堀井綾香監督の最新作『飛べない天使』で主演を務める福地桃子さんが、作品への思いや役作りについて語った。本作は、都会での生活に疲れを感じる女性・優佳（福地さん）と、孤独を抱える青年・聡太郎（青木柚さん）が偶然出会い、不思議な逃避行を繰り広げるファンタジー作品。今回、福地さんにお時間をいただき、インタビュー映像を収録、本記事と共に公開となった。
■ 映画『飛べない天使』 福地桃子インタビュー
▼インタビュー映像
▼インタビュー内容
福地さんは、出演にあたり堀井監督から手紙を受け取ったことを明かした。まだ直接会う前に手紙を読んだそうで、その文章や伝えられた情報から、監督がどのような人物なのかを想像する時間があったという。特に印象的だったのは、聡太郎という役には、堀井監督自身の過去のミニシアターでの経験や、これまでの人生経験、いまの思いが深く込められていると綴られていたことでした。この手紙を通して、福地さんは堀井監督という人物をより深く知りたいと感じ、作品への興味が一層湧いたと振り返った。
自身が演じる優佳という役柄について、福地さんは、脚本に書かれているような東京に疲れているといった表面的な感情だけでなく、聡太郎との出会いを通して、自分が今何を思っているのかという内面と向き合う女性として捉えたと語った。自由を求める聡太郎と、満たされない思いを抱える優佳という対照的な二人の関係性が、物語の中でどのように描かれるのかを意識しながら撮影に臨んだとのこと。
また、普段の東京での生活に慣れてしまっている中で、誰かと出会い、非日常的な場所に身を置くことで初めて気づく感情が、優佳にもあるのではないかと感じていたという。
青木柚さんとの共演については、役を演じる上では、役ではないところで話した会話ややり取りが、役柄の関係性にも反映されることがあったと語った。商店街を歩くシーンでは、元々セリフはなかったものの、その場で生まれた会話がそのまま本編で使用された部分もあったという。このように、役と自分自身の中間にあるような言葉が映画の中に残っていることに素敵なことだと思えたという。
また、登場人物が少ない本作で、優佳と聡太郎が食事を共にするシーンは、ある定食屋を実際に使用して撮影が行われ、テーブルに並んだ様々な料理は、画面には映らない人々の温もりを感じさせ、それが優佳にとって救いとなるような、堀井監督の手紙とも繋がるような温かいシーンだと語った。
“見つめる”というのは、この映画をみていて出てきた言葉のひとつだという。また、洗濯機が回る様子を優佳がぼうっと見つめるシーンでは、その情景が自身の心の動きと重なり、孤独に感じたと語り、そうした見つめるという瞬間に、主人公たちの心の叫びのようなものが表れていると感じたことを明かした。
福地さんのリフレッシュ方法のひとつとして、散歩が挙げられた。予定を立てるということも天気や気持ちに左右されるものなので、なるべく一日の中での予定をひとつにして、決まっていない時間をその日に決めることが豊かなことだと思えるとのこと。予定を組むのは柔軟でいたいと明かした。
昨年は地方へ仕事で行く機会が多く、その流れで国内旅行をすることがあり、行ったことのない場所で見つけた川などを動画に撮って誰かに送ったりすることが、良い思い出になっていると語った。また、写真を撮ることは、その場所を誰かと共有したり、自分へのお土産のような気持ちになるとも述べた。
映画全体を通して、福地さんは別々の場所にいる二人の声が重なり合いながら物語が始まるストーリーなので、映画を観る人それぞれの心の中で、その声が共鳴する瞬間があるのではないかと思って、本作を観たという。多くの観客にこの作品が届き、どのような反響があるのか、福地さん自身も楽しみにしていると締めくくった。
『飛べない天使』は、疲れた心にそっと寄り添い、温もりを与えてくれるような、そんな魅力的な作品として観客の心に深く刻まれるだろう。
▼好評につき、アップリンク吉祥寺での上映再延長決定
【劇場】
アップリンク吉祥寺
上映中～3月27日（木） ※休映日あり
https://joji.uplink.co.jp/movie/2024/24588
※3/22休映
※3/23(日)17:30の回、監督登壇決定
◆映画『飛べない天使』STORY
優佳（福地桃子）は会社の飲み会からの帰り道、枕を抱えて商店街を駆け抜ける青年（青木柚）を目撃する。彼のまわりには白い羽根が舞い、まるで天使のように去っていった。その後、再びその青年に遭遇する。聡太郎と名乗る彼は、どうやら病院を抜け出してきたらしい。「行きたいところがある」と言い無邪気に優佳を連れ出す。都会に疲れた女性と孤独を抱えた⻘年の不思議な逃避行が始まる──。
◆映画『飛べない天使』CREDIT
キャスト：福地桃子 青木柚 ／ 前原瑞樹 さいとうなり
監督・原案・編集：堀井綾香 脚本：常間地裕 主題歌：DYGL「Shadow」
撮影：古屋幸一 照明：加藤大輝 録音：Keefar 美術：後藤駿治 スタイリスト：中村もやし
ヘアメイク：くつみ綾音 助監督：内田知樹 ラインプロデューサー：田中佐知彦 スチール：染谷かおり
宣伝美術：神谷利男デザイン 宣伝：木村真奈美 協力：静岡県伊東市・静岡県東伊豆町 制作協力：Ippo
配給協力：スポッテッドプロダクションズ 企画プロデュース・製作・配給：Nuiavan @2023 Nuiavan
◆映画公式サイト＆SNS情報
公式サイト：https://www.nuiavan.com/tobenaitenshi
Instagram：@an_gel_film （https://www.instagram.com/an_gel_film/）
X：@an_gel_film （https://twitter.com/an_gel_film）
2025年 2月 21日(金)より アップリンク吉祥寺 ほか全国順次公開
