映画『とりつくしま』、母の小説を娘が映画化。感極まり涙も。台湾・韓国への配給決定も発表

映画『とりつくしま』、母の小説を娘が映画化。感極まり涙も。台湾・韓国への配給決定も発表

9月7日、新宿武蔵野館にて、映画『とりつくしま』の公開記念舞台挨拶が行われました。 東かほり監督、原作者である東直子さんをはじめ、橋本紡さん、櫛島想史さん、楠田悠人さん、宇乃うめのさん、磯西真喜さん、柴田義之さん、安宅陽子さん、志村魁さんら豪華キャスト陣が登壇し、映画への想いを語りました。

本作品は、東直子さんの小説『とりつくしま』を原作に、娘である東かほり監督が映画化した、まさに特別な映画です。 原作小説から「トリケラトプス」「あおいの」「レンズ」「ロージン」の4編を紡ぎ、オリジナルストーリーも加えて映画化されました。

舞台挨拶では、映画化のきっかけについて、東かほり監督は、小説の「とりつくしま」は、自身が17歳の高校生の時に母が書いていた小説であることを語り、「最初に読んだ時にやっぱりちょっと悲しみがあってすごく泣いてしまいました。けれども、温かさもあるところがこの小説のいいところだなと思っていて、映像にした時に、より悲しみが生々しく出るかもしれないなって思ったので、少し自分の色というか、ちょっと笑えるというか、あまり悲しくなりすぎないようなものを少し意識した」と映像にする際の思いを明かした。

特にアレンジを加えた「あおいの」については、「原作の一人ぼっちの寂しさではなく、仲間を増やすことで温かさを表現したかった」と映画のオリジナル部分の意図を明かしました。

一方、原作者の東直子さんは、「娘に映画化してもらえるなんて夢のようだった」と喜びを語った。 また、完成した作品については、「原作をベースに新しい味付けがされ、ワークショップに参加した俳優陣の持ち味も加わって、人間味が生き生きと表現されている」と高く評価した。

また、今回、本作で映像化に至らなかった編の映像化・続編の可能性についての話題の際に、東直子さんが、「今年病気をしちゃったんですけど、もし続編を作っていただけるなら頑張って体も大事にして、それを見届けるまでは死なないという感じで、すごく楽しみですね。」 と語ると東監督は思わず涙を流した。

橋本さんと櫛島さんは、映画「とりつくしま」の中で夫婦役を演じ、印象に残っていることとして、櫛島さんは東監督から自由に演じることを許されていたため、様々なパターンを撮影したことをあげた。例えば、劇中で喧嘩するシーンも、もともとは仲良く歩くシーンだったものを監督が「それもいいね」と言ってくれたおかげで喧嘩するシーンに変更になったという。 また、櫛島さん自身の癖をそのまま演技に取り入れてもらったことも監督のイメージとして残っているとのこと。
一方、橋本さんは、劇中で声だけのお芝居が多かったことが印象に残っていると述べた。

楠田悠人さんは、歌を歌ったことが印象に残っているという。

その撮影のことを東監督は、「リハーサルのときは歌ってくれなかったんです。“嫌だ!」ってなって。それでもう無理かなって思ったら本番はバッチリ一発でした。」と撮影当時を振り返った。

宇乃さんは印象に残っていることとして、小説と脚本が結構違っていたことにびっくりしたことや、演じたコンビ役の年齢差の大きさや二人が思いやっていたことを想像して、泣いてしまったことを明かした。

磯西さんは、柴田さんと休憩時間に映画とは関係ない話をしたことや。柴田さんが倒れこむシーンでの倒れ方の美しさと素晴らしさを力説した。

安宅さん、志村さんはスタッフから二人が似ていると言われたことを話題としてあげ、「似てますか?」と壇上から問いかけた。

舞台挨拶では、映画『とりつくしま』が、台湾・韓国への配給が決定したことを発表。今後の海外展開にも期待が高まります。 東かほり監督は、「作中の登場人物のように、台湾旅行に行けたら嬉しい」と笑顔を見せました。


映画『とりつくしま』

あらすじ
人生が終わってしまった人々の前に現れる“とりつくしま係”は、「この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ること
ができますよ」と告げる。夫のお気に入りのマグカップになることにした妻、だいすきな青いジャングルジムになった男の子、孫にあげたカ
メラになった祖母、ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージンになった母。
人生のほんとうの最後に、モノとなって大切な人の側で過ごす時間。


出演:橋本紡 櫛島想史 小川未祐 楠田悠人 磯西真喜 柴田義之 安宅陽子 志村魁 小泉今日子
中澤梓佐 石井心寧 安光隆太郎 新谷ゆづみ 鈴木喜明 千賀由紀子 佐藤有里子 宇乃うめの 山下航平
山田結愛 村田凪 田名瀬偉年 富士たくや 富井寧音 松浦祐子 大槻圭紀 平松克美 熊﨑踊花 大古知遣
監督・脚本:東かほり 原作:東直子『とりつくしま』(筑摩書房)
撮影:古屋幸一 照明:加藤大輝 録音:Keefar 美術:畠智哉 スタイリスト:中村もやし ヘアメイク:山田季紗
助監督:平波亘 制作:小林徳行 スチール:西邑匡弘 編集:中村幸貴 音楽:大江康太 小金丸慧 入江陽
宣伝デザイン:東かほり ラインプロデューサー:田中佐知彦 アソシエイトプロデューサー:大久保孝一 児玉健太郎 鈴木喜明
プロデューサー:市橋浩治 特別協賛:海色の地図 ラディアスセブン
主題歌:インナージャーニー「陽だまりの夢」
制作:Ippo 製作:ENBU ゼミナール 2024 年/©ENBU ゼミナール
http://toritsukushima.com

全国順次公開中

映画カテゴリの最新記事