映画『私を判ってくれない』W主演・平岡亜紀、花島希美 オフィシャルインタビュー

映画『私を判ってくれない』W主演・平岡亜紀、花島希美 オフィシャルインタビュー

鹿児島県 長島町での2度目の制作となる映画『私を判ってくれない』が、9月3日より鹿児島ガーデンズシネマにて先行公開、9月9日より池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開される。「長島町に再び映画を」という町の人の声、そして『夕陽のあと』に携わったスタッフの想いを実現すべく、制作が始まった本作。“自称・女優”の城子役の平岡亜紀。そして城子の幼なじみ由記乃役の花島希美のオフィシャルインタビューが到着した。

私を判ってくれない

■ 映画『私を判ってくれない』

『夕陽のあと』のスタッフが贈る、
突然島に帰ってきた城子と、島から出たことのない由記乃の物語。

鹿児島県長島町を舞台に、初めて制作された映画『夕陽のあと』(2019)。「長島町にふたたび映画を」という町民の想いから、2作目となる本作が生まれた。監督・脚本は『夕陽のあと』で助監督を務めた近藤有希と水落拓平。
“自称・女優”の城子役は、俳優業だけでなく近年は映画監督としての活動も目覚ましい平岡亜紀。そして城子の幼なじみ由記乃役は、利重剛プロデュースのショートフィルム企画“Life works”以来、近藤監督とは2度目のタッグとなる花島希美が演じている。
2人の監督によって2つの視点で描かれる本作は、たった1つの視点が真実のように受け止められてしまう社会の不確さを映し出していく。

▼鹿児島県 長島町での2度目の映画制作

「長島町に再び映画を」という町の人の声、そして『夕陽のあと』に携わったスタッフの想いを実現すべく、2作目の制作が始まりました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の影響で、撮影は2度見送られ、スケジュールは約1年の延期。その間、より良い作品するべく、監督、プロデューサーと共にリモートによる台本作りを数十回行われ、また、こうした環境下で撮影を実現するために対策を考えてきました。
そして3度目の挑戦では、台本の製本はスタッフ自前でおこない、撮影機材は横浜を舞台に連作ショートフィルムを手がけているLife worksからお借りし、宿泊場所や劇用車は長島の協力者にお願いをする、まさに手弁当の制作体制のなか、PCR検査を受け撮影に臨む準備を整えました。しかし、クランクイン前日に長島町内で新型コロナウイルス感染者が確認されたため、スタッフ一同撮影中止を覚悟しました。
その後、長島町役場の後押しによって撮影を許可いただき、構想から2年を経た3度目の挑戦によって撮影を開始することになりました。これまでの苦労を越えて、キャスト、スタッフは一枚岩となり「必ず面白い作品にする」覚悟を分かち合うことができました。そして2021年5月下旬に無事撮影を終え、ついに映画『私を判ってくれない』が完成しました。

▼プロデューサーのコメント

小楠雄士プロデューサー
「長島町にもう1度映画を」その想いだけで駆け抜けてきました。
一見、長島町のことを考えていながら、自分勝手な押し付けかもしれないという気持ちも抱えていました。ただ、それでも長島町のことを多くの人に知ってもらいたい。3年半という短い期間を暮らし、見方によってはプライバシーも無ければ、お節介な瞬間もありましたが、それでも周囲の人との距離感の近さに、東京で見失っていた大切ななにかに気付かされる日々をおくることができました。是非作品に触れたあと、長島町を訪れてみてください。一生懸命暮らしている人たちばかりの、映画だけでは伝えきれない素晴らしい町です。

■ W主演・平岡亜紀、花島希美 オフィシャルインタビュー

▼この作品に参加する事になったきっかけを教えてください。

平岡亜紀(ひらおか あき/高畑城子 役)
以前、利重剛監督の短編映画に出演した際に、近藤監督が助監督で入っていて、そこで近藤監督と出会ったのがきっかけです。その短編映画での私の芝居を思い出して、今回オファーして下さったと聞きました。

私を判ってくれない
平岡亜紀(ひらおか あき/高畑城子 役)

花島希美(はなじま のぞみ/市村由記乃 役)
横浜にある利重剛さんのスタジオ “life works” で近藤有希監督と出逢ったことが大きなきっかけのように思います。
そこから、利重剛さんと中村高寬さんがプロデュースする、横浜を舞台にした連作ショートフィルム『Life works』の近藤さんの作品『デビュー』に出演させていただき、そのつながりから、この作品の出演にお声がけいただきました。
本当にありがたいご縁でした。

私を判ってくれない

花島希美(はなじま のぞみ/市村由記乃 役)

▼脚本を読んだ感想はいかがでしたか?

ー平岡さんが演じられた高畑城子は、なかなか大胆な役柄だと思いますが。

平岡亜紀
すごくもどかしさを感じました。正直なところ、城子のことが全く理解できないわけではなかったです。(笑)人が優しさとしてかけた言葉にイラッとしてしまう経験もありましたし。ただ、そこで普通の人なら「この人は優しさで言ってくれてるんだから」と理解して、たとえイラっとしてもグッと堪えますよね。それを何も考えず感情のままに相手にぶつけてしまう城子。「わかるよ、わかるけど違うんだ、、、。大人になってくれ!」と呟きながら、昔の自分の言動を思い出しつつ、何だかヒリヒリしながら読んでました。(笑)

-花島さんは脚本を読んだ感想とそれぞれの役柄についてどう思いましたか。

花島希美
(城子と由記乃は)なんて、正反対な2人なんだろう!と思いました(笑)
また、それぞれの気持ちや場面などに共感するところがありました。

▼どのように役作りをしたか

-役作りはどのようにされましたか?

平岡亜紀
今回の役は、自分の過去の経験から感情を探してくることが多かった気がします。例えば、城子がお金もなくなり東京から長島に帰ってくるシーンは、自分がアメリカに留学へ行った時の事を思い出していました。「ハリウッドの映画にでる」という大きな目標を抱えながらいざ渡米すると、大きな壁だらけで、「渡米前の作戦じゃ突破できそうにない」と気づき、帰国を決めたのですが、その時は、どんな顔で東京へ帰ろうかなって、結構考えていました。城子も現実の厳しさを思い知って辛かっただろうなと、当時の自分の感情を重ねてみたりしてました。

花島希美
実際の年齢よりも役の年齢が若かったので、若く見えるように(笑)前髪を切り、ショートカットにしました。
由記乃像がなかなか明確にならず、悩んでいたのですが、水落監督が由記乃は映画『第七天国』のヒロインのイメージだとアドバイスをいただき、貸していただいた、DVDで、ヒロインの女性の出演シーンを何度も見ました。

▼ご自身と役柄の似ているところ/似ていないところは?

-平岡さんと城子の似ているところ、逆に似てないところはありますか?

平岡亜紀
とにかく負けず嫌いという点と、夢の為には熱いところ、凄い似ているなと思います。似ていないところは、そうですね、、、常軌を逸したレベルの我儘さと、傲慢さですかね。

-花島さんと由記乃の似ているところ、逆に似てないところはありますか?

花島希美
似ているところは、実は自分の意思や正義感があるところや誰にでも良い顔をしてしまうところは少し似ているかもしれません(笑)
似ていないところは、変化を求めないところかな?と思います。

▼城子の行動と今後をどう考えたか。

ー城子は悪く言われるのはわかっているのに、なぜ地元に帰って来たのでしょうか?彼女は今後どうしたいと思っていると思いますか?

平岡亜紀
東京での色々が、もう本当にキツくなってしまう瞬間があったんだと思います。現状を変えたという思いがあり、単純に帰れる場所が地元だったんだろうなと。あと、事を起こしておいて知らぬ顔で帰って来れるのは、後ろ髪を引かれつつもやはり自分は悪くないという思いがあったからだと思います。

私を判ってくれない

▼由記乃の生き方に対する花島さんの考え

-由記乃はずっと島から出ずに生きてきています。花島さんは静岡から東京に来て俳優をしていますが、彼女の生き方をどう思いますか?

花島希美
私とは正反対の生き方ですが、日常の中にある小さな幸せを大切に生きている由記乃の生き方はとても共感できますし、素敵だなぁと思います。

私を判ってくれない

▼城子と由記乃、二人はお互いをどう思っているか

-市村由記乃という同級生を、城子はどう思っているんでしょうか?不思議な関係性ですよね。

平岡亜紀
やはり、他の人とはちょっと違うポジションにいる人物として見ているとは思います。由記乃の父親である、市川さんのことを昔から親しんでいるわけですし、大好きですよね。そんな人物の娘。どこか、一目置いているところもあり、ちょっとした嫉妬もあるんだろうなと思います。

私を判ってくれない

-高畑城子という幼なじみを、由記乃はどう思っているんでしょうか?一見、正反対に見えますが、実は似ているのでは、とも思いました。彼女の存在は、今後どう影響してくるんでしょうか?

花島希美
由記乃は自分の気持ちをしっかりと表現できる城子に憧れを抱いていると思います。また、女優になるという夢に向かって一生懸命なところも素敵だなぁと思っていると思います。正義感があるところ、自分の思いをしっかりと持っているところは似ているのではないかと思います。
城子の存在に刺激を受けて、由記乃はこれから、自分の本当の気持ちを相手に伝える努力をしていくのではないかと思います。

▼長島町での撮影について

-長島町での撮影はいかがでしたか?

平岡亜紀
母親が熊本県出身で、小さい頃から毎年、夏休みは一ヶ月間丸々熊本で過ごしていました。それから冬休みも。その時によく天草の海に遊びに行ったりドライブに連れて行って貰っていたのですが、長島から天草が見えるんです。そのせいもあってか、何だか隣町に来たような感覚さえありました。また、現地の皆様もとても温かく迎えてくれて、本当に地元に帰ってきたような気持ちに。豊かで美しい自然に囲まれての撮影、本当に贅沢な時間でした。

花島希美
長島町は海に囲まれた自然豊かな静かな島で、とても穏やかな気持ちで過ごすことができました。
監督を始め、東京、鹿児島の出演者、スタッフのみなさんが本当に本当に素敵な方々で安心して楽しく撮影に参加することができました。一緒に作品を作り上げることができ、本当に幸せな時間でした。
撮影の合間に長島町を案内していただき、素晴らしい風景を見ることができて、感動しました。
地元の海鮮やお菓子の差し入れなども本当に美味しくて幸せでした。
本当にありがとうございました。

▼撮影時のエピソード

-何かおもしろいエピソードがあったら、教えて下さい。

平岡亜紀
城子が掃除の仕事を辞めてしまい、それを市川さんが説得するシーンがあるのですが、脚本を読んだり実際に撮影が行われたタイミングでは気づかなかったのですが、初号試写で本編を観ると、市川が城子へかけた言葉が由記乃にもかかっているように見えたんです。それを観たときに、「凄い演出!こんなトリックがあったなんて!」と思ったんです。監督にそのことを伝えると、実際は意図していなかったそうです。受け取る人にはそう見えるシーンだったみたいで、それがとても印象的でした。視聴者によって、映画がより映画になっていく瞬間を体験できました。

花島希美
実は、以前、父親役の鈴木卓爾さんのワークショップを受けさせていただいたことがありました。
今回、娘役で共演できることになり、とても嬉しかったです。
そして、実は横浜の短編映画”life works”『デビュー』で共演する予定だったのが、叶わなかったという経緯があり、、今回、念願の共演でした。
城子の部屋の前での親子のシーンは本当に楽しくて、笑うのを堪えるのに必死でした。

私を判ってくれない

▼近藤有希監督と水落拓平監督の演出

-監督がお2人ですが、それぞれの演出はいかがでしたか?

平岡亜紀
私は主に近藤監督から演出を受けていました。とても印象的だったのは、私が泣くシーンでの演出です。「このシーンはこうだから。」等、説明などはなく、とにかく私の気持ちが入って涙が出てくるまで待ってくれました。1カット目で泣けなくて焦っていたのですが、カメラマンの小倉さんと一緒に「平岡さんの気持ちが入るまで待ちましょう。」と話し合っていたそうで、焦っている私とは対照的に「ゆっくりで大丈夫だよ。」と小さい声で声をかけてくれたのが印象に残っています。そのおかげで、焦りの感情も消え、芝居に集中できたのを覚えています。

花島希美
お二人とも本当に優しいので、安心して演技に取り組むことができ、本当にありがたかったです。
主に水落監督から演出を受けましたが、クランクイン前に10枚に渡る演出メモをいただき、そのメモを元に由記乃を表現しようと意識しました。
とても丁寧に監督のお考えを教えてくださり、ありがたかったです。
しかし、現場ではほとんど何も言ってくださらなかったので、この表現で本当に良いのだろうかと不安になりました(笑)(笑)
しかし、そのお陰で、萎縮することなく、演技をさせてもらえたように思います。
お二人の監督と撮影前にお会いしたり、メールでのやり取りをしたりして両監督のお考えをうかがいました。
また、撮影中にも2人の監督の思いを感じたので、どちらの思いを受け取って演じたら良いのかを迷ったりもしました。
表現には正解はないという難しさを改めて感じました。

▼ご自身の監督経験はどのように役立っているか

-平岡さんはご自身で監督をされていますが、この撮影の際にその経験が役立つ事はありましたか?

平岡亜紀
良いか悪いかは別として、今まではどちらかというと自由に思ったままにそのシーンの芝居をしてみるというスタンスでしたが、最近はシーンの繋がりだったりカメラの動きだったりも考えて芝居を作るようになりました。制作の動きがわかるというのは、心の余裕というか、現場での心構えにも繋がってきたりするので、監督始めてよかったなと思っています。

▼今後の予定は?

-今後のご予定を教えて下さい。 

平岡亜紀
今は、監督としてお仕事のオファーをいただいているものが控えています。脚本を書いたり映画を作るのも本当に面白くて大好きですが、それと同じくらいお芝居も好きなので、どちらも引き続き精力的に続けていきたいです。もともと、自分が芝居する機会を作るために映画制作を始めたので、自分で監督する作品では、できそうな役がある限り出演しています。今後も、監督、役者、二足の草鞋でやっていこうと思っています!

花島希美

まだ、情報公開をしていないのですが、10月に新宿で三人芝居をする予定です。
Twitterなどで告知しますので、ぜひ、チェックしていただけたら、嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

【花島希美 Twitter】
https://twitter.com/nozomi_hanajima


■映画「私を判ってくれない」

【STORY】
城子は3年前にこの島を舞台にした映画で主演デビューするはずだったが、制作は頓挫。島で映画制作にお金を出していた人の中には、いまだに城子を恨んでいる人もいる。 一方由記乃は、ずっと家族と実家暮らしをしていたのだが、根無草の城子が突然同居することになり、日常が脅かされる。東京から島に突然帰ってきて、再び「映画を撮る」と云い始める城子。それをきっかけに、静かな島にいくつのも小さな事件が巻き起こる――。


平岡亜紀 花島希美 鈴木卓爾 今井隆文 西元麻子 
松本雪乃 山田こはる 四元りな 帖佐弘美 長元信男 和泉ちぬ

監督/脚本/編集:近藤有希 水落拓平 プロデューサー:小楠雄士 
撮影:小倉和彦 音響:黄永昌 美術:塩川節子 ヘアメイク:宮崎智子 衣裳:大友あいか
製作:獅子座 制作協力プロダクション:SS工房 協力:鹿児島県長島町
配給:フルモテルモ ©私を判ってくれない
2022年/日本映画/ビスタサイズ/カラー/2.0ch/100分
Nobody-getsme.com

9月3日(土)より 鹿児島・ガーデンズシネマにて先行公開

9月9日(金)より 池袋シネマ・ロサ 全国順次公開

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