2022年7月16日(土)、SKIPシティ 映像ホールにて、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」のオープニングセレモニー&オープニング上映『世界の始まりはいつも君と』舞台挨拶が行われた。
『世界の始まりはいつも君と』舞台挨拶には、手島実優、根矢涼香、栗生みな、磯部鉄平監督が登壇、手島さんと根矢さんが演じた漫才の難しさや、栗生さんが役に入るためにとっていた行動などが語られた。
■ 映画『世界の始まりはいつも君と』概要
▼イントロダクション
パラレルワールドで展開する、女子高生たちの生死を懸けたドラマ。映画祭のオープニングにふさわしい、堂々たるエンターテインメント作品を監督したのは、2018年『予定は未定』で短編部門優秀作品賞、2019年『ミは未来のミ』がSKIPシティアワード、そして、2020年『コーンフレーク』が長編部門観客賞と、本映画祭初の3年連続受賞を果たした磯部鉄平。脚本の永井和男とともに、ユーモアを交えて、市井の人々の日常を温かく描いてきた唯一無二の持ち味は活かしながら、本作では ジャンル映画という新しい挑戦を見事に自分のものにしている。原作は、麻草郁(あさくさかおる)の人気舞台「アリスインデッドリースクール」。2010年の初演以来10年以上にわたり再演を繰り返し、アニメやコミック化もされている。出演には、過去の磯部作品にも出演した手島実優、根矢涼香、倉嶋かれん、辻凪子らに加え、舞台版に出演し本作では主題歌も歌う栗生みな、さらに工藤綾乃や村田奈津樹といった期待の若手女優たちが勢揃いしている。
▼STORY
繋がるはずのない世界が繋がっていると気づいた時、
正体不明の「何か」がやってくる…。
文化祭の準備に余念のない高校2年生の漫才コンビ、ユウ(演・手島実優)とノブ(演・根矢涼香)。彼女たちをはじめ、愛心学園の誰もが変わらない日々を過ごし、今を生きていた。しかし、科学部の氷鏡(ヒカミ)と映画部の依鳴(イナリ)だけは、その異変に気づいていた。
監督:磯部鉄平
出演:手島実優、根矢涼香、栗生みな、工藤綾乃、倉嶋かれん、辻凪子、村田奈津樹
配給:MIRAI
2022年 / 日本 / 125分
https://www.skipcity-dcf.jp/films/op.html
監督:磯部鉄平
ビジュアルアーツ専門学校大阪を卒業後、2016年から映画製作を開始。小谷忠典監督のドキュメンタリー映画『フリーダ・カーロの遺品-石内都、織るように-』(15)に海外撮影スタッフとして参加。帰国後に撮影した初長編映画である『ミは未来のミ』(19)はSKIPシティアワードなどを受賞。2020年~2021年にかけて「磯部鉄平監督特集」として各都市(東京・名古屋・大阪・京都)にて劇場公開。
監督メッセージ
新作映画の打ち合わせで大阪から意気揚々東京にやって来たら、散々な扱い受けて辛酸舐めまくりでどこの街かもわからない路地を歩いていました。完全に迷子。新幹線代返せ!フラフラ高円寺にたどり着き、居酒屋で「アリスインデッドリースクール」原作者の麻草郁(あさくさかおる)あさくさかおる)さんと出会って意気投合。次の日には映画化の監督として打ち合わせに呼ばれていました。人生何が起きるかわかりませんね。
■ 映画『世界の始まりはいつも君と』舞台挨拶
手島実優(ユウ役)
はい。本日はありがとうございます『世界の始まりはいつも君と』主人公の墨尾優(すみお・ゆう)を演じさせていただきました手島実優と申します。
ワールドプレミアということで今日この会場にいらっしゃる皆さんに初めて観ていただくことにすごく緊張してるんですけれど、嬉しいです。
このトークセッションも楽しみにしておりますので、お時間許す限りお付き合いください。よろしくお願いします。
根矢涼香(ノブ役)
皆様、本日はお足元悪い中、こんなにたくさんの方々と一緒にこの日を迎えられて、本当に嬉しく思います。百村信子(ももむら・のぶこ)役を演じました根矢涼香と申します。今日はすごく楽しい時間になるだろうなと確信してます。よろしくお願いします。
栗生みな(紅島弓矢役)
紅島弓矢(べにしま・ゆみや)役を演じました、栗生みなです。本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。トークを挟んだ後に皆さんと一緒に映画が観られること、すごくうれしいと思っております。
今日、初公開ということで、皆さんの感想もどこかで聞けたらいいなと思っております。今日はよろしくお願いいたします。
磯部鉄平監督
『世界の始まりはいつも君と』監督の磯部鉄平です。よろしくお願いします。
-楽屋にいたとき、いい匂いがした中に監督がいたのが不思議だったんですけれども…
磯部鉄平監督
僕も不思議でしたよ。
-さて、今回はスケールアップした本作でワールドプレミアのオープニング凱旋ということで、素晴らしい幕開けですね。華々しい幕開けの今の気持ちをちょっとお話しいただけますか。
磯部鉄平監督
僕は自主映画をずっと撮っていて、SKIPで3年連続入選と受賞をさせていただいて、毎年SKIPで上映されることを目標でやってきて、3年で卒業のような感じでやっていました。
今回、初めて人から依頼されるといった映画を撮る機会の映画で、またSKIPで上映できるっていうことがすごい感慨深いです。
-若い女優さん、たくさんの若い女性に囲まれたその現場を監督がまとめ、そして演出されたっていうのは、どんな苦労がありましたか?
磯部鉄平監督
本当に女子しかいないんですよ。女子高が舞台の話で、先生役で男の人が何人かいるぐらいで、全員素敵な女性たちで、緊張しながらやってたんじゃないですかね(笑)
手島実優
磯部さんはちょっと女の子かなって思うときあります。意思疎通がすごく自然に行くなあ…みたいなときがあります。
根矢涼香
それわかります。共感力が強めなので誰よりも女子でした。
手島実優
監督は、(多くの女性の中に)馴染んでいました。
-手島さんは今回、漫才コンビ「のぶ&ゆう」を演じられてましたけども、漫才の掛け合いって難しかったんじゃないですか?
手島実優
難しかったです。今回映画出演するにあたって、オーディションを受けたんです。オーディションのときも、私はユウちゃんの役で、ノブちゃんはツッコミで、ユウちゃんがボケ担当なんですけど。
ユウちゃんのキャラクターをつかむこと自体は、簡単ではないですけど、かなり早くイメージすることが出来ました。気持ちもわかるし、どう表現しようかみたいなビジョンもすぐにできたほうなのですが、漫才に関しては、ほんっとに難しかったです。
根矢涼香
お芝居と別だよね。
手島実優
本当に自分ってこんなに面白くないんだって痛感しました。
根矢涼香
それがわかって反省しまくったもんね。
手島実優
撮影が始まってもなお、今回脚本を書いてくださった永井さんという方がいらっしゃって男性の方なんです。永井さんと磯部さんが関西出身なんですけど、もう全然わかんないんです。
関西の人の面白さ・素の面白さがどこからきているものなのか。
根矢涼香
からだの中がもう漫才みたいなところがね。
手島実優
もう現場が漫才みたいな感じだったんですよ。
-必ずオチが必要なんですよね、関西人の話って。
手島実優
ずっとボケてるみたいな感じで。私は永井さんにかなり厳しく指導していただいて、ノブちゃん(演・根矢さん)とも撮影以外の時間に会議室に呼ばれて、スパルタの特訓を3時間練習したりしていました。
それでもやっぱり撮影中は、まだこれが正解なのか、真面目に考えれば考えるほど、相手がこれが面白いのかどうかがは全然わからなくなってしまいました。
自信はないんですけど、今日皆さんに観ていただいて、ぜひ感想を聞きたいと思います。
-根矢さんは、ノブ役でしたけども、感情がすごいアップダウンがあって難しかったんじゃないですか?
根矢涼香
そうですね。映画を観ていただければわかるんですけど、ずっと不機嫌なノブを演じていて、なんで不機嫌なのかっていうのも逆算しすぎても変になるから、とにかくそのときの彼女を演じるのに精一杯で、この作品自体が2年前に撮られたんですよ、2020年なので。
本当はもうちょっと早くに撮影が始まる予定だったんですけど、コロナで伸びてしまって、大人数でちゃんと撮影が最後まであの滞りなく進むといいなという願いもありました。
当時、女優として仕事をしている中で、すごい不安を覚えた年でした。そんな中での、メインで出演できる映画っていうのってすごく、不安定じゃないけれど、すごいおぼろ豆腐みたいな(完全に固まらない)感情のまま、閉じ込められているなと、思ったんです。自分が固められて作っているっていうよりも、すごく不安な要素もそのまま映画を観たときに、ノブの中に入れて、映画の中を生きれたのかなって今は何か感じます。総じて難しかったです。
-コロナ禍でみんな同じ気持ちを抱えてましたもんね。
-栗生さんは、原作が舞台で、その舞台版にも今日の登壇者で唯一出演されていますよね。舞台でも同じ紅島という役を演じられていますよね。映画と舞台ってまた違うと思うんですけども、そのあたりも教えていただけますか。
栗生みな
そうですね、舞台版の方はですね、若い子たちもたくさん出るので、作品を引っ張っていくっていう意識で、やっていたんですけれども。映画になったときに、(紅島という)一匹狼のキャラクターのまま、ずっとカメラの前にいることができました。
どんどんと、静かな紅島になっていったかなっていう印象があります。
-今のこの栗生さんのイメージと、映画の栗生さんでは、もしかして結びつかない方もいらっしゃるんじゃないかと思いますね。
手島実優
本当に「どれが栗生さんかな?」って思うと思います。
-共演者の方々からそんな発言が出るぐらいですからね。
栗生みな
映画の撮影中も撮影をしていない時も、みんなと仲良くしちゃうと、多分、役に入れないと思ったので、ずっと1人でお弁当を食べていました。
-監督、責任重いですよ。
磯部鉄平監督
1人でいて、あぁ、近寄れない…って感じでした。
手島実優
その姿もかっこよかったですね。
-かっこいいシーンもたくさんあるのでぜひ観ていただきたいと思います。そして皆さん、今気づいたと思うんですけど栗生さんのこの声。セクシーですよね。
栗生みな
なかなか言われないので、嬉しいです。
-セクシーだと思います。その声を作品に利用しているんですよね。ねぇ、監督。
磯部鉄平監督
栗生さんがエンディング曲を歌っています。
-そうなんですよ。この歌がまたいいんですよね。
栗生みな
ありがとうございます。私も大好きな曲です。
-この曲はいつ作られたんですか?
栗生みな
この作品には、アニメ・OVAがあって、そのエンディングで使わせていただいていて、もう4年経ちます。
そのために作られた曲なので、映画にも使っていただいて、監督ありがとうございます。
-ドンピシャでハマってますからね。みなさん最後までどうぞゆっくりお楽しみいただければと思います。
-監督に伺います。今回、今まで撮影された自主映画作品と違って、原作がある舞台を映画にしようということですが、原作者の麻草郁(あさくさかおる)さんとは居酒屋で出会ったそうですね。
磯部鉄平監督
そうなんです。僕は大阪に住んでいるんですけど、たまに仕事で東京に来る機会があって、高円寺でばったりと会いました。今日も原作者の麻草さんは、会場にいらっしゃっているんですけれども。
「初めまして~」であって、そこで、しこたま飲んで映画の話をして、めちゃくちゃ仲良くなって、自分は自主映画をやってるみたいな話をしたら、「観たい」と言われたので、リンクを送って、次の日東京から帰る予定だったんですけど、その時に連絡が来て、「映画やりましょうよ」と言われて、そのままプロデューサーのところに会いに行って、監督になりました。
-とんとん拍子じゃないですか。
磯部鉄平監督
そんなこともあるんですね~
-その原作のある映画を自分で撮るっていうのはなかなか難しかったのでは?
磯部鉄平監督
めちゃくちゃ難しいなと思いました。これまでは、自主なので、オリジナルで自分の好きなものをやってたんですけども、元々ある話を2時間にまとめるっていうのは、難しいけど楽しかったです。
-監督は編集がお得意って聞きましたが、今回もサクサク進んだんですか?
磯部鉄平監督
いや全然。過去いち進まなかったですね。すごい長いので苦労しました。
-麻草さんから映画化するにあたってこうしてほしいああしてほしいというリクエストはあったんですか。
磯部鉄平監督
なんか言われたかな…。何か言われた気もするし、言われなかった気もするし…
-飲んでますからね…
磯部鉄平監督
そうなんですよ、結局ずっと飲んでるんで。
でも相談させてもらったりしたので、そういったことがすごくありがたかったです。
-今日は、麻草さんにも観ていただくことになるんですね。
磯部鉄平監督
初めて観るらしいので、今から逃げようと思います。
-女優の皆さんたちは今日はこれから一緒にごらんになるとということで、どんな気持ちですか?
手島実優
自分たちが漫才をやっているシーンがかなり出てくると思うんですけど、果たして笑う人がいるのかなと思っています。
-ずっと、その点、ネガティブですよね
手島実優
それがすごく気になってます。今日初めてみなさんに観ていただくので、私達もどんなふうに観ていただけ
るかわからない状態なので、「こう観てほしい」とは言わずに、皆さんの広い視野で観ていただけたら嬉しいなと思ってます。
根矢涼香
映画が観られていく時間というか、劇場の空気の波みたいなものが、私はすごい好きなんです。
それをすごいかみしめたいなって思います。
とにかくこの物語には、船に乗った気持ちになってとにかく、揺られていってくださいとしか言えないです。翻弄されてほしいと思います。
栗生みな
この中には原作を知ってらっしゃる方もきっと、何人かいらっしゃっていて、 そういった中でもやはり、初めてこの作品に触れる方もいらっしゃると思うので、観た後に、また調べていただけるような、10年以上続いた作品になっています。
この機会に皆さんに観ていただけることがすごく嬉しいですし、自分が素敵な映画に出るっていうのが、なかなかないので、私もこの大きいスクリーンで皆さんと一緒に映画を体感できることがすごく嬉しいです。
皆さんと一緒に楽しむことができることが嬉しいと思います。
磯部鉄平監督
10年続いてるっていう人気の舞台で、毎年毎年いろんなところでやっていて、その時々で素敵な女性たちが
出て多分、演出家の人もその年ごとに変わったりとかあるんだと思うんです。映画版をやれることになってせっかくなんで自分の本当に好きな人ばっかりを集めて撮ろうと思いました。
「全員好き!」みたいな人たちと映画を撮れるということで集まって、それがコロナで撮影が延びてしまって、半年以上延びたんですけど、キャストをそのまま変更することなく、撮影できたので、すごい感慨深いです。
-私はコロナ禍で、自分の感情がオフになっていたことを、この映画を観て初めて気づいたんです。この映画を観終わった後、スイッチが全部オンになった気がして、すごく豊かな気持ちになりました。
皆さんもきっとこれからご覧になってどんな気持ちに包まれるか、監督、そして皆さんに伝えていただければ嬉しいなと思います。