12月5日(木)、映画『くすぶりの狂騒曲』の【舞台挨拶付き先行上映会】が新宿バルト9にて開催。本先は、今年4月に「島ぜんぶでお~きな祭 第16回沖縄国際映画祭」特別招待作品としてプレミア上映をされ、話題となった作品。
イベントには、タモンズ役を演じた、和田正人&駒木根隆介に加え、モデルとなったタモンズ本人の大波康平&安部浩章、そして監督の立川晋輔が登壇し、映画版と本人の“2組のタモンズ”が揃ったことから、来場した観客を前に、漫才対決を実施!会場は2組の漫才に、溢れんばかりの笑いと拍手に包まれ、大盛況で幕を閉じた。
本作は、今年で結成10周年を迎えた【大宮セブン】の初期メンバーでありながら、仲間の活躍を横目に、飛躍のきっかけを掴めない状況に葛藤する「タモンズ」を中心に、成功を夢見る芸人たちの軌跡をたどる“大人たちの青春群像劇”。
中心となる芸人コンビ「タモンズ」を演じるのは舞台「駆けぬける風のように」で文化庁芸術祭 演劇部門「新人賞」を受賞し、近年の主な出演作としてアイヌと和人(シサム)を描いた歴史スペクタクル映画「シサム」、NHK連続テレビ小説『虎に翼』など数々の映画、ドラマで活躍する和田正人がツッコミの大波康平を演じ、一方、ボケの安部浩章は入江悠監督の出世作である映画『SR サイタマノラッパー』で主演を務め、その後も吉田恵輔、行定勲、犬童一心、藤井道人など数々の名監督の作品に出演する駒木根隆介が演じた。
■ 映画『くすぶりの狂騒曲』 12/5(木)舞台挨拶付き先行上映会
映画上映前、ステージ上に“映画版”タモンズ(和田、駒木根)と“本人”タモンズ(大波、安部)という奇跡の組み合わせが実現すると、会場は大歓声。そんな中、和田が「今日はお忙しい中、お越しいただいてありがとうございます。そしておそらく今日はたくさんのお笑いファンの方がいらっしゃると思うんですが、M-1グランプリの準決勝を蹴って、こっちに来てくださいまして、ありがとうございます!」と呼びかけると、会場は大きな拍手とともに一体感に包まれた。
続く駒木根は「1年くらい前に撮影をして。この衣装も当時のままで久しぶりに着させてもらったんですけど、なぜか僕と和田さんの分だけベルトがなくて。なんと今、安部さんのリアルなベルトをお借りしているので。なので僕は今、ほぼ安部さんだと言っても過言ではないんです」と語ると、安部も「本当にベルトの穴の位置が一緒だったんです」と語るなど、ベルトのサイズも近いものがあったようだ。
一方の大波は「僕らはM-1グランプリで負けて。もう思い出したくない時代のことをこうやって映画にしていただいて。本当にありがたい。人生捨てるところはないということで、本当にうれしいです。今日のM-1グランプリの準決勝に仲間がいっぱい出ていて。でも負ける人もいるんで。でも、負けても終わりじゃないというのは見ていただきたいですね」とコメント。
安部も「本当にくすぶっていて良かった」と語って会場を沸かせると、「映画を観ていただいたら分かると思いますが、最後は本当に感動のシーンが待っていますから。あれは全部本当の話ですから。ちゃんと観てください」と観客に呼びかけた。
今年の「THE SECOND」ではファイナリストに選ばれるなど、現役で活躍中のタモンズだが、そんな芸人を演じるということに、和田が「もともと僕はお笑い芸人さんを演じるのはひとつの夢だったということもあり、今回やっと念願かなってというところもありますが、現在進行形の芸人さんを演じるというのはプレッシャーでもあります。ただやはりファンの人たちからは、ちょっとでも何かあったら、全然似てないとか、タモンズを汚さないでとか言われそうで。恐怖感があるんですよ」と語ると、大波が「和田正人ファンも怖いですよ。僕は逆に和田正人ファンが怖いです。カッコ良すぎるんで」と返して会場を沸かせた。
だがそうした不安もあったが、相方役を務めた駒木根の存在は非常に大きかったという。「不安なところはあったんですが、駒木根君が相方だと聞いて。僕は過去に何度も共演したことがあるし、撮影の半年前くらいには一緒に舞台をやったりもしていた。すごく安心感があったというか、助けられましたね」と和田が振り返ると、駒木根も「僕は和田さんと一緒に漫才の稽古をしていて。その稽古がそのままシームレスに役づくりにつながった」と付け加えた。そんなふたりの漫才について立川監督も「もともとやっていたんじゃないかと思うくらい“華のあるタモンズ”でした」と返し、ドッと沸いた会場内。そこに安部が切り込むように「あるある! 僕らもあるわ!」と返して、会場を大いに盛り上げた。
そんな流れから“映画版”のタモンズと“本人”タモンズ、どっちが“より本物の”タモンズなのか、その座をかけて勝敗を決める“タモンズワングランプリ”を開催しようという司会者の提案に「言っていることがおかしいですよ! もともと我々なんです」と反発してみせた安部だったが、勝負はそのまま決行することに。ルールは、両者が同じ台本の漫才を観客の前で披露し、それを観た観客のジャッジで、拍手がより大きい方が勝ちというもの。そしてそこに立川監督も審査員として参加することになった。
まずは“映画版”タモンズの漫才から。まず「将来芸人で売れたらいろんなことしたいよね」という駒木根の導入に、和田が「売れたら何をしたいの?」と質問。そこから「ダブルのトイレットペーパーでお尻拭きたい」「肉まんのまんの部分を捨てて、中の肉の部分だけ食べたい」などなど、やりたいことを言い合っていくうちに、だんだん方向性がずれていき、そこでたたみかけるように笑いを積み重ねていってオチに……というのがこのネタの基本的な流れ。だが途中までは台本に忠実に、そのリズミカルなテンポのやり取りで、芸人さながらに笑いをとっていったふたり。そして最後の方になると「THE SECONDにはもう出ないです」「単独もやめる!」「名前も“つき”に戻す!」(※売れるために一時期、タモンズから“つき”に改名していたことにちなみ)などなど、タモンズのことをアドリブでいじり続けて会場は大爆笑。会場を笑いの渦に包み込んだ。
そんな“映画版”タモンズから挑戦状をたたきつけられた“本人”タモンズは、冒頭で本来なら「売れたいねぇ」というところを、「売れたねぇ」と言い換えたのを筆頭に、ここでは書けないような、タモンズならではのギリギリを攻めた危ないアドリブを次々と披露。会場をドカンドカンと沸かせ続けた。
そんなネタを披露した和田は「つかれましたね……」と語ると、「けっこう練習をしたんですけど、練習していた時は笑い声がなかったんでスムーズにできたんですけど、今日はいっぱい笑い声があったんで緊張しました」と述懐。すると大波が「あれは汚い。もらった台本と違う」とツッコむと、「そちらが言う?」と驚きを隠せない様子の和田が「僕らのアドリブは2割くらい。ふたりは10割くらい違う!」と語ると、駒木根も「僕らが前振りになっています」と苦笑い。安部も「そりゃ同じ事やってもウケないんだから、汚い手を使いますよ」と返すなど、遠慮のない4人のやり取りに笑いに包まれた。
そこで勝敗をお客さまの拍手で決めることに。最初の“映画版”タモンズには大きな拍手が。そして続く“本人”タモンズにはパラパラと、明らかに少ない量の拍手。それを踏まえた最終的なジャッジは立川監督に委ねられることになった。「さすが本職だなと思いましたが……“華のある”タモンズでお願いします」という審査結果に会場も大笑い。大波も「じゃ大宮のライブに出てください。絶対に!」と負け惜しみで語るひと幕もあった。
そんな大盛り上がりのイベントもいよいよ終盤。最後のあいさつとしてまずは和田が「つたない漫才をお見せしてしまいましたが、これから本編を観ていただくためのいい前座になったかなと思います。この作品はタモンズさんの葛藤、苦悩を描いていますが、大宮セブンの芸人さんたちの仲間とのきずなが大事だなということも描いています。それは今ここに立っていない、大宮セブンを演じた役者のメンバーたちと僕たちも同じような関係性でした。彼らの存在があったからこそ、僕たちもこうやって舞台に立って完成した作品を皆さんに届けられています。ぜひ大宮セブンの俳優たちの顔と名前を覚えて帰ってもらえたらうれしいですし、映画が公開したあかつきには、ぜひ皆さんで盛り上げていただけたら」とメッセージ。続いて「その通りだと思います」と語った駒木根も、「中高年による青春群像劇というのも今どきめずらしいと思うので、ぜひ応援していただければ」と呼びかけ、イベントは終了した。
【実在するお笑い芸人「タモンズ」、【大宮セブン】について】
ツッコミ担当の大波康平(41歳/左)とボケ担当の安部浩章(42歳/右)によるお笑いコンビ。2006年結成され、現在も吉本興業に所属。埼玉県さいたま市大宮区にある「大宮ラクーンよしもと劇場」を主な活動拠点としている吉本興業所属のお笑い芸人によるユニット【大宮セブン】の初期からのメンバー。現在の【大宮セブン】のメンバーは「タモンズ」「囲碁将棋」「マヂカルラブリー」「GAG」「すゑひろがりず」「ジェラードン」などで構成される。
※実在する【大宮セブン】は、映画本編には登場いたしません。
映画『くすぶりの狂騒曲』
Story
「大宮セブン」が活動する大宮ラクーンよしもと劇場は少ない客、会社からの非難や悪口など、お世辞にもその扱いは良いものとは言えなかった。追い打ちをかけるようにコロナ禍により劇場などの活動が停止し、収入低下などによる彼らの不安や状況は悪化の一過を辿っていた。そんな中、「大宮セブン」メンバーの「すゑひろがりず」がM-1グランプリで決勝進出をはたし、YouTubeでの活動から人気を得て、大宮セブンの活動にも変化の兆しが見え始める。さらに続くようにR-1でのマヂカルラブリー野田の優勝、さらにM-1グランプリでマヂカルラブリーが優勝を果たし、一気に大宮に注目が集まる。メンバーも各賞レースで結果を残し、大宮セブンの躍進が始まる。しかし初期メンバーであるタモンズは仲間の活躍を横目に、飛躍のきっかけを掴めないまま、手掛かりを掴もうともがき苦しんでいた。現状を打開するためにコンビ名を改名したり、果てには新たにメンバーを追加してトリオになろうとしたり、明確な指針もないまま迷走を始める。そんな彼らの様子を間近で見ていた大宮セブンのメンバーは夜中に相談に乗ったり、自身の問題と重ねたりしながらタモンズを何とか支えるのであった。メンバー間の友情、応援などを経てタモンズは芸人を目指した時の純粋な気持ちを思い出し、ラストイヤーのM-1へ最後の挑戦に挑むのであった。
■キャスト
和田正人 駒木根隆介
辻凪子 土屋佑壱 永瀬未留 / 徳井義実(チュートリアル) 岡田義徳ほか
■スタッフ
監督:立川晋輔 脚本:中村元樹
主題歌:河口恭吾「悪い恋人」(よしもとミュージック/ミラクル・バス)
配給:イオンエンターテイメント 吉本興業
製作:NTTドコモ・スタジオ&ライブ 吉本興業 テレビ埼玉 the ROOM
Ⓒ2024「くすぶりの狂騒曲」製作委員会
【Web・SNS】
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◇公式X(旧Twitter):https://twitter.com/ kusuburi_movie
◇公式instagram: https://www.instagram.com/ kusuburi_movie
12月13日(金) 新宿バルト9 イオンエンターテイメントほか全国公開