新宿K’s cinemaにて12月16日(月)21時より上映された映画「爽子の衝動」、及び「ハミンンンンンング」の上映後イベントが行われた。
「爽子の衝動」からは、戸田彬弘監督、主演の古澤メイ、梅田誠弘が登壇。映画「ハミンンンンンング」からは高也氏が登壇した。
「ハミンンンンンング」の高也氏より、映画の制作経緯についての説明があった。当初は通常のロケ撮影が予定されていたが、スケジュールの変更や、舞台版の雰囲気を映像作品にも残したいというエスカレート監督の意向により、演劇のセットをそのまま使用して映画を制作するという異例の手法が採用された。撮影現場では、俳優陣も戸惑いを感じながらの作業となったが、監督を信じて作品を完成させたという。
次に「爽子の衝動」について、戸田監督より、本作はチーズfilmとポーラスターアカデミーによる若手俳優育成プロジェクト「B.A.P(Boost Actor Project)」の第一弾作品であることが紹介された。戸田監督は、以前から生活保護の問題やヤングケアラーの問題に関心を抱いており、商業的な制約にとらわれずにそれらをテーマにした作品を制作したいと考えていたという。本作は、生活保護の水際作戦やヤングケアラーの厳しい現実を描いた社会派ドラマとなっている。
主演の古澤メイは、今回が初主演。演じた爽子は、四肢麻痺で失明した父親と二人暮らしの19歳のフリーターで、生活保護の申請をしながらも水際作戦に阻まれ、社会にも馴染めずにいる難しい役どころ。古澤は、役作りにあたっては、爽子の置かれた環境だけでなく、彼女自身の内面を深く理解しようと努めたと語った。
梅田誠弘は、ケースワーカーの遠藤役を演じた。これまで演じたことのないような印象の悪い役柄に苦労したとしながらも、重いテーマを扱う作品で、必要な役どころだと考え演じたと語った。また、撮影ではインティマシーコーディネーターが初めて現場に立ち会ったことが印象に残ったという。
戸田監督は、社会問題提起の窓としての映画の役割を強調し、生活保護受給者とケースワーカーの間にある力関係の不均衡を指摘。今回は、受給者側に視点を置いて作品を制作した意図を説明した。 また、本作は当初短編映画として企画されたが、最終的に45分の中編作品となったことも明かした。最後に、若手俳優を起用したプロジェクトであることから、俳優たちの今後の活躍にも期待してほしいと締めくくった。