4月8日(金)ヒューマントラスト渋谷にて、映画『クレマチスの窓辺』が公開初日を迎え、舞台挨拶が行われた。登壇者は主演の瀬戸かほ、里内伽奈、小山梨奈、ミネオショウ、永岡俊幸監督。3年前に撮影され、コロナ禍の影響で上映が延期されていた本作が上映初日を迎えた喜びや“ヴァカンス映画”、撮影時のエピソードが明かされた。
■ 映画『クレマチスの窓辺』初日舞台挨拶レポート
▼ようやく上映初日を迎えての喜びのあいさつ
-はい、それではですね。早速一言ずつ、初日を迎えた感想、観客の皆さんに一言ずついただきたいと思います。それでは、東京からバカンスに1週間訪れるヒロイン・絵里を演じました、瀬戸かほさん、どうぞよろしくお願いします。
瀬戸かほ
こんばんは!
<劇場のお客様から、「コンバンハ…」のレスポンス>
絵里役の瀬戸かほです。初日を迎えられてとても嬉しいです。こうして皆さんのお顔を見ていると、今から作品が届くんだなっていうふうに実感が湧いてきました。よろしくお願いします。
-続きまして、絵里の従姉妹・大学生のみずきを演じました、里内伽奈さん、よろしくお願いいたします。
里内伽奈
みずき役を演じました、里内伽奈です。本日は観に来てくださり本当にありがとうございます。
撮影が3年前だったので、ようやくこうやってスクリーンでの上映を迎えられて本当に嬉しいです。今日はよろしくお願いします。
-続いて絵里の従兄弟・駿介の婚約者役を演じました、小山梨奈さん、どうぞよろしくお願いします。
小山梨奈
こんばんは。結梨役を演じました、小山梨奈と申します。
本日は劇場まで足を運んでいただき本当にありがとうございます。この作品はコロナ禍前に撮影したんですけど、今日こうして初日を迎えられて、とても嬉しく思います。作品では私は髪が長いので、「誰?」って感じで全然違うんですけど、上映を楽しんでいただけたら幸いです。本日はよろしくお願いいたします。
-今日の登壇の唯一の男性キャストで、靴職人役の伏見という役を演じましたミネオショウさんお願いします。
ミネオショウ
伏見という役を演じましたミネオショウです。先月、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』を観た映画館で上映されたので、本当に嬉しいです。今日はどうもありがとうございます。
-それでは監督・脚本の永岡俊幸さん、よろしくお願いいたします。
永岡俊幸監督
監督をしました永岡です。3年前に撮影して、コロナもあったり、いろいろあって、ようやく公開することができて嬉しく思います。まずこの初日に来ていただいた皆さん本当にありがとうございます。
上映前であまり話せることがないと思うんですけれども。よろしくお願いします。
-2年ぐらい前に公開しようと思っていたところにコロナでずっと伸びてしまって、この状態になっていて、万感の思いかと思いますけど、そんなところでお話を伺いたいと思います。まず監督から。
この作品はヴァカンス映画と銘打っていまして、ヴァカンス映画をずっと永岡監督は撮りたかったってことなんですけども、ヴァカンス映画とはどんなもので、どうして撮りたかったのか、そんなことからお話していただきたいと思います。
▼ヴァカンス映画を撮りたかった理由。ヴァカンス映画とは?
永岡俊幸監督
このヴァカンス映画がどういうものなのかっていうふうにいわれると、どういうものなのかちょっと答えづらいいのですが、撮りながら考えていたことなんですけども、元々今から10年ぐらい前の上京したての19歳とか20歳ぐらいのときに、ちょうどエリック・ロメールだとか、ジャック・ロジエだとかフランス映画のそういうヴァカンス映画の特集上映があったんです。
それにとても影響を受けた若者だったので、ちょうど今日からはじまる「ジャック・リヴェット映画祭」という特集上映がありますけれど、そういったフランス映画というものに影響を受けたところがまずあります。今回はそれを日本でやるっていうことなので、日本でやるんだったらどうするか、どういう風にすればいいのかってのを考えながら撮りました。
-その成果をスクリーンで観ていただくという感じですよね。この作品は島根県松江市で大体ロケされているんですけども、実際に脚本を書くときに滞在しながら書いたとうかがっています。何かそのときの経験がスクリーンに反映されているそうですが、言える範囲でお話いただけますか?
▼島根に滞在して脚本を書いたエピソード
永岡俊幸監督
僕としては(範囲を気にせずに)全部言えると思っているんですけれども。松江に3日4日ぐらいシナハンで滞在して、日中は歩き回って、夜は飲み屋を飲み歩いて、そこでいろいろ情報だったり、ロケハンも兼ねてやっていました。
作品の中に飲み屋が出てくるんですけど、フラッと入った飲み屋でも、すぐに横の繋がりができて、すごいもうなんかみんなと仲良くなれるんですよ。
それが次の日にばったり偶然道端で会ったりすることがあったんで、そういう要素っていうのは、入れましたし、そういうことばかりになっていると思います。
-その土地の個性があったところを取り入れたわけですね。そういった、「島根県松江市で撮っているんだけど、ご当地映画にはしたくなかった」という思いがあったと伺ってるんですけれども、例えば撮影で工夫したこととか、気をつけたことはありますか。
▼ご当地映画にしたくなかったことと、そこでの工夫。
永岡俊幸監督
僕自身、島根出身なんですけど、その島根を押し出したものに対して、あんまり観る気になれませんでした。
なので出雲大社だとか、松江城だとか神話っていうものから離れたもの、何か素のようなものを撮りたかったっていうのは、あります。おそらくそちらの方がよりよく見えるんじゃないかと思ったというのがあります
-町の今の顔みたいなものにちょっとこだわったって感じなんですかね。
永岡俊幸監督
そうですねなるべく松江的なもの、島根的なもの、あとは地名を出さずにどこかわからない場所、どこかわからないけれども、いいなと思える場所にしようというのがありました。
-なるほど。多分その辺は成果が出てるんだと思います。それは観てのお楽しみですね。
▼撮影時に印象に残ったこと ~瀬戸かほさん~
-それではヒロインの絵理役の瀬戸さんにお話を伺います。ヒロインは1週間、映画の舞台に滞在するわけですけど、瀬戸さん自身が1週間、松江市近辺に滞在したことなんですがロケ地で何か印象に残ったことや、気づいたことはありますか。
瀬戸かほ
今、ぱっと思いつくのは、おばあちゃんの家が結構印象に残っています。初めてそのおばあちゃんの家にお邪魔させていただいたときに、親戚の家に来たみたいな安心感が初めてなのにありました。なのですごいリラックスして撮影することができたなっていうことを覚えています。
-いろんなところが出てくるけどベースになるおばあちゃん家というのは印象に残ったってことですよね。永岡組の現場って、この映画に関して、台本を持たなくて、割とアドリブが多かったそうなんですけれども、そういった中でヒロイン像っていうのが、例えば出来上がっていったりとか変わっていったりしたことってあるんですか。
瀬戸かほ
そうですね。そもそも監督が木島さんという方と脚本を書かれているんですけれども、現場で監督が一番脚本を持っていないんです。
-そうなんだ。
瀬戸かほ
脚本に一番縛られていないんですけども、人物像が見えたっていうのは、サトウヒロキさん演じるロードバイクの小田さんとのやりとりの中のある一言が、絵里を、絵里の人物像を形づくったなっていうふうには思っています。でもそれ以外にも結構全編を通してアドリブと台詞が入り混じってる作品なので、どれがアドリブかなとか予想しながら観ていただくと…
-予想してもわかんないじゃないですか(笑)
瀬戸かほ
あ、そっか(笑)
-でも、それが自然にそう流れているってことですね。
瀬戸かほ
そうですね。これが台本上の台詞かなとか。
▼撮影時に印象に残ったこと ~里内伽奈さん~
-今の流れで里内さんに質問しますけど、アドリブが多かったって、自分自身で何かアドリブ的なところで今でも印象に残っていることとはありますか?
里内伽奈
本当にアドリブが多いんです。シーンのカットがかからないんですよね。「あれ?カットがかかんないな…」って思って喋り続けているのがそのまま使われていて、「あぁ、使ったんだ!」って。私も完成した映像を観てびっくりしました。絵里とのシーンは、後半はもうほぼシーンが終わってから、そのままアドリブでしゃべり続けている感じになってるよね。
瀬戸かほ
ほぼそういう感じになっています。
里内伽奈
でもなんか自然とそこで、いとこっていう楽しい会話が、フワッとできたかなと思います。
-ヒロインは東京から来る人なんですけど、里内さんの役はジモティじゃないですか。そういうことも含めてロケ地で、印象に残ったこととか、この場所が凄かった・よかったなってことはありますか。
里内伽奈
海のシーンがあって、もちろん今まで行ったことがなかった場所なんですけど、崖のところとか、ああいう海を見たことが私はなかったので、絵里と一緒に立つと、自分も何か感じるものはすごくあります。そしてそこも、天候によって、台詞が全部変わるっていう。なので観てもらってね。まさかの大荒れの海でした。それで自然を感じました。
▼撮影時に意識したこと ~小山梨奈さん~
-僕も映画を観ていますけど、全然不自然ではなかったです。小山さんは、ネタバレできない役なんですけど、ある意味、ちょっといろんなものをお持ちの役じゃないですか。自分で演じるときに、こういうところを大事にしたとか、こういうことを意識したというところがあったら教えてください。
小山梨奈
この作品は、監督が脚本書いてくださったときに、今まで私がやってこなかったような役っていうのを、あえて書いてきてくださったんです。なので、ネタバレしない範囲で言うと、もしかしたら女性側からは嫌われてしまう女の人なのかなって思います。
でもこの街のコミュニティで生きていくには不自由がない、嫌われすぎてもあれだし。何かその絶妙なバランスを取ることに、ちょっとした違和感があればいいなという感じになっていました。
-確かに今まで、割と女子高生の役が多かったから、だいぶ印象が違いますよね。さっき瀬戸さんがおばあちゃんの家が一番印象に残ったと話していましたが、そこのクレマチスが咲く庭でラスト近くに2人で女子トークするシーンがありますよね。絵里と結梨とがトークするシーンがあって、お2人が普段から仲良しだっていうのは伺ってるんですけれども、逆にそれだからこそ、気をつかったりとか考えて、女子トークをしたところはありますか。
小山梨奈
そうですね。“瀬戸さん”って呼ぶのも恥ずかしいぐらい、普段から大親友なんですけど、普段のワチャワチャ感が出たらまずいなと思っていました。それはすごい頭にあったんですけど、実際には、このシーンって、私が島根に滞在した中、この2人のシーンは最後の方に撮ったんですけれど、もうそこに瀬戸さんが絵里としていてくださったので、私はもう、 その関係も出来上がっていたので、私は本当にそこにいるだけで、2人で会話を楽しんでいるっていう感じでしたよね。
瀬戸かほ
ね。
-確かに、いい意味でわちゃわちゃ感は出ていなかったですね。僕もすっかり仲良しなのを知っているので、ちょっとヒヤヒヤしながら観ていたんですけど、そういう感じじゃなくてすごくいいシーンになっていたと思います。それはもう皆さん、お楽しみにしてほしいと思います。
▼撮影時に意識したこと ~ミネオショウさん~
-それではミネオさんに聞きたいと思います。役柄的に松江の街で親の代から靴職人の役だったんですけど、何かこう役作りとか意識したことはありましたか。
ミネオショウ
靴職人っていうのは、初めての役だったんで、靴職人ってどんな人がいるんだろうと思って調べたら、貴乃花の息子さんが出てきまして、たしかにテレビで見たことがあると思って、そのイメージでやるかと思ったけど、全然イメージが湧かなくて、どうしようと思っていました。
僕は実家の亡くなった祖父が農家だったんで、父が休日は手伝ってやっているのも知ってたんで、1回撮影前に帰って手伝ってみたんですけど、しんどいなっていうのを思って、代々続けるっていうのは、結構ストレスもかかるだろうし、本当にやりたくないとできないものなんだろうなっていうことをイメージして、落とし込みました。
-なるほどちょっと別のアプローチからいったんですね。靴職人のままやるということではなくて。ミネオさんの役で実際、絵里が靴を作りに来て、その後誘って飲みに行くシーンがあるじゃないですか。あそこも見せ場だと思うんですけども、どんな意識で演じられたんでしょうか?
ミネオショウ
僕が女の子を誘うときの意識でいきましたね。
-じゃぁ、ああいう風に誘っているの?いつも。
ミネオショウ
もう全然覚えていないんですけど。覚えてないんであれなんですけど、多分好きな女性を誘うときの雰囲気を多分やったんじゃないかなと思います。
-ミネオくんのそういう癖が出ているということなんですね。
ミネオショウ
そうですね。でているかもしれませんね。
▼永岡俊幸監督からメッセージ
-そういう楽しみ方もこの作品にはあったわけですね。一通り皆さんに、お話を聞いてたんですけど、上映前なのでこれ以上聞けないんですよね。なので監督にこのトーク・舞台挨拶のまとめというか、改めてこれから観る方にこういうところを楽しんで欲しいとか、心がまえみたいなものをお願いします。
永岡俊幸監督
そうですね。アドリブが多かったっていう話を皆さんされていたんですけれども。僕が台本を持っていなかったのは事実です。台本の代わりにカチンコを持ってたんです。それは、やっぱり、強制的に自分をカメラ横に行かせるっていうところがあったんですけれども。
やっぱり生で見ないとわからないところがあったので、台本を持たず、自分の耳と目と、皆さんのお芝居を信じてこの映画に僕はいたかったっていうふうにまとめました。
-なるほど。じゃあ、それはそういう成果が表れてるだろうスクリーンを皆さんに堪能していただくということで、なんで俺が求めてるのか、よくわからないんですけど。でも監督の熱い思いというのが伝わってきたと思います。皆さんお楽しみいただけたらと思います。
■ 映画『クレマチスの窓辺』概要
都会の喧騒から遠く離れて、水辺の街で1週間のヴァカンス――
海に行き、靴を買い、恋をする?
水辺の街で過ごす爽やかで、ちょっと不思議な、新しいヴァカンス映画
喫茶店で、海辺や湖畔で、家の庭でだらだらとおしゃべり。街中で知り合いにばったり会っちゃってまたおしゃべり。少し長い休暇を田舎の古民家でゆったり過ごす。もしかしたらちょっとした事件があるかも――
風光明媚な島根県オールロケで日本発のヴァカンス映画を監督したのは、本作が劇場デビュー作となる永岡俊幸。主演はモデルとして活躍し、「愛の小さな歴史 誰でもない恋人たちの風景 vol.1」などで女優としてもいま注目を集めている瀬戸かほ。そして、街で出会う人々を個性豊かな俳優陣が演じる。1970年代の日活映画で活躍した伝説の女優・小川節子の約45年ぶりの復帰作となる。主題歌「まどろみ」は、島根県出身のシンガーソングライター・山根万理奈による書下ろし曲。
【クレジット】
瀬戸かほ
里内伽奈 福場俊策 小山梨奈 ミネオショウ 星能豊 サトウヒロキ 牛丸亮 宇乃うめの しじみ 西條裕美 小川節子
監督・編集:永岡俊幸
脚本:永岡俊幸、木島悠翔
プロデューサー:辻卓馬
主題歌:山根万理奈「まどろみ」
撮影:田中銀蔵 照明:岡田翔 録音・効果・整音:中島浩一 ヘアメイク:ほんだなお
衣裳:小宮山芽以 監督助手:長谷川汐海 制作進行:秋山友希 撮影助手:滝梓
車輌:西村信彦 タイトル・ヴィジュアルデザイン:東かほり
カラリスト・DCPマスタリング:清原真治 劇中音楽:ようへい、伴正人、sing on the pole
制作:Route9、focalnaut co.,ltd 配給・宣伝:アルミ―ド
協力:島根県観光連盟、松江フィルムコミッション協議会、松江観光協会
後援:ダブルクラウン、TROMPETTE
©Route 9 2020/日本/カラー/62分/ヨーロピアンビスタ/デジタル
公式サイト:https://clematis.space
Twitter:https://twitter.com/clematis_madobe
Facebook:https://www.facebook.com/clematismadobe
Instagram:https://www.instagram.com/clematis_madobe
ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中