岸田國士戯曲賞受賞作家 松田 正隆の名作 『水いらずの星』の映画化が決定。メガホンをとるのは、越川道夫監督。発表されたキャストは、W主演となる 梅田 誠弘『由宇子の天秤』 × 河野 知美『ザ・ミソジニー』。
『アレノ』『海辺の生と死』の越川道夫監督が、海の底で息を潜め漂うように生きる元夫婦が6年ぶりの再会をきっかけに、取り戻せぬ時を虚実の混ざった言葉で紡いでいく、脚本家・松田正隆の戯曲『水いらずの星』を映画化する。
主演は、『由宇子の天秤』の梅田誠弘と『truth〜姦しき弔いの果て〜』の河野知美。スタッフ、キャストのコメントと併せて、写真家 上澤友香(うえさわ ゆか)による、本作のイメージ写真も公開された。
このイメージ写真は、映画『水いらずの星』で描かれる世界から遡ること6年、男と女が幸せ
に暮らしていた時代から映画へと辿りつくまでの物語を想定して撮影されたビジュアル。
今後、本作の公式 Twitter、インスタグラム(■Twitter @Mizuirazu_movie ■Instagram:
mizuirazu_movie)にて映画公開まで随時アップされ、『水いらずの星』という作品を、時代を超えて写真でも映画でも楽しめる贅沢な内容となっている。
■ 映画『水いらずの星』
▼STORY
のぞきこむ底 にある水
時代の流れで、造船所の仕事を諦め佐世保のビデオ屋でバイトをしている男は、ある日余命が僅かだと宣告される。そんな時浮かんだのは6年前他の男と出ていった妻の顔だった。瀬戸内海を渡り、訪れた雨の坂出。しかし、再会した女房は独り、男の想像を遥かに越えた傷だらけの時を過ごしていたのだった。逃げる女と追いかける男。
生きているのか死んでいるのかわからない二人がたどり着く安泰の地とは…。
▼監督、原作、主演コメント
<監督:越川 道夫(こしかわ みちお)>
私が壁ノ花団の演劇『水いらずの星』を見たのは、2016年のことでしょうか。松田正隆さんの戯曲、水沼健さんの演出の二人芝居。出演されていたのは金替康博さんと内田淳子さんです。金替さんと内田さんには、それぞれ私が制作したり監督した映画で縁がありました。逃
げる女、彼女の前にふらりとあらわれた元夫、降り続く雨、天窓から差し込む白い光、スプーンの上の義眼、点滅する赤いランプ、水没する世界。見終わって、いつまでも続く演劇の余韻に耐えかねて、私は内田さんに戯曲をねだりました。それ以来、コピーした松田さんの戯曲を
繰り返し読み、作品を妄想したものでした。河野知美さんから一緒に映画をと誘いうけ、思いついたのがこの『水いらずの星』です。コピーを渡すと、すぐに声に出して読み始め、涙を流していた河野さんの姿を覚えています。相手役は梅田誠弘さん。作者である松田正隆さんに、
基本的にこの戯曲のままで、と言いました。なぜなら、私はこの作品が好きなのですから。映画化はまだ始まったばかりです。
<原作:松田正隆(まつだ まさたか)>
『水いらずの星』は、2000年に羊団という演劇集団に書き下ろした戯曲です。それまで書いてきた写実的な日常の劇からなんとか離脱したい思いがありました。たとえ登場人物に霊的な存在を構想したとしても、台詞を書きその言葉が俳優にとり憑けばむしろ身体があらわになるということを演劇の面白さとして自覚した契機になりました。タイトルは昔読んだサルトルの「水いらず」と太陽に一番近い惑星をイメージしていたように思います。この度、映画化されるということを聞いて驚いています。この戯曲がどのような跳躍を遂げてスクリーンによみがえるのか、今から楽しみでなりません。
<男役:梅田 誠弘(梅田 まさひろ)>
この作品に参加できることをとても光栄に思います。松田正隆さんの『水いらずの星』の脚本を拝見させて頂いたときとても強烈な作品であると感じました。生活を共にし、お互いの存在をぶつけ合いながら長い時間を過ごした2人の間にはとても濃い世界観ができあがるのだなと。そしてその2人の世界はこの世もあの世も超えて絡み合った想いとなってただただ漂い続けいくというような、そんな感覚を受けました。そんな作品を越川道夫監督と作り上げていけることをとても嬉しく思います。河野知美さんと力を合わせてしっかりと形にしていきたいと思います。
<女役:河野 知美(こうの ともみ)>
越川監督に、河野と映画を作るなら松田正隆さん原作『水いらずの星』だと思う。と言われ、台本を読み終えたとき、今までの自分をまるごと優しく抱きしめてもらえたような。大丈夫と言われたような感覚で、全身が震えたのを覚えています。名前のない「女」と「男」という役
は、どんな事があっても強くたくましく生きる力があり、一方で愛する人の前では弱くはかない。愛されたいと切に願う「あなた」そのものだと思います。越川監督が掛ける橋を渡って、この二人の時間が不器用に絡まりながら、寄り添いながら流れ着くラストシーンに梅田誠弘さんと、人間らしい愛らしさを持って泳ぎきることができれば幸いです。
▼プロフィール
<監督:越川 道夫(こしかわ みちお)>
<原作:松田正隆(まつだ まさたか)>
<男役:梅田 誠弘(梅田 まさひろ)>
『由宇子の天秤』(21/春本雄二郎監督)にて今年の高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞 し高い評価を得る。現在公開中の『鬼が笑う』(22/三野龍一監督)では中国人労働者を熱演。このほか話題作『PLAN75』(22年/早川千絵監督)やSKIPシティ国際Dシネマ映画祭コンペ作品『命の満ち欠け』(22/小関翔太・岸建太朗監督)に出演するなど、今後の更なる活動が期待される。
<女役:河野 知美(こうの ともみ)>
<写真家:上澤 友香(うえさわ ゆか)プロフィール>
1989年長野県生まれ。三部正博氏に師事後2015年に独立。主にファッションやカルチャーの分野を中心に雑誌や広告で活動中。クライアントワークの他にライフワークとして、「nascence」というプロジェクトを立ち上げ、誕生や喪失、母と娘の関係性をテーマに、展示に向けて作品を制作している。
<ヘアメイク:西村 桜子(にしむら さくらこ)プロフィール>
1991年神奈川県生まれ。国際文化理容美容専門学校卒業後、4年間のサロンワークを経てヘアメイクに。主にCM、映画、ドラマ、MVなどを中心に活動。更に活動の幅を広げるため、着付けを習得。リアルでストーリー性のあるもの、個々の個性を生かすメイクを心掛けている。
タイトル:水いらずの星
監督:越川道夫 『アレノ』『海辺の生と死』『夕陽のあと』
原作:松田正隆 『紙屋悦子の青春』『海と日傘』『夏の砂の上』
主演:梅田誠弘 『由宇子の天秤』『鬼が笑う』『かぞくへ』
河野知美 『truth〜姦しき弔いの果て〜』『ザ・ミソジニー』
プロデューサー:古山知美
企画・製作:屋号河野知美映画製作団体
制作協力:有限会社スローラーナー/ウッディ株式会社
配給:株式会社フルモテルモ/IhrHERz 株式会社
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■Instagram:mizuirazu_movie
©2022 松田正隆/屋号河野知美映画製作団体
2023年公開予定