テアトル新宿で「若松孝二 十三回忌イベント」。映画「いきもののきろく」「燃えろ青春の一年」上映 舞台挨拶レポート

テアトル新宿で「若松孝二 十三回忌イベント」。映画「いきもののきろく」「燃えろ青春の一年」上映 舞台挨拶レポート

10月15日、テアトル新宿で「若松孝二 十三回忌イベント」の一環として、映画「いきもののきろく」と「燃えろ青春の一年」の上映が行われた。上映後には、両作品に関係する豪華ゲストによる舞台挨拶が行われ、会場は熱気に包まれた。舞台挨拶には、「いきもののきろく」から永瀬正敏、ミズモトカナコ、「燃えろ青春の一年」から美加理、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」で美加理の役を演じた向里祐香が登壇。さらに、両作品のプロデューサーである木全純治が登壇。井上淳一監督が司会を務め、それぞれの作品や若松孝二監督との思い出を語った。

■ 映画「いきもののきろく」、「燃えろ青春の一年」

「いきもののきろく」は、井上淳一監督、木全純治プロデューサーによる作品で、永瀬正敏が原案・主演を務め、主題歌をPANTAが担当した。一方、「燃えろ青春の一年」は、80年代に「小劇場の聖子ちゃん」と呼ばれた美加理が主演を務め、作品自体が「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の劇中映画として登場した。

製作の舞台裏
「いきもののきろく」は、当初、中川運河を舞台にした短編映画として企画されたが、永瀬さんの参加により長編映画へと発展した。永瀬さんは、被災地で写真を撮影していた際に、地元の人から「瓦礫じゃない。あれはみんな生活の内部なんだ」と言われたことが印象に残っており、それを映画で表現したいと考えた。映画のラストシーンの表現は、永瀬さんのアイデアだったという。

「燃えろ青春の一年」では、美加理さんが風船ロシアンルーレットを使うシーンは誰の発案か現在も不明であること、また、毛玉をとって口にするシーンは美加理さんが実際に目にした実話が元になっていることを明かした。

出演者たちの当時の思い出と成長
ミズモトさんは、永瀬さんのような大物俳優と共演しても臆することなく演技できたのは、「ビビって遠慮する方が失礼だ」という言葉を胸に刻んでいたからだと語った。

また、先日、エミー賞を受賞した『SHOGUN 将軍』に出演した向里さんは、8ヶ月間カナダに滞在し、向こうの撮影現場は日本とは異なる文化で、良い経験になったと語った。

若松孝二監督の思い出

美加理さんは、若松監督は俳優を尊重し、アイデアなどをよく聞いてくれたと語った。また、若松監督はとても優しい人だったと振り返った。

上映会を終えて

ミズモトさんは、映画は自分が役者を辞めても残り、将来見た時にまた違う感情が生まれるだろうと感じたと語った。

向里は、昔の作品や映画の制作環境の熱量に憧れることを明かした。

今回の舞台挨拶は、映画に携わった人々の情熱や、映画を通して生まれた繋がりを感じさせる温かい雰囲気に包まれていた。観客も、それぞれの作品に対する思いを新たにしたに違いない。

テアトル新宿では、映画のパンフレットが販売され、購入者に対して出演者によるサイン会が行われ、長蛇の列ができあがった。

「若松孝二 十三回忌イベント」は、10月17日までテアトル新宿で開催

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