を築いてゆく。
わたしたちは誰を好きになってもいいし、誰も好きにならなくてもいい。
森直⼈(映画評論家)
「とりあえず⽬の前にあるものを繋げてみよう」という意志の船出から、誰も⾒たことのない映画が
丁寧に出来上がっていく。⾳の設計、⾃⼰実現の葛藤、スクラップ&ビルド。
様々な試みや主題を乗せ、多感な思春期模様の中で紡がれるドラマは『燃ゆる⼥の肖像』にも負けていない。
描く側と描かれる側――クリエイションを通した⼈間信頼。「搾取」ではないミューズの形もある。
松崎健夫(映画評論家)
表層的な印象として『ミューズは溺れない』は、⼥⼦⾼⽣の⽇常を描いた⻘春映画のように⾒える。他⽅、分類によって“線引き”されず、むしろ“グラデーション”によって彩られるセクシャリティの在り⽅。或いは、⾎縁に依らない家族像や廃れゆく地⽅の現実など、モチーフが重層的に積み重ねられている。表層的な部分だけに、真意や核⼼があるわけではないのだ。それゆえ、ミューズは溺れる、けれど、溺れないのである。
松崎まこと(映画活動家)
わからない。
本当にやりたいことが、わからない…。
わからない。
私のことが好きって、わからない…。
わからない。
何もかも、どうしたらいいか、わからない…。
悩める少⼥たちの姿を繊細な感覚で描いた、淺雄望監督の、愛すべき⻑編デビュー作︕
彼⼥もきっとまだ、⻘春真っ只中なのだ!!
堀潤之(映画研究者)
冒頭でヒロインが海に落ちる埠頭での淡い視線の交換から、希望と祝祭感にあふれたラストの浜辺まで、淺雄望はほとんど王道ともいえる「ガール・ミーツ・ガール」の物語を繊細かつ⼤胆に提⽰してみせる。少⼥たちの⼼の揺れ動きにぴったりと寄り添うキャメラがとらえる、ぎこちなくもまばゆい⻘春の情景の数々は、⾒る者の脳裏にいつまでも刻み込まれるだろう。
⻄⼭真来(俳優)
ひとつひとつの瞬間が、この、いまだけの、この顔、この顔という迫⼒で迫ってきて、ひとつも逃すまいと必死で観ました。
川村りら(俳優)
「思い通りの線なんか、そう簡単に引けない」ことを認めた⼈間の強さ。感情の丁寧な積み重ねの果てに、フィクションを超えた真実が映る瞬間がこの映画にはある。少⼥の⼼に引き戻され、今この作品と出逢えた幸福を噛みしめている。
近藤笑菜(俳優)
無⾻な朔⼦の不安定な眼差しがたまらない。そこに⻄原の真っ直ぐな眼差しが交差する。⼆⼈の世界が重なるとき、⼤海原に光がさすようでドキドキした。この映画は、”その先“を恐れることはないよと温かく送り出してくれる。
▼新予告編
■ 映画『ミューズは溺れない』 作品情報
STORY
美術部に所属する朔⼦は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを⽬撃した⻄原が「溺れる朔⼦」の絵を描いて絵画コンクールで受賞、朔⼦の絵は学校に飾られるハメに。さらに新聞記者に取材された⻄原は「次回作のモデルを朔⼦にする」と勝⼿に発表。朔⼦は、悔しさから絵の道を諦め、代わりに壊れた鳩時計などを使って造形物の創作に挑戦するが、再婚した⽗と臨⽉の義⺟、そして親友の栄美と仲違いしてしまう。引っ越しと⾃宅の取り壊し⼯事が迫る中、美術室で向き合う朔⼦と⻄原。”できること“を⾒つけられないことに焦る朔⼦は、「なぜ⾃分をモデルに選んだのか︖」と⻄原に疑問をぶつける…。
キャスト・スタッフ
上原実矩 若杉凩 森田想
広澤草 新海ひろ子 渚まな美 桐島コルグ 佐久間祥朗 奥田智美 菊池正和 河野孝則
川瀬陽太
監督・脚本・編集: 淺雄望
企画・制作・プロデュース:カブフィルム
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト|配給協力:ミカタ・エンタテインメント
2021年|82分|16:9|カラー ©️カブフィルム
HP: https://mikata-ent.com/movie/1205/
Twitter: @musehaoborenai
9/30(⾦)〜10/6(⽊)テアトル新宿、10/14(⾦)・10/15(⼟)シネ・リーブル梅⽥ほか全国順次公開