2024年11月10日(日)新宿ケイズシネマにて、映画『石とシャーデンフロイデ』の舞台挨拶が行われた。上映後には、主演の三村和敬さんのほか、出演者の富田健太郎さん、田中美晴さん、そして白磯大知監督が登壇した。
■ 映画『石とシャーデンフロイデ』舞台挨拶レポート
11月10日(日)、新宿ケイズシネマにて映画『石とシャーデンフロイデ』の舞台挨拶が行われました。上映後、主演の三村和敬さん、富田健太郎さん、田中美晴さん、そして白磯大知監督が登壇し、作品にまつわる様々なエピソードを披露した。
三村さんは「ヒトシ氏という役を演じました三村和敬と申します。本日はご来場ありがとうございます。短い時間ですが、よろしくお願いします。」と挨拶。富田さんは「圭太役を演じました富田健太郎です。見ていただきありがとうございます。」と笑顔を見せ、田中さんは「美緒役を演じました、田中美晴です。本日はご来場いただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」と喜びと感謝を表現。白磯監督は「はい、白磯大地です。本日は短い間ですが、よろしくお願いいたします。」と少し緊張した面持ちで挨拶した。
3年の時を経て公開、感無量の思いを語る
MCから「ザックバランにたくさんお話をうかがっていければと思います」と促され、監督が進行役となってフリートークが始まった。
監督は「もう3年前の撮影になって、ようやく劇場公開2日目ということで、本当にこの日を待ち遠しく思っていましたけど、どうですか。」とキャストに問いかけた。
富田さんは「昨日初日だったのですが、昨日は正直すごく緊張していて、(上映前の挨拶だったので)皆さんに初めて見てもらうってことで、どういうふうに映るんだろうなと思ってたんですけど、あけて今日、今こうやって,皆さんと顔を合わせて…。
でも3年間、本当に監督が頑張って上映まで来れたと思ってるんで、胸がいっぱいな気持ちです。」と感極まって涙を見せそうにする場面もあった。
田中さんは「ちょうど3年前の冬でしたっけ?ちょうどこれぐらい。なので、私自身も今回来る前にもう一度台本を読ませていただいて、なんなら実は前半の方は後ろの方で少し映画を見てから、実は今日来たんですけど、嬉しいですね。こうやってこんなにたくさんの方に見ていただけて、本当に嬉しいですし、何か持って帰っていただければ嬉しいなと思ってます。」と観客への感謝を述べました。
三村さんは観客に「この映画を見てどういう風な感想を抱いたのかな」と問いかけ、「シャーデンフロイデっていうのは「他人の不幸は蜜の味」っていう、ちょっと陰湿というか、暗い印象を持たれる言葉なんですけど、果たして皆さん、暗い気持ちになったのか、それとも、ぽっと明るい優しい気持ちになったのか、もし優しい気持ちになったのだったら、大成功の映画なんじゃないですか?」と語りかけました。
シャーデンフロイデ、日常に潜む感情を映画で描く
監督は「シャーデンフロイデ」という言葉について、「その意味はすごく、気持ちのいいものではない」と前置きした上で、「この映画の中で描かれているシャーデンフロイデというものは、僕の中では日常にあふれているというか、そこまでトピックとして人が注目するポイントではないんですけど、そういうものが心の奥には実はちょっとだけあったり、でもそれで頑張って明日を生きれたり、何かいろんなことに気づいたりとか、気づいたり励まされたりということが、実はそういうものが根本に流れていることが生きているとはあるんじゃないかなと思って、それが別に決して悪いことでも僕はないと思うし、そういうものと一緒にどう生きていくかというところを、自分が見つめ直すきっかけになればいいかなという気持ちが、この映画に一応込められているかなとは思う」と作品に込めた想いを語りかけました。
印象的なシーンの裏側を語る
白磯監督は印象に残ったシーンとして、映画のあるシーンを挙げた。「あるシーンで画面が暗転する直前に、本当これも撮影の時の奇跡なんですけど、光がバーっと木漏れ日みたいな感じで、ちょっと雲が晴れたみたいなように照らされていて、それは全然、撮影時も狙ってやってはなかったんですけど編集しているときにすごい光が差し込んでヒトシのこれからをいい意味で暗示しているというように思える瞬間が、より一層描けたかなと僕の中では思っている、すごい印象的なシーンです。」と熱く語った。
三村さんは、ヒトシと圭太が車を貸し合うシーンで、圭太の後頭部を映したカットが印象的だったと語り、「あの後頭部がめっちゃ切ないなと思って、何回見ても「いい後頭部してるなー」って、これがお気に入りのカットです。」と述べた。
富田さんは、車のシーンで自身が運転していた時にバックミラー越しに見せていた表情が本編で使われていなかったことを監督に問い詰め、「あれはどういうことなんですか、監督。」と会場の笑いを誘いました。監督は「そもそも多分、そこを撮ってないです。」と答え、富田さんは「勘違いをやってたんですね。」と照れ笑いを見せました。
監督は、雨の中での撮影となった車でのシーンについて、本来は雨のシーンではなかったものの、急遽変更になったことを明かし、「圭太っていう役もあのシーンにおいては結構重要というか、ヒトシとの関係値が大きく変わる」シーンだったと説明しました。そして、富田さんが運転するシーンを何度も撮り直したことに触れ、「あの時はまじでめっちゃ運転するじゃんって。ほんとめっちゃ、シャーデンフロイデするじゃん。」と冗談を交えながら振り返りました。
富田さんは、田中さん演じる美緒がお茶を拭くシーンが印象的だったと語り、「顔は映されずにずっとでもあの拭いてる切なさというか。こっちはすごくどんな表情してるんだろうって想像をかき立てられて、上げた時のちょっとすっきりしたけど泣いている,母親の強さみたいなものが見えて。もう29年間息子をやってますんでやっぱりそこはグッときましたね。」と田中さんの演技を称賛しました。
監督は、そのシーンの撮影に2日間かかったことを明かし、「どうしてもさらにいい表情が撮れるし、なんかすごくやればやるだけすごく説得力が生まれていくなっていうところが強く感じて」2日間に渡って撮影したと語りました。また、カット割りを変更した理由として、子役の林 涼都くん演じるケンタくんがお茶をこぼすシーンを大事に撮りつつも、「美緒の表情を最大限活かすためには、このカット割りじゃない方が僕はいいなという僕のわがままで、2日目に突入してしまいました。」と説明しました。そして、「結果その2日目でしっかりと顔を上げたときのあの美緒の表情というか、あれを大切にとれたのは、やっぱり2日間粘ってよかったなという気持ちがあります。」と振り返った。
最後にフォトセッションが行われ、締めくくりに「たくさん語りたくなる映画だと思いますので、よろしければ、ぜひSNSなどに感想とコメントと一緒に写真をアップしていただければなと思います。ぜひ投稿をお願いいたします。」と呼びかけ、舞台挨拶は終了した。