満席の観客から大きな拍手! 映画『侍タイムスリッパ―』(デラックス版)公開記念舞台挨拶

満席の観客から大きな拍手! 映画『侍タイムスリッパ―』(デラックス版)公開記念舞台挨拶

2024年9月1日(日)、川崎市の映画館チネチッタにて、映画『侍タイムスリッパ―』の公開記念舞台挨拶が行われた。 当日は満席の観客を前に、安田淳一監督、山口馬木也(高坂新左衛門役)、冨家ノリマサ(風見恭一郎役)、沙倉ゆうの(助監督の山本優子役)、安藤彰則(斬られ役、安藤役)キャスト陣が登壇し、撮影の裏話をはじめ、作品への熱い思いを語った。


手作り感満載の現場
舞台挨拶では、少人数で厳しいながらも笑いの絶えない撮影現場の様子が語られた。 特に印象的だったのは、監督自らカメラ、照明、音声までこなしていたというエピソードだ。 山口は「監督なのか照明さんなのかわからない時もあった」と語り、会場の笑いを誘った。 冨家も、監督が自身の車を売って制作費に充てていたことを明かし、安田監督の映画に対する並々ならぬ情熱を観客に伝えた。


アドリブも飛び出した?!
劇中のセリフに関連し、山口が「トップガン」の有名なセリフ「今日はその日ではない」を引き合いに出し、監督とのユーモラスなやり取りを明かす場面もあった。 当初の脚本になかったセリフを山口が提案したところ、監督が気に入り採用に至ったという。 このエピソードからも、現場での自由な雰囲気と、キャスト陣の演技に対する積極性が伺える。


観客との距離の近さも魅力
会場は終始和やかな雰囲気に包まれ、登壇者と観客の距離の近さも印象的だった。 山口は、観客席を見渡しながら「お客様との距離をすごく近く感じます」と語り、映画の持つ力を感じている様子だった。 また、観客からの質問を促す場面もあり、作品への理解を深める良い機会となった。

■ 映画『侍タイムスリッパ―』(デラックス版)公開記念舞台挨拶

▼映画の成功に対する感謝と喜び

山口馬木也:本当にこんな大勢の方に見ていただいて、また一つこの作品が成長したなという思いです。 何よりこんだけ大勢のお客様に見ていただけたことは本当に嬉しく思っております。


冨家ノリマサ:撮影中はインディーズ映画だったですし、これが本当に公開されるのか、あの大きな配給会社ですと、最初から全国何十館で公開というのが決まっているんですけれども、この映画は撮っている間は、果たしてこれが公開されるのかどうかさえ分からない中で、僕らチーム・サムタイ(侍タイムスリッパ―)で作ってました。

チーム・サムタイで作ったこの手作り感のある映画が、こうやって最初は「池袋シネマ・ロサ」さんから始まり、こうやって川崎の「チネチッタ」さんでも上映させていただくことができるというのは、本当に撮影の時には全く想像もつかなかったことで、しかも今日満席のお客様の前で、皆さんに見ていただけるということが本当に嬉しいです! 本当にいち俳優としても幸せな時間です。ちょっとあんまり喋ると泣きそうになるので、これでやめときますけれども、本当に感無量です。ありがとうございます。

沙倉ゆうの:今回この8月17日から公開が始まって、本当に「チネチッタ」さんもそうですし、「池袋シネマ・ロサ」さんも、見に来てくださった皆さんが本当にこの映画を大切に思ってくれているのを本当に今、思っています。 それを毎日いっぱい感じていて、それがすごく嬉しくて幸せだし、一歩一歩みんなで前に進んでいる感じが、すごくありがたいなと思っています。

安藤彰則: 今、自分、客席で見させていただきました。去年の12月に初めて試写会を見させていただいて、それ以来です。9ヶ月ぶりにやっとちゃんと見たのは。だから皆さんとほぼ同じ気持ちで今日は拝見しました。最後ちょっと僕泣いちゃって。

で、出てきたら「結婚式みたい」って。

僕も、もちろん台本も読んで試写も見て、何回もどういうストーリーかは知ってるんですけども、皆さんと同じように終わった時に拍手して、本当にこういう時代劇愛に満ちた、この『侍タイムスリッパ―』にちょっとでも携わることができて本当に幸せでした。どうもありがとうございました。


安田淳一監督:ロサで上映がはじまって、SNSを見てたらね、ものすごい絶賛なんですわ。 こうしてですね、ロサさんもお昼の回で舞台挨拶が無いような時でも満席になっています。夜もたぶん満席で、この後も結構お客様が入っているということなので、こういう現実を目の当たりにすると、ちょっとこれ、来てるかもしれませんね。


山口馬木也:結構お客様との距離をすごく近く感じさせてもらって、それはこの映画の持つ力なのかなってすごく思ってます。 こうやってジュースを飲みながら何か食べながらって、そうやって見ていただける映画なのかなっていうふうに思ってます。いろんな人に愛されて、これからどんどん成長していく映画なんだろうなというふうに、今は僕は実感を持っています。


冨家ノリマサ:(上映後のエンドロールが終わった後)シネコンで拍手してもらったっていうのはね、印象に残ります。
全部手作りの中で作った作品で、見てくださるお客さんが、映画の最中でも笑ってくださったりとか、ちょっとうるっとしてくださったりとか、終演後には拍手をくださったりとかすると、なんか映画ってこうやって見るのってきっと、原点ってこういうところにあるのかななんて、ちょっと僕は思いました。
やっぱり映画って映画館に来て見るのが一番楽しいんだなって、一体感があるってこういうことなんだなってすごく感じてました。

▼映画製作の舞台裏

山口馬木也:撮影中は常にやっぱり大変でした。特に大変だったのは、監督はほとんど全部監督お一人でやられてたんで、もちろん大変ですし、主演のゆうのさんは実際の現場の助監督をやりながら助監督の役をやられてました。安藤さんにおいてはですね、人数が足りないところ男気を出してですね、ラストシーンにも立ち会ってずっとついてくださって、いろんな段取りをしてくださいました。自分のシーンが終わって、クランクアップはしたのに、このチームに参加してずっと最後まで助けてくださって。


冨家さんは、歳のことをいうのは失礼かもしれませんが、僕より一回り上なんです。で、立ち回りってやっぱり結構大変で、その年齢の方がですよ、もう、僕、ほんと現場で冨家さんが死ぬんじゃないかなと。

冨家ノリマサ:いや、ほんとにそれくらい。死にそうでした。大変で。でも馬木也君がすごいなと思ったのは、「これマッキー、この役、このシーンはどういうふうにしたい?どういうふうに見えたい?」とか聞くと、「いや、僕の役は周りの方が作ってくださると思っているので、周りの方が作ってくださるのが僕の役です。」って。

▼監督と役者とのぶつかり合い

現場では監督と役者との意見のぶつかりあいがあり、安田監督は撮影をやめようと思ったことがあったという。

冨家ノリマサ:監督、これはね、監督の気持ちもわかる。でも監督ね、監督が短気を出したら、これ監督だけの映画じゃないんですよ。山口さんとか、それからそのいろんな、役の方とかも、この脚本に心を寄せて、「これは良い作品になる」と思ってやってくれたし、スタッフも、あんだけ厳しい中、そんなにベラボーなお金も払わずにやってくれてるのは、この映画をちゃんと最後までやり遂げようと思っていたからだと思います。

冨家ノリマサ:面白いエピソードがあって、僕も馬木也もこの役にすごい撮影所に入り込んでいて、「自分の役はこう演じたい」、「こうやりたい」っていうのが、いろいろ監督とディスカッションしながらやるんですけれども、馬木也くんと監督でいろいろ話してる時に、監督が土蹴ってましたから、僕の時には頭むしりながら「やりにくいなぁ…」なんて、小さな声で。後ろで喋ってたりとか。


安田淳一監督:いやぁ、僕、口に出ていると思っていなくて、頭の中で「やりにくいなぁ…」とか言ってたら、実際に口に出して喋っていて、すいませんでした!

でも本当にね、それはありがたいことやねんけども、賃料が1時間1万8千円~3万円のところでやってるわけですよ。そこで撮影を止められたら、「これ何分止めんの?これ何分止めんの?」って頭の中でチャリンチャリン音がしてて、「もうお願いやから!」とか思ってね。

でもね、止めて正解でした。それで止めてもらって、ディスカッションしたところは全部クオリティアップにつながったんで。


沙倉ゆうの:そうですね、早くしてもらえたらなって思ってましたけど、でも本当にみんなね、すごい本当に真剣に取り組んでいたんで、私にとって大事なシーンで、ちょっと私が気持ちが入りにくかったり、それまで助監督の仕事をしてたんで、ちょっと止まったりとかしてました。時間がかかってしまった時に、「すいません」って言ったら、そんなのいいよとか言って。

▼一人で何役もこなす安田監督

山口馬木也:でも監督ももう本当に集中しすぎてですよ。もちろん監督やりながらカメラも覗いて、音響、照明全部やられてるんで、スクリプターさんっていうのは記録っていう方が絶対に映画には必要なんです。今僕がやったことを覚えてる方が。その方もいらっしゃらないんで、それは各自覚えて、監督も覚えながらやってたんで、もうお話ししてても今監督なのか照明さんなのかがわからないんです。

冨家さんとの芝居もそうでしたけど、そのシーンが終わってもカットがかからないんですよ。パッと見たら監督がカメラを抱えて歩いて行ってるんですよ。「監督!カットもかけずに、どこに行くんですか!?」みたいな。


安田淳一監督:「カットの時は声をかけてください」とか言われて。そんなひどい現場でね、ただ本当に面白かったですよね。面白かったです。楽しかった現場です。

▼資金難…車を売ってまで撮影を続けた安田監督

冨家ノリマサ:あるときは監督が本当に、自分の車まで売って、銀行口座に7千円しかない状態になっていて、「これ、この先まだ撮影あるよね…」、なんて、マッキー(山口馬木也)と喋っていて。でも監督が温かい人だなと思うのは、送り迎えのこととか、お昼に出すお弁当とか、そういうの絶対、一切ケチらずに「好きなもの食べてください。とにかくこの映画を作るためには、必要なことは僕は全部やりますから」って言ってくださってね。


山口馬木也:全くゼロのところから監督が脚本を書かれて、そして高坂新左衛門という役を僕に与えてくれて、ただただ感謝です。本当に現場で色々揉めてすみませんでした。揉めたつもりは全然なくて、いい話にしようと思っていただけですけどね。


安田淳一監督:山口さんもね、「監督、そんな新幹線とかはもったいないし」って言ってくれて、「僕、自分の車で運転して行きますから」って言って、毎回車で運転して京都まで入ってもらって。で、京都市内から離れたロケがあって、僕の実家の近くなんですけども、そこに泊まるところって言ったら1泊4500円くらいの安い旅館しかなかったので、「そこでもいいですよ」って言って入ってもらったら、結構朝早くから、掃除機をかける“ブ~“っていう音で掃除のおばちゃんに起こされたとかね。

▼舞台挨拶における役者同士の関係性

山口馬木也: 撮影中は常に大変で、監督はほぼ一人で全部やってたし、主演のゆうのさんは助監督と女優を兼任していて、安藤さんは人数不足を補うために、男気を発揮してくれて、最後の最後までずっと現場に残って、いろいろ段取りを手伝ってくれて。 自分の出番が終わってクランクアップした後も、チームの一員として最後まで残って助けてくれました。

冨家さんは僕より一回り上で、殺陣は大変なのに、僕のことを思ってくれているのがひしひしと伝わってきて、それに本当に僕は全部を捧げようと思いました。


冨家ノリマサ: 山口馬木也さんとは、今回がほぼ初対面だったんだけど、今ではマッキーと呼ぶほど親友みたいになりました。 彼の演技に対する思いや役にかける思いを目の当たりにした時、「この人のために現場にいよう」と心に決めたんです。 マッキーには、この役をどう演じたいか聞くと、「周りの方が作ってくださるのが僕の役です」と答えて、本物の役者だと思ったよ。 そんな自分の役を演じきれたのはマッキーの演技力のおかげだと思ってる。


山口馬木也: みんなウルウルし始めてる。みんなに伝染していくんですね。


冨家ノリマサ: 昔の映画って、お客さんも一体となって、笑ったり泣いたり、拍手したりしたのが娯楽の一つだった気がするんだけど、最近は大きな仕掛けのアクションシーンが多い。 でもこの作品は手作りで、お客さんが映画の最中に笑ったり、ウルっとしたり、終演後に拍手してくれたりするのを見ると、映画って映画館で見るのが一番楽しいんだなって感じます。

安田淳一監督: 本当に、ロサやったらなんとなくわかるんですけれども。(チネチッタの) 初回を見終わったときに、「果たして…」と思ったら、「え、シネコンで拍手してくれるの!?」っていうのは、すごくびっくりして、シネコンで拍手してもらったっていうのはね、印象に残ります。

山口馬木也: シネコンで拍手って聞いたことも見たこともあんまりなくて、その度にみんなで劇場の後ろや控室で1回ウルウルしてるんですね。で、「よし!」って舞台に出てくるんですけど、またここでお客さんの顔を見るとみんなウルウルし始めて、なんかだんだんみんな伝染していくっていうね、これをちょっと早く直さないと。


▼舞台挨拶における観客との交流

舞台挨拶の終盤では、お客様から質問を受け付ける時間がもうけられた。

山口馬木也: では、あともう残り5分しかないのですが。どなたか聞いてみたいみたいなことがありましたらいかがでしょうか。こんな大きい劇場で手を挙げる勇気がある方がいらっしゃいましたら。

お客様: 今日初めて見て、多分おかわりする人が来てくると思うんですけど、リピートして観に来るときに「ここは見ておいてほしいな」っていうシーンがあれば教えてほしいです。

山口馬木也: 今、この映画をおかわりしてくれる人が結構たくさんいるんです。中には7回見たっていう方もがいるとお聞きしております。その方にお代わりしたいなと思う方に、次ここ見てほしいなというポイントがあったら、今教えてくださいということでした。

安田淳一監督: もう素晴らしい見どころがいっぱいあるんですけども。 東映俳優部の皆さんの仕事ぶりを、ぜひとも見てほしいと思います。

▼舞台挨拶における「トップガンのセリフ」への言及


山口馬木也: あのときのセリフは、あそこでたまたま出たアドリブなんですよ。もともと、映画『トップガン』に出てくるセリフなんですけど、その前に監督がもう書かれているんですけども。


安田淳一監督: でもあそこで、馬木也さんに「これってどう?」って見せてもらって、これおもろいからこれぜひお願いしますって。

▼観客へのメッセージ

山口馬木也: 本当にこの映画を見て、こうやってここに、チネチッタさんに立たせてもらうのは初めてなんですけど、結構お客様との距離をすごく近く感じさせてもらって、それはこの映画の持つ力なのかなってすごく思ってます。いろんな人に愛されて、これからどんどん成長していく映画なんだろうなというふうに、今は僕は実感を持っています。


冨家ノリマサ: 昔の昭和の初期の頃の映画とかって、例えば高倉健さんが画面に出てくると、「健さ~ん!」とか、寅さんが出てくると「寅さ~ん」とか、映画を見ながら掛け声をかけてたり、拍手をしたり。映画が全盛期の頃って、お客さんも一体となって笑ったり泣いたり、拍手したりっていうのが、一つの娯楽としてあったような気がするんですけれども。

昨今は大きな仕掛けのアクションシーンとかで、お客さんを驚かせたりとか、壮大な仕掛けがあったりとかするんですけど、この作品はそういうのが一切なくて、全部手作りの中で、作った作品の中で見てくださるお客さんが、映画の最中でも笑ってくださったりとか、ちょっとうるっとしてくださったりとか、終演後には拍手をくださったりとかすると、なんか映画ってこうやって見るのってきっと、原点ってこういうところにあるのかななんて、ちょっと僕は思いました。

僕ら監督ももう宣伝力が本当になくて、僕らの思いっていうのはこのチーム・サムタイで作った映画がこうやって皆さんの前で、口コミの力で一人でも見てくださった方が、「あの映画は面白かった」、つまらなかったらそこはちょっと伏せといていただいて、面白かったら、「この映画ちょっと面白かったよ、見に行ったら?」っていうふうに、一人が二人、二人が四人になってくれると、この映画が少しでも長続きして皆さんに届けられると思うので、僕らの願いとしては、皆さんにこのチームサムタイのサポーターとなっていただいて、この映画、もしよかったら、いろんな人に、他の人に宣伝していただけると、僕ら一度こんな嬉しいことはありません。

チネチッタのオフショット写真展コーナーにて

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実現するか!?


映画「侍タイムスリッパー」


<あらすじ>
幕末の侍が、あろうことか時代劇撮影所にタイムスリップ!!!
「斬られ役」として第二の人生を生きる笑いと涙の七転八倒を描いた痛快娯楽チャンバラ活劇!!!
タイムスリップ時代劇の決定版!!!??

出 演
山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの 峰蘭太郎 庄野﨑謙
福田善晴 紅 萬子 井上 肇 田村ツトム 安藤彰則

高寺裕司 きらく尚賢 ムラサトシ 神原弘之 多賀勝一 吹上タツヒロ 佐渡山順久 Rene
柴田善行 五馬さとし 田井克幸 徳丸新作 泉原 豊 岸原 柊 戸田都康 矢口恭平 吉永真也 楠瀬アキ 佐波太郎 高寺裕司 江村修平 山本拓平 西村裕慶
 谷垣宏尚 篠崎雅美 夏守陽平 橋本裕也 大野洋史 山内 良 宮崎恵美子 岩澤俊治 雨音テン 水瀬 望 石川典佳 結月 舞 鈴木ただし 皷 美佳 吉村栄義 浄弘卓磨 清 典 枝 尚紀 藤原誠生

東映京都俳優部

スタッフ
監督/脚本/撮影/編集 安田淳一
殺陣 清家一斗
助監督 高垣博也 沙倉ゆうの
照明 土居欣也 はのひろし 安田淳一
音声 岩瀬 航 江原三郎 松野 泉
床山 川田政史
特効 前田智広 佃 光
時代衣装 古賀博隆 片山郁江
美術協力 辻野 大 田宮美咲 岡﨑眞理
制作 清水正子 安田淳一
装身具 高津商会
アクション指導 垣内博貴
協力 東映京都撮影所
製作/配給 未来映画社

公式サイト https://www.samutai.net/

池袋シネマ・ロサ、川崎チネチッタにて公開中


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