5月14日(土)、ポレポレ東中野で映画『距ててて』が上映初日を迎えた。上映後舞台挨拶が開催され、加藤紗希(監督)、豊島晴香(脚本)、釜口恵太、神田朱未、髙羽快、湯川紋子の6名が登壇し、改めて劇場で観た感想や撮影当時のエピソードを振り返った。
■ 映画『距ててて』舞台挨拶
映画『距ててて』の上映初日を迎え、加藤監督は「本当に今日この時間を迎えるまでドキドキして、どうなるかがわからなくて、本当に(お客様が)来ていただけるのか不安な状態で、今日を迎えました。」と不安だった気持ちを明かした。
本作は、2020年の夏ごろから準備を始め、同年11月から2021年の3月にかけて撮影され、2021年のぴあフィルムフェスティバル、TAMA NEW WAVE、田辺弁慶映画祭に入賞。今回、ポレポレ東中野での上映にあたり、追加撮影やアフレコなど再編集・調整をおこなっているので、過去に本作を観た人にも、改めて楽しめる作品となっている。
ポレポレ東中野で本作を観ての感想を求められた湯川さんは、「ぴあフィルムフェスティバルの時とはまたちょっと違って、ブラッシュアップされてより見やすくなり、直接シンプルに伝わってくるものがあった」と答えた。また、湯川さんは本作の好きなところとして、生活音をあげた。
「人によって階段を登る音だったり歯ブラシだったり、おせんべいを食べる音だったり、そのときの気持ちや性格によって全然違う、そういう音がこの映画を象徴してると思うので、映画館で観てほしい。」と感想を述べた。音響設計に関して、録音・音響の三村一馬さんと細かい調整を続けて出来上がったものだという。
この日の登壇者は、映画美学校のアクターズコースで同期として学んだ俳優の仲間であり、その俳優陣で役割を分担して作った映画だと豊島さんは説明した。
本作の公式サイトには、作品を観た方々からのコメントが掲載されている。そのコメントについて加藤監督は「どのコメントを読んでも、同じ作品の感想なのかと思うくらい、観た方にとって受け取り方が異なっていて、そこが面白いポイントだと思う。」と考えを述べた。
脚本を受け取った時の感想を神田さんは、脚本に書かれていることを自身も日常にやっていると思うところがあり、そのことが劇中同様に面倒くさいことなのかもしれないと、ドキドキしたという気持ちを明かした。
劇中の料理の話について加藤監督は「映画の中のご飯は、おいしそうにみえることが大事だと思っていて、こだわって作っている」と語った。料理がおいしそうに見えることから、映画の色味の話に移ると、アクターズコースでは映画製作の中の編集技術的な勉強はしていないために、色の調整に関しては手探り状態だったことを明かした。また、色の調整により、映画の印象が大きく変わることが発見できたという。
4章構成で制作された本作は、各章に違うテーマを持たせて撮りたい狙いがあったという。
1章は音楽劇、2章は会話劇、3章はホラーファンタジー、4章は地味SFで、映画的に挑戦や映像的な演出をしたいと加藤監督は考えており、その実現方法については現場で意見を募集して撮影に望み、さまざまな光の当て方などを実験したという。
湯川さんは、撮影を終えて劇場公開が決まった後に映画と向き合うことがいかに大変か、そこに向き合う時間が尊いことだという気持ちを加藤監督と豊島さんの姿をみて抱いたという。
本作は、本来別々の担当で行われる制作と配給・宣伝活動を合わせて自主で行っている。上映初日を迎えるまで長い道のりと多くの試行錯誤を続けてきたことを加藤監督・豊島さんは語った。
劇場には上映初日当日に、二人でつくった手作りのフォトスポットスペースが存在する。
フォトスポットスペースで写真を撮ったり、映画の感想などをSNSで拡散して欲しいと加藤監督・豊島さんは来場者に語り掛けた。
■ 作品情報
映画『距(へだ)ててて』
監督:加藤紗希
脚本:豊島晴香
出演:加藤紗希/豊島晴香/釜口恵太/神田朱未/髙羽快/本荘澪/湯川紋子
撮影:河本洋介
録音・音響:三村一馬
照明:西野正浩
音楽:スカンク/SKANK
宣伝美術:一野篤
宣伝協力:天野龍太郎
製作:点と
(2021年/日本/フィクション/78分)
最新情報は公式Twitter(https://twitter.com/hedatetete)およびInstagram(https://www.instagram.com/hedatetete/)で随時発信。
5月14日(土)、東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開