12月4日、池袋シネマ・ロサにて、映画『アリスの住人』が上映を開始。初日舞台挨拶には、樫本琳花、淡梨、しゅはまはるみ、伴優香、澤佳一郎監督が登壇し、公開初日を満席で迎えた喜びを語った。
澤佳一郎監督は本作をつくるにあたって、しゅはまはるみと話し合ったこと、伴優香さんの人生を作品に投影するに当たり、本人に気遣いながら細かなことまで話を聴き、台本に反映させたエピソードが語られた。
映画『アリスの住人』の概要・あらすじ
主演は樫本琳花。劇中では18歳の港つぐみを演じた。過去に父から性的虐待を受けたつぐみはトラウマを持つと同時に、自分が大きくなったり、小さくなったりバランスがわからなくなる「不思議の国のアリス症候群」に悩まされている。
しゅはまはるみは、劇中でファミリーホームのママ(養育者)加茂朋恵を演じた。ファミリーホームとは児童養護施設から派生した制度で児童を家庭に迎え入れて養育する。
ある日、つぐみは淡梨が演じる前野賢治と出会う。お互いに惹かれ合う二人だったが、つぐみの秘密が明かされてしまう・・・。
■映画『アリスの住人』 公開初日舞台あいさつ
▼初日満席の喜びと感想
樫本琳花
港つぐみ役を演じさせていただきました樫本琳花です。本日は『アリスの住人』の初日公開日にご来場いただき、ご覧いただきまして本当にありがとうございます。この光景を見たかったので本当に満席になって嬉しいです。本日は最後までお楽しみください。
しゅはまはるみ
子どもたちを預かっているファミリーホームのママ、加茂朋恵を演じましたしゅはまはるみです。今日は皆さんありがとうございます。
すごい!満席嬉しい!前回ここに立ったときは『そこにあるもの』の音声ガイドで舞台挨拶をやらせてもらったときと、同じ服装で来ています。
澤佳一郎監督
ファミリーホームは耳馴染みがない言葉とは思います。「里親」は聞いたことがある方はたくさんいると思います。その里親制度を発展させたような制度で、児童養護施設というような施設で子供たちを育てていくというよりかは、より家庭的な環境で、子どもたちを育てて行こうという場所になっています。ちなみに僕の服装は『アリスの住人』カラーです。
伴優香
白戸多恵役を演じました伴優香です。本日はありがとうございます。
初日満席って本当にすごい。テンションが上がっています。まだまだ小さい映画なので皆さん、力を貸してください。SNS等で拡散してください。お願いします。
私は今めちゃくちゃ緊張しているんです。さっき天白ちゃんの隣にいたんですけど、小声で「緊張しているんだけど」って言ったら、ちっちゃいチョコをくれました。今はそれを食べて頑張っています。
▼淡梨さん、樫本琳花さんのインタビューと感想
澤佳一郎監督
撮影中のムードメーカーは淡梨さんですね。
(淡梨さんのインタビュー記事には)作品の背景というか、世界観というのを淡梨さんなりに捉えてくれていました。
淡梨
前野賢治役を演じさせていただきました淡梨と申します。よろしくお願いします。
取材を何社かに受けさせていただきました。取材記事は『アリスの住人』の公式アカウントでリツイートしてます。
「(脚本を読んだ時に)なんだこれは」と思いました。脚本を読んだときには完成した状態が想像できませんでした。期待値半分と自分の役をどう解釈するか現場に入るまで全然わかりませんでした。
皆さんとお会いする前、初日に樫本さんと、初めてお会いしてそこから現場に入っていくかたちでした。すでにコロナの流行時期に入っていたから打ち合わせもそこが初めてでしたし、いろいろ新鮮でした。
樫本琳花
取材は初めてでした。喋ったことが全部文字になって現れるので、怖いなと思いました。
主に作品のことなんですけど、私が役者を再開したときのお話とかが載ってる記事があるので、良かったら読んでみてください。
▼しゅはまはるみさんへのオファーと話し合ったこと。伴優香さんが明かした胸の内
澤佳一郎監督
大きな存在感とか、何かどっしりとしたものっていうのが、やっぱりこの作品には必要で、これから観ていただく中のファミリーホームの中にいるママさん・養育者って役はしゅはまさんしかいないと思いました。
オファーしてみてどうだろうなと思ったんですけれども、快く引き受けていただきました。
しゅはまはるみ
本当に嬉しいオファーでした。
台本を見て、「本当に真剣に取り込まんといかんぞ」って思ったから自分なりに本を借りたり、Webで読んだりいろいろ調べました。
澤監督ともたくさんお話をさせていただきましたし、澤監督のご家庭のことも聞いたし、私がこうだったんだよっていうお話も聞いてもらいました。公民館で向かい合っていろいろお話させていただきました。
こういう問題とか、事件・事故も全てそうなんですけど、それを題材にして書きたいと思う映画監督さんとか舞台演出家さんがいらっしゃると思います。その時に、どこまで当事者の気持ちに寄り添ってくれるのかなっていうのがすごく私は大事にしたいんです。大事にしないと怖いです。澤監督がどんな気持ちでこの作品を作ろうと思っているかっていうのが、ちゃんと明確だったし、思いがそこにしっかりどっしりあるなとわかったので、その時点では台本はできていなかったと思いますが、お話した後でぜひやらせてくださいって言ったと思います。
澤佳一郎監督
樫本さんもそうなんですけど、難しい役どころというのもあるし、俳優の経験っていうのは初めてに近いっていうところで、密に話をしないといけないと思って早い段階から話をしました。
「こういうシーンがあるんだけれども大丈夫かな」とか、「過去にこういうことをされてるっていう、背景もあるけどそれも背負えるかな」といった内容です。
伴さんも同じなんですけれども、(自身の話を)言っていいかどうかというのは、本人に任せています。取材の際にも話していますが、本編に映る伴優香さん演じる多恵は、伴さんの人生を投影しています。なので本当にあったことですし、伴さんの過去になります。
その話もお伺いさせていただいて、脚本に取り入れるときにも、想像する部分もいい加減に想像してはいけない部分だったので、きちんとどういうことがあったのかを聴くことが大事だと思いました。(伴さんにとっては)話したくないことだったかもしれないけれども、そこで伴さんも心を開けずに僕に話せなかったら、多分その役はなかったかもしれないところではありました。
伴優香
最初はやはり(自分のことを澤監督に)話すことに抵抗はありました。澤監督は「大変だったね」と肯定しながら話を聞いてくれるんです。その言葉にどんどん心を開かされて、いろいろ話してしまいました。
話の大きいところだけを台本にするのではなく、私がポロッとつぶやいた一言も全部脚本に入れてくださっていて、すごい細かいところまでちゃんと聞いてくれてたんだなあと思っています。ありがとうございます。
▼-初日限定!主題歌生ライブ
映画『アリスの住人』の上映、初日限定の主題歌生ライブも行われた。
舞台に立ったレイラーニ(現・中嶋晃子)さんは、主題歌である「群衆の中の猫」を歌い上げた。
■作品情報
キャスト
樫本琳花 淡梨 しゅはまはるみ 伴優香 天白奏音
久場寿幸 合田純奈 みやたに 大山大 萩原正道 太田翔子
蓮田キト 荻野祐輔 小春 るい乃あゆ 獣神ハルヨ 森下さゆり
遠藤史也 たなかあさこ 小澤雄志 赤江隼平 山下徳久 大石将弘 山谷ノ用心
スタッフ
原案・脚本・監督・編集:澤佳一郎|助監督:曽我真臣 合田純奈|撮影:温水麻衣子 髙田裕真
録音:川上翔生|ヘアメイク:蓼沼仁美 片山智恵子 藤澤和紀|音楽:伊藤求
制作:大石知恵 久場寿幸 高瀬満寿保|Executive Producer:宮崎和紀|後援:一般社団法人 日本ファミリーホーム協議会 主題歌:『群衆の中の猫』作詞・作曲:尾崎豊 編曲:Tomi Yo 唄:レイラーニ
英題:Resident of Alice|©2021 reclusivefactory
製作・配給:reclusivefactory〔2021|日本|カラー|DCP|アメリカンビスタ|ステレオ|64分〕
12月4日(土)池袋シネマ・ロサほか全国順次公開