映画『ドマーニ! 愛のことづて』が3月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開予定。この度、本作監督で主演も務めたパオラ・コルテッレージが緊急来日。2月18日(火)の特別先行上映会の上映後に舞台挨拶を行った。ゲストには、お笑いタレントの友近さんも登壇。お互いに熱心な会話が交わされた。

本国イタリアで 600 万人を動員し、世界的に大ヒットを果たしたハリウッド映画『バービー』『オッペンハイマー』を押しのけて、2023年のイタリア国内興行収入ランキングNo.1の大ヒットを記録した『ドマーニ! 愛のことづて』。イタリア歴代興行収入ランキングでも、あの『ライフ・イズ・ビューティフル』を抜いて第5位に。さらに、イタリア版アカデミー賞と言われる第 69 回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最多 19 部門にノミネートされ、主演女優賞、助演女優賞、新人監督賞、脚本賞の主要4部門で最優秀賞に輝いた。
▼イタリアの国民的コメディエンヌ兼女優として活躍するパオラ・コルテッレージ
メガホンを取ったのは、『ジョルダーニ家の人々』(10)や『これが私の人生設計』(14)などシリアスドラマから大衆的なコメディまで幅広いジャンルの映画に出演するなど、イタリアの国民的コメディエンヌ兼女優として活躍するパオラ・コルテッレージ。本作で遂に映画監督デビューを果たしました。パオラ・コルテッレージ監督が描いたのは、戦後で荒廃したローマで逞しく生きる市民たちと権利を渇望する女性たちの姿。愛する娘の将来と夫の暴力に悩む主婦・デリアをパオラ・コルテッレージが自ら演じ、自らの権利と次世代への想いを“とある手紙”に託します。パオラ監督は現代にも通じるテーマを巧みなストーリー展開とユーモラスな演出で見事に描き切りました。
▼上映後舞台挨拶
まずは、劇中ラストのデリアをイメージした衣装に身を包んだゲストの友近がひとりで登壇。「ラストシーンが印象に残りまして。全く同じではないですけど、デリアが覚悟を決めた時の衣装に似たものを用意していただき、着てみました。申し遅れました、藤原紀香です」とお約束の挨拶で会場を沸かせます。
MC から感想を問われると「シリアスな社会問題を扱いながらも、ミュージカル調のシーンが入り、コメディのセンスが光ることで、見やすくなるんですよね。1946 年の格差社会において、感情を表に出せない女性の姿や、家族の幸せを願う主人公の表情に感銘を受けました」とコメント。
そしてここでパオラ・コルテッレージ監督が登場。満席の会場からは歓声が上がりました。

友近からなぜ舞台設定を1946 年にしたのか?と聞かれたパオラ監督は「ラストでも明かされるように、1946 年という年は、イタリアの女性にとって歴史的に重要な年でした。そして、当時は家庭内暴力がある意味当たり前とされ、女性たちはそれに耐えるのが当然と教えられてきた。告発なんて絶対にできない。年月が経ち女性を守るための法律ができても、人々のメンタリティそのものは変化に追いつけていません」と現代社会の課題を指摘。
「その証拠に」と続けて「イタリアでは女性がパートナーによって殺害される事件、いわゆるフェミサイドが後を絶たず、3日間に一人が亡くなっています。映画を通して、過去を舞台にしながらも今もなお根強く残る問題を取り上げたいという思いがありました」と企画の経緯を振り返りました。
また、友近は「監督自身は仕事をする中で、女性として不利なことや格差を感じた瞬間をありましたか?」と切り込みます。パオラ監督は「以前、男性ばかりの脚本チームに参加した際、意見を聞いてもらえず、透明人間になったかのような感覚になりました。そこでの苦い経験が、私の主演作であり脚本も担当した『これが私の人生設計』誕生のきっかけになりました」と述懐。
シリアスなテーマを扱いながらも、コメディエンヌならではのユーモアのエッセンスがそこかしこに散りばめられており、独特の作風につながっている本作。その狙いについて、パオラ監督は「ユーモアがあるからこそ現実を深く見ることができると思うんです。人生にはつらい現実だけでなく、おかしいことやさまざまなことが起こるもの。一色で塗り潰してしまうのではなく、いろんな色を使って描く=ユーモアをもって描くということが重要だと思うんです。また、悪役である夫とその父親を少しおバカなキャラクターとして描くことで、怖さを軽減する効果を狙いました。笑いには恐怖のパワーを落とす力がある」と持論を展開します。
また、パオラ監督は政治家のモノマネ、友近は昭和の 2 時間ドラマを大真面目に再現する「友近サスペンス劇場」が話題となるなど、お互いにコメディエンヌとしてパロディを得意とする2人。パオラ監督が「演じている私たちはたくさん努力しているんですよね。観察したり、余計なものを取り払ったり。刺繍のように細かい作業の集大成ですよね」と言えば、友近も「確かにそうですね。キャラによってはやりやすいのもあるんですけど、やっぱりその人物が実際にいるかのようなバックボーンを考えながら、『この人が言いそうなことはどういうことだろう?』とか観察や研究を重ねて、常に考えながら生活しているというのがあるかもしれません」と共感を寄せます。
イベントの最後に、劇中ラストで“手紙”の正体が明かされる展開に「すっかり騙されてしまってました!」と明かした友近。「でもあのラストにこそ、デリアの本当の強さが表れてますよね。旦那の愚痴をいったり、それをネタにテレビで喋ったりする、一見強いようにみえる女性はいますが、本当の強い芯のある人間はデリアみたいな人をいうのだと思います。憧れます!」と熱弁。パオラ監督は「グラッチェ!(ありがとう)」と満面の笑みで感謝を述べつつ、「この映画で描きたかったのは、政治的な思考を持たない女性が、娘への愛情から自分の価値に目覚めていく姿でした。皆さんもぜひ、映画を気に入ったら周りの人に広めてください」と観客に呼びかけ、会場は大きな拍手で包まれました。
『ドマーニ! 愛のことづて』は、3月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開予定。
映画『ドマーニ! 愛のことづて』
[作品概要]
本作は、本国イタリアで600万人を動員し、世界的に大ヒットを果たしたハリウッド映画『バービー』『オッペンハイマー』を押しのけて、2023年のイタリア国内興行収入ランキングNo.1の大ヒットを記録。イタリア歴代興行収入ランキングでも、あの『ライフ・イズ・ビューティフル』を抜いて第5位となった。さらに、イタリア版アカデミー賞と言われる第69回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最多19部門にノミネートされ、主演女優賞、助演女優賞、新人監督賞、脚本賞の主要4部門で最優秀賞に輝いた。パオラ・コルテッレージ監督が描いたのは、戦後で荒廃したローマで逞しく生きる市民たちと権利を渇望する女性たちの姿だ。愛する娘の将来と夫の暴力に悩む主婦・デリアをパオラ・コルテッレージが自ら演じ、自らの権利と次世代への想いを“とある手紙”に託す。映画『ドマーニ! 愛のことづて』は、3月14日よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開。
1946年5月、戦後まもないローマ。デリア(パオラ・コルテッレージ)は家族と一緒に半地下の家で暮らしている。夫イヴァーノはことあるごとにデリアに手を上げ、意地悪な義父オットリーノは寝たきりで介護しなければならない。夫の暴力に悩みながらも家事をこなし、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を助けている。多忙で過酷な生活ではあるが、市場で青果店を営む友人のマリーザや、デリアに好意を寄せる自動車工のニーノと過ごす時間が唯一の心休まるとき。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を貧しい我が家に招いて昼食会を開くことになる。そんなデリアのもとに1通の謎めいた手紙が届き、彼女は「まだ明日がある」と新たな旅立ちを決意する―。
<クレジット>
監督:パオラ・コルテッレージ 脚本:フリオ・アンドレオッティ、ジュリア・カレンダ、パオラ・コルテッレージ
出演:パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ジョルジョ・コランジェリ、ヴィニーチオ・マルキオーニ
2023|イタリア|原題:C’è ancora domani|118分|日本語字幕:岡本太郎|
後援:イタリア大使館|特別協力:イタリア文化会館|配給:スモモ
©2023 WILDSIDE S.r.l – VISION DISTRIBUTION S.p.A
<公式HP・SNS>
公式HP:https://www.sumomo-inc.com/domani
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3月14日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国の劇場にて順次公開予定
