2024年12月21日、横浜・黄金町にある老舗映画館「横浜シネマ・ジャック&ベティ」は、開館33周年を迎えました。 同日、30周年記念映画として製作された映画「誰かの花」の上映と舞台挨拶が行われ、多くのファンが詰めかけました。
舞台挨拶には、主演のカトウシンスケさん、村上穂乃佳さん、そして奥田裕介監督が登壇。 会場からは大きな拍手がおくられました。
奥田監督は、映画館の33周年を祝福した後、「誰かの花」が自身の身内の交通事故死がきっかけで生まれた作品であることを明かしました。 当時、監督は深い悲しみに暮れ、長い間、創作活動ができない状態に陥っていたそうです。 しかし、時間と共に気持ちが整理されていく中で、「被害者遺族が加害者にならないという保証はない」という恐怖に襲われたといいます。 そして、被害者遺族の心の軌跡を描きたいという思いから、この映画を製作するに至ったと語りました。
主演のカトウシンスケさんは、映画について「グレーな部分、白黒つけられない気持ちの居場所になったらいい」という監督の言葉に共感したと話し、 登場人物たちが思い通りにいかない現実と向き合う姿に、多くの人が共感できる部分があるのではないかと述べました。
村上穂乃佳さんは、撮影当時を振り返り、役作りのために1人でパチンコ店に行ったエピソードを披露しました。 劇中、村上さん演じる明里がパチンコ店で孝秋(演・カトウシンスケさん)と遭遇する重要なシーンがあり、村上さん演じる里美が普段からパチンコをするのかどうかは判断に迷っていたそうです。 結果的に村上さんが自ら決断し、リアルな演技に繋がったと明かされました。
カトウシンスケさんは、「横浜シネマ・ジャック&ベティ」について、「大きな作品も小さな作品も救い上げてくれる映画館」と表現し、 「実家のような場所」だと親しみを込めて語りました。 そして、「この映画を機に、色々な映画館で色々な映画を見てほしい」と観客に呼びかけました。
最後に、「誰かの花」が映画館と観客によって作られた映画であるとし、 今後も長く上映を続けていきたいという思いを語りました。
横浜シネマ・ジャック&ベティは、地域に根ざした映画館として、これからも様々な作品を上映していく。
映画「誰かの花」は、12月27日(金)まで、横浜シネマ・ジャック&ベティで上映されます。