8月27日(土)から池袋シネマ・ロサにて、映画『とおいらいめい』が公開。今回、大橋隆行監督と三姉妹の長女・次女役を演じた吹越ともみさん、田中美晴さんにお時間をいただき、本作制作のきっかけと、オーディション時の忘れられないエピソード、女優お二人の趣味についてもお話を伺いました。
- 1. ■映画『とおいらいめい』監督、キャストインタビュー
- 1.1. ▼本作制作のきっかけ
- 1.2. ▼舞台版で主演をされたしゅはまさんから熱く語られたこと
- 1.3. ▼キャスティングについて
- 1.4. ▼役が決まった時の感想は?
- 1.5. ▼結びつきの強い、長女・次女を演じるにあたって行ったこと。
- 1.6. ▼少女時代と現代と
- 1.7. ▼初めて脚本を読んだ時の感想、完成した作品を観ての感想
- 1.8. ▼キャスト二人の趣味・特技について
- 1.9. ▼吹越さんの趣味
- 1.10. ▼この子のためにお仕事を!
- 1.11. ▼ノストラダムスの大予言。覚えていることは?
- 1.12. ▼印象的な食事のシーン、ケンカのシーン
- 1.13. ▼もしも「世界・地球が終わってしまうとしたら」
- 1.14. ▼日の沈むシーンと三姉妹と…
- 2. ■お客様へのメッセージ
- 3. ■映画『とおいらいめい』作品概要
■映画『とおいらいめい』監督、キャストインタビュー
▼本作制作のきっかけ
ー監督への質問です。今回、舞台が原作の作品を映画化しようと思ったきっかけを教えてください。
今回の作品は長谷川朋史さん(本作では撮影監督)が2004年に上演した舞台が元になっているとうかがっています。当時は主演がしゅはまはるみさんだったそうですね。
大橋隆行監督
長谷川さんとはブライダルの撮影の仕事でご一緒していて、僕の作品が池袋シネマ・ロサで上映しているときに、長谷川さんに観ていただけて、面白いと思っていただけたのと、ご自身がかつてやっていた舞台を映画にしたいという目論見があったらしく、「1本やってみませんか?」とお誘いいただいたのがきっかけで、今回の作品を映画化することになりました。
ー原作との違い、今回の映像化にあたってのオリジナルな部分がどういった点としてあるかお聞かせください。
大橋隆行監督
まず原作は双子の姉妹のお話で、一幕一場もので、世界が終わる前夜の1日を描いたお話だったんです。それを三姉妹の設定に変えました。かつ、原作ではメインの2人が、世界が終わることを知らない状況で話が進んでいくんですけど、そこをもうみんなが知っている状況に置き換えました。主にその2点が大きく変わったところです。
ー「舞台版の『とおいらいめい』は長谷川監督が36歳の時に書かれた舞台で、それを36歳の大橋監督が映画にする不思議な縁を感じた」というコメントを読んだのですが、この“不思議さ”について長谷川監督と交わされたお話のエピソードはありますか?
大橋隆行監督
実際に撮る前にそういう話が出ました。「長谷川さんご自身が当時、36歳の頃に作ったものを、今同じ年代の歳の僕が撮るというのは、何かの縁があるのかもしれませんね」というのはちらっとお話ししました。
あとは原作の舞台から時間がすごくあいていたので、「自由にやってもらって構わないよ」と言っていただきました。
-「原作に忠実に」といった言葉があったわけではないんですね。
大橋隆行監督
はい。「そこにはこだわらずに自由にやってほしい」と言ってくださったので、すごくやりやすかったです。
▼舞台版で主演をされたしゅはまさんから熱く語られたこと
-しゅはまはるみさんのコメントで、隕石映画というか『ディープインパクト』についての熱い思いを大橋監督に語ったというものを読んだのですが、どういったお話をされたのでしょうか?
大橋隆行監督
しゅはまさん的には、そういった作品の“生きたくて必死にもがく人間臭さ”といった点に魅力を感じるということをお話しされていました。
割と僕が作る作品は、そことは距離があるというか達観した人たちが出てくることが多いので、初期段階で台本を読んでいただいたときに、しゅはまさんからそういったお話をいただいて、今となってはどうだったかわからないのですが、お話を聴いて、自分の中でも変化する部分があるのを感じました。
▼キャスティングについて
-キャスティングについて、吹越ともみさん、田中美晴さんの選出方法や理由についてお聞かせください。
大橋隆行監督
お二人はオーディションで選ばせていただきました。
最終的には3、4組に分けて30人前後にお会いしたんですけれども、たまたまお二人が同じ組で、並んでいる二人を見たときにどことなく雰囲気が似ているなと、姉妹っぽいなと感じたんです。
お芝居をお二人で組んで何回かやっていただいた時に、吹越さんが緊張から、頭が真っ白になってしまって止まるハプニングがあったんです。
そのときの吹越さんの必死さ、真面目さの印象に、今回のおねえちゃん(長女・絢音)のキャラクターとかぶる部分がありました。また、それに動じない田中さんがいて、その感じが求めていた姉妹のイメージでした。
そのタイミングではまだ脚本が仕上がっていなかったので、ぼんやりとしたキャラクター像しかなかったんですけど、この2人にお願いしたらきっといいだろうなと感じたのが、お二人を選んだ理由です。
-オーディションで見た二人の姿を見て、あて書きしていく流れになったのでしょうか。
大橋隆行監督
そうですね。そのオーディションの場でちょっとしたやりとりしかなかったんですけど、そのときの印象がすごく自分の中に残っていて、具体的な人物を想像でき、脚本を書き進めやすくなりました。
▼役が決まった時の感想は?
-お二人の、役が決まったときの感想をお聞かせください。
吹越ともみ
いま大橋監督からお話していただいたように、私としてはオーディションの時点で世界が終わってしまっていました。「やらかしたな…」と感じて、帰り道、本当に落ち込んで帰った記憶しかありません。
まさか、選んでいただけるとは思っていなくて、初めて自分がポンコツでよかったなって思います。
選んでいただいたのは、本当に美晴ちゃんのおかげです。
今でもそれを思っています。連絡をいただいたときは、素直に嬉しかったです。初めて長編映画に挑戦させていただいたので、自分のターニングポイントとなる作品になればいいなと思っています。
田中美晴
単純に役が決まったことがすごく嬉しかったです。
吹越さんからこの話をよく聞くんですけど、逆に私はそれで助けられた部分が大きいです。
吹越ともみ
本当ですか???
田中美晴
だって、緊張するじゃないですか。
吹越さんの、オーディションで真っ白になってしまったとしても、一生懸命さでむしろプラスになるみたいなその感じを見ていて、ほっこりしましたし、私もそのおかげで緊張が解けてお芝居ができた部分があったと思っています。二人でご一緒できるって聞いてすごく嬉しかったです。
▼結びつきの強い、長女・次女を演じるにあたって行ったこと。
-三姉妹の中の長女次女という関係で劇中、特に結びつきの強い二人だと感じました。姉妹を演じるにあたって、お二人で話し合ったことはありますか?
過去の背景だとかについては話し合いましたか?
田中美晴
“両親がいなくなったのが何歳で…”みたいな話をしませんでしたっけ?
“音ちゃんとはいつ以来あっていない“といった話とか、親との関係まわりについて話したものの、再会する前までに何をしていたかについては、すり合わせはしていなかったと思います。
▼少女時代と現代と
-少女時代の絢音・花音の子役の方と話したことはありますか。
吹越ともみ
撮影が子役の二人とは別だったので、試写で初めてお会いしたんです。
田中美晴
ただ、3月に岡山の部分を撮ってから、8月の子役部分の撮影を挟んで、12月に残りを撮ったので、その時は喧嘩のシーンの前に子役の二人の姉妹のやりとりを見させていただいて、それを真似てというわけではないのですが、もう1回思い出させるような喧嘩にできたらといった話がありました。
こどもみたいに「おねえちゃんのせいだ!」言った記憶があります。
▼初めて脚本を読んだ時の感想、完成した作品を観ての感想
-脚本を初めて読んだときの感想と、完成した作品を見たときの感想を教えてください。
吹越ともみ
初めて読んだときは、この世界が終わるということで、その終わりをどう映像で表現するのか、それを見てリアルに感じられるのかなと、いろいろ心配でした。それは、楽しみでもあり心配でもありました。
実際に演じてみて出来上がったものを見ると、本当に、ゆっくりじっくりと世界が終わっていって、受け入れたくはなくても、自然にすんなりとこういうことが起こってしまったんだという感じに見受けられました。映像を観てからは、現実とすごく離れたものという感覚はなくなりました。
田中美晴
オーディションの段階では世紀末と三姉妹というワードぐらいしか知らなかったので、初めて脚本を読ませていただいたときは、想像以上に優しいお話だなと思った印象があります。こんなに優しい終わり方、温かい終わり方をする作品を見たことないかもしれないなって思ったのが第一印象です。
実際見てみて、やっぱり優しいなって思いましたし、世界の終わりの話だけれども、子供時代のときの、花音と絢音の話も含め、家族がどうなっていくのかにすごくポイントが置かれていたので、私は見終わったあとにすごく心が温まりましたし、大切な人に会いたくなりました。
▼キャスト二人の趣味・特技について
-お二人のプロフィールを確認していて興味を持った点をピックアップしてみました。
田中さんの方のプロフィール拝見させていただくと、特技に、“空手、ハンドスプリング、側転”とありました。体操などをされていたのでしょうか?
田中美晴
小学生ぐらいの時に空手を始めて6年ぐらいやっていたのと、体操クラブにも入っていました。
ハンドスプリングは久しぶりに試したらできなくなっていたので、今はプロフィールから外しています。元々、マット運動が好きで、たまたま側転を人に褒められることが多かったので、側転を特技として書いていました。
吹越ともみ
ちなみに、ハンドスプリングって何ですか?
田中美晴
バクテンの前回り版みたいな感じで、走ってきてから倒立ブリッジを、トンッとする感じです。
▼吹越さんの趣味
-吹越さんは、趣味がデパ地下巡りだそうですね。
結構インスタとかでアメリカンチャイニーズのお店に行かれているのをみかけました。
最近食べたり、おすすめのお気に入りの料理や店はありますか?
吹越ともみ
先日、Instagramに載せたお店は渋谷の宮下パークのフードコートで食べたんです。
私は渋谷の宮下パークのところもそうですし、ヒカリエとスクランブルスクエア、あと銀座松屋がお気に入りです。
どれが好きってわけじゃないんですけど、デパ地下が全般的に好きです。
▼この子のためにお仕事を!
-うさぎさんと同居されているそうで、そろそろ誕生日だとか。確か7月22日でもうすぐだなと思ったんです。
吹越ともみ
そうなんです!7月22日でうちのウサギが1歳を迎えます。
ありがとうございます。ぜひ書いてください。
大橋隆行監督
僕と誕生日一緒(笑)
吹越ともみ
本当ですか!? 覚えていたらLINEします(笑)
うさぎが私の相棒なんです。
-動物がお好きなんですね。
吹越ともみ
大好きです。ちっちゃいときにウサギを飼っていたこともあるんですけど、特にウサギが大好きなんです。もうウサギのために働いているといっても過言ではありません。
-田中さんは動物はお好きですか?
田中美晴
昔は実家でインコを飼っていたんですけど、今はいないですね。
-吹越さんの趣味で、文字を書くこととドラムがあったんですけど、ドラムができるんですね。
吹越ともみ
そうなんです。趣味程度になるんですけど、吹奏楽部と、大学でバンドもしていたので、音楽はバンド系は結構好きで聞きます。
―田中さんのご趣味は?
田中美晴
私はいま中国語を勉強していて、まだあまりできないんですけど、楽しく学んでいます。あと先日、茶道の体験に行って、趣味にしようと思っています。
吹越ともみ
趣味をきかれると結構恥ずかしいですね(笑)
▼ノストラダムスの大予言。覚えていることは?
-ノストラダムスの大予言の1999年というとお2人とも小学生だったと思うのですが、その当時の覚えていること、考えたことなどを聴かせていただけますか?
吹越ともみ
ノストラダムスの時は結構覚えていて、授業中に外が気になってしまったことがありました。
その時は多分世界は終わらないだろうな、隕石なんて落ちてこないだろうなと思いつつも、どこかでずっと気にしているような感じでした。口には出さないけどどこか頭の片隅にはずっとあるような感じでその日その日を生きていたと思います。結構覚えていますね。
田中美晴
小学校低学年ぐらいで、あまり記憶にないんです。
大人になってから、「ノストラダムスっていうのがあったんだ…」というくらいに他人事でした。うちの家族は現実主義者だったのかもしれないです。
▼印象的な食事のシーン、ケンカのシーン
-三姉妹での食事のシーンや喧嘩のシーンが印象的でした。それぞれのシーンで覚えているエピソードはありますか?
吹越ともみ
食事はスタッフの荒井さんという方が作ってくださっていました。
荒井さんは本当にお料理が上手で、毎回すごく美味しかったですね。
みんなで美味しいっていいながら、食べていました。
-喧嘩のシーンはいかがでしたか?
吹越ともみ
私と美晴ちゃんが言い合うところはアドリブだったっけ?
田中美晴
いくつか台詞は決まっていって、音ちゃんが降りてくるまでずっとアドリブだったと思います。
吹越ともみ
結構エネルギーを使いましたね。
▼もしも「世界・地球が終わってしまうとしたら」
-映画に関連して、定番の質問です。もしも世界・地球が終わってしまうとわかったらどのように過ごしますか?
大橋隆行監督
僕は多分何も変わらないと思いますね。普通の1日を過ごして終わるんじゃないかと思います。
吹越ともみ
私もシェルターに入ったりとか、悪あがきはせずに、家でいつもの日常を過ごすと思います。一番好きなものを食べて、うさぎにおやつをあげて悔いのないように幸せにしてあげると思います。
田中美晴
いろいろな会いたい人には一通り会って、一通り終わったら、一番大好きな人といたいです。
怖いからお酒を飲んでしまうかもしれませんね。
▼日の沈むシーンと三姉妹と…
-日の沈む海岸での風景と三姉妹のやりとりがとても印象的でした。お話いただけるエピソードがありましたらお聞かせください。
大橋隆行監督
きっかけとなる台詞と、締めくくりのセリフに関しては、台本上にありましたが、全部お三方におまかせして、僕からは何も注文するものはありませんでした。
吹越ともみ
海岸には線が引いてあって、カメラの画角から外れないようにしたくらいですね。
田中美晴
台詞に関して、テーマも縛りもなかったですね。
-暮れ行く空の色と、進んでいく台詞の流れが綺麗なグラデーションを描いているように感じました。
田中美晴
奇跡的でしたね…。
たまたま空も綺麗な時で、最後にきちんとみんなで(定位置に)集まれて安心しました。
吹越ともみ
プレッシャーはありましたよね。
田中美晴
のんびりしすぎて、(3人が集まる前に)日が沈んだらどうしようというプレッシャーはありました。
大橋隆行監督
ロケは、3月、夏、年末と3回にわかれていて、頭の3月のロケはコロナ前だったので合宿みたいな感じで、3人が現場以外でも密にコミュニケーションを取れる状況で、そこできっと関係性ができていったんだろうなと思います。
そういうのもあって、テンポ感がいい具合にまとまってくれた感じが見られました。
僕はもう全部おまかせだったので気楽なものでした。
■お客様へのメッセージ
田中美晴
この作品の描く世界は、世紀末って想像する世界とはまたもしかしたら違うゆったりとした世界かもしれないんですけど、そういう中で試されるものだったり、大切なものがあぶり出されるのかなと思います。ゆったりはしてるけど、きっとそれぞれに何か大切なものやいろいろ考えることがあって、三姉妹は存在したんだと思います。
この作品を見て私は大切な人の顔が浮かんだので、自分に置き換えてみれるような作品なのではないかなと思います。
吹越ともみ
ゆったりした日常と世界の終わりっていう高低差を楽しんで欲しいなと思います。突如、胸をえぐられるようなシーンになったりするので、はっとさせられるというか、「あ、世界が終わるんだった…」みたいに、観ている人も、そのギャップでやられてほしいなと思っています。
大橋隆行監督
僕の思うところをいろいろ詰め込んだ作品ではあるんですけど、とにかくメインの三姉妹を演じてくれた皆さんに現場でお任せした部分が多かったので、3人のキャラクターというか、個性が台本以上のものにしてくれた気がします。
まずはこの3人をじっくり見てもらえたらいいと思います。
[ヘアメイク:糠信いくみ (吹越ともみ)]
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■映画『とおいらいめい』作品概要
▼公開情報
出演:
髙石あかり 吹越ともみ 田中美晴
ミネオショウ 大須みづほ 森徠夢 武井美優
藤田健彦 しゅはまはるみ
企画・製作・配給:ルネシネマ
監督・脚本:大橋隆行
原作:とおいらいめい(2004年上演舞台)
2022年/日本/シネマスコープ/ステレオ/150分 ©ルネシネマ
公式サイト: https://runecinema.com/tooiraimei/
Twitter: https://twitter.com/tooiraimei
Facebook: https://www.facebook.com/rune.tooiraimei/
8月27日(土)〜9月23日(金)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開ほか全国順次公開