監督の地元で撮影した映画『此処だけの話』キャスト、監督座談会。上映会の感想と「地元で撮るなら…」

監督の地元で撮影した映画『此処だけの話』キャスト、監督座談会。上映会の感想と「地元で撮るなら…」

2024年3月16日(土)、映画『此処だけの話』が八王子市学園都市センターイベントホールにて、プレミアム無料上映会を開催。キャスト、監督が登壇。上映後に、上映会および舞台挨拶の感想。そして、本作にちなみ、「地元で映画を撮るなら…」をテーマに語っていただきました。
また、2024年8月末日までの期間限定で、本作をYouTubeで観られる再上映企画を実施中。

■ 映画『此処だけの話』 キャスト、監督 座談会

▼上映会、舞台挨拶の感想

ー上映会、そして、舞台挨拶に登壇されてのご感想をきかせていただけますか?

塩野峻平監督
(地元の)八王子で上映しているというのもあるのですが、1本の映画を見るために、「こんなにたくさんの人が来てくれるんだ」って言うところが一番にあります。

もちろん商業系の劇場だと、こういった人数も入るのかもしれないけど、自分が上映したり、ミニシアターでは、あまりなかった経験で、こんなに盛況になったことはすごく嬉しいですし、このまま勢いづいて、もっといろんな人に観てもらえたらと思います。

佐々木藍(西野 役)
すごく嬉しかったです。まず自分が出ているっていうところもそうですが、こうやって現場の雰囲気も良くて楽しくて、愛着のある街で撮れて、それがたくさんの人にこうやって見られるっていうことがすごく何より嬉しくて、舞台挨拶に来ると観てくださった後のお客さんの顔を見ることができて、すごく僕も満足できましたし、お客様も満足していただけたんじゃないかなっていうふうに、表情を見て思ったのですごく嬉しかったです。

つかさ(なつこ 役)
「こうなったらいいな」 と思い描いていた理想の上映になりました。

地元の方がたくさんいらっしゃって、映画で自分が知ってる場面が出てくると、「ワー」って喜んでくださる声が聞こえたりとか。おばあちゃん同士の2人連れが喋りながら見てるみたいな。
地方のミニシアターみたいな空気感で見てもらえたら最高だなって思ったのが実現して夢みたいでした。嬉しかったです。

有希九美[ばーば(せつこ)役]
地元で開催したっていうところもあって、監督が育った環境とかもあるから、「あそこのうちのお坊ちゃんが撮ったんだって!」みたいな感じの方も、たくさんいらしたんじゃないかなと思っています。
完全にもう地元愛があふれる映画だったし、客席だったし、そういうのをすごい感じちゃって、もうなんかね本当に嬉しかったです。
私は感情がバーンと出てしまいましたけど。
本当に今日は素晴らしかったですね。立ち見の人には申し訳なかったんですけど、こんなにたくさんの人に見てもらえて良かったと思います。
監督万歳!でした。

佐々木勝陽(すすむ 役)
今日、僕は入りの時間に遅刻しまして、申し訳なかったんですけど。
上がってきたときにすごい行列ができていて、一瞬僕は、「会場を間違ったかな?」っていうほどにぎやかでした。でも、会場はこの場所で合っていました。

“映画体験”っていう言葉があるじゃないですか。みんなで見てて、声があがったりとか、こっちもちょっとグッときて、その声を聞いて、映画を見ながら一緒に体験できたっていうのがすごく今日一番幸せな時間をいただけて 嬉しかったです。

陣慶昭(翔太 役)
僕はかなり早めに来たんですけど、そのときからもう外に映画を見に来たお客様が並んでいて、「お客さんがたくさんいる!」
そうしたらお父さんからLINEで「すごく溢れかえってるみたいな感じだ」ってきて、「そうなんだ」みたいな感じでした。

舞台に上がって、本当にたくさんのお客さんを見た時に、クスッと笑ったり、リアクションを取ってくれたりするのをみることができました。
普通の映画館では、普通、みんな無言で見てるじゃないですか。
こういうところだからできることなのかなっていう、すごくなんかいいなと思いました。

手島実優(みやこ 役)
私も地元が群馬で、地元の町興し系の映画だったり、役所が制作するものに携わってきたんですけど
今日こうやって違う都市の町興し映画をみて、好きだからみんな観に来るんだと思っていたんですけど、なかなか来ないじゃないですか、地元の人よりも東京の人が方が来るし、地元の人って来ないから。
なのでこれだけの多くの人が、地元がちゃんと好きなんだということがわかったのが、すごく成功というか。

この映画自体も素晴らしいのですが、それよりも、もしかしたら重要な瞬間を。今日、 それをみたこと自体に“大 成功感”がありました。感動しました。

ikachan(松原怜香:主題歌「ハロー」担当)
すでにみんなが全部言ってくれましたね。今回は、私は出演という立場ではなかったので、 結構お客さんとして映画を初めてスクリーンで見させてもらったんですけど。
街の風景が出てくるたびに、 皆さんザワザワして、「ここはあそこだね」って。
本当にピュアにこの街が好きで、この映画に対して共感してくれて、 リアクションしてくれていて
こんなにあたたかいアットホームな映画の上映会なんてめったにないというか、私はこの空間が初めてで、すごく感動したし、トークのときも、 何回もあたたかい拍手が来たり、お客さんからコメントが飛んできたりとか、すごくやわらかい雰囲気で最初から最後まで盛り上がっていて嬉しかったです。
最初に自分が初めての アーティストとしてのデビューがこの映画でよかったと思いました。

▼地元で映画を撮るなら…

-『此処だけの話』にちなんでご自身の地元で映画を作る・撮るとしたらどんな映画にしたいか、そんな話を聞いていきたいと思います。

ikachan(松原怜香:主題歌「ハロー」担当)
札幌出身なんですけど、この話に関してはとまらなくなってしまうと思います。
札幌にはいろんなところがありすぎて…

塩野峻平監督
じゃぁ、一個挙げるなら?
どのロケーションを使うか、ご飯でもいいし。要素を出すなら?

ikachan(松原怜香:主題歌「ハロー」担当)
それなら“雪”ですね。
雪が本当に良いんですよ。北海道の雪の降り方って、本当に柔らかい雪がふわっと降ってくるんです。
いい景色の場所ってたくさんあるので、 そこをロケ地に使って、街の人もあったかいから、きっとあったかい映画が雪とともにできそうだなって妄想しました。

手島実優(みやこ 役)
“なにか”っていわれると難しいんですけど、私は群馬県の前橋出身で、佐々木藍さんは、高崎出身ですけど、なにかありますか?

佐々木藍(西野 役)
僕がひとつ挙げるなら、“高崎電気館”っていう映画館があって、いま、ニュースになって出ていますけど。
いろんな地方の映画館とかが、クラウドファンディングをやらないと続けられないっていう状況が結構多くて、それを見てすごく悲しいなと思いつつも、やっぱり僕たちが出る側・見てもらう側っていうところで、そういうところをなくしたくないなっていう思いがあるんですよね。
なので、それにちなんでいうと、例えば何かクラファンっていうもの、映画館が好きでっていう高校生とかが、クラファンに挑戦してみるとか、その知り合いのおじいちゃんがやってる電気館なりなんなりローカルの映画館に対してのクラファンを自分たちでやって、それまでのその道のりというか、そういう物語も結構面白いんじゃないかななんて 思いました。
僕はずっとそこで見てきたので。何となくですけど。

手島実優(みやこ 役)
私はなんかやっぱり、“これ”っていうのは思いつかないんですけど、まさに何かこの映画が結構一つの正解というか、そこに住んでる誰でもよくて、誰かが例えばこういう質問をしたときに、どこを思い浮かべるかって人それぞれだと思うんですけど、スーパーや八百屋や、群馬だとスズラン百貨店だとか、 そういうのがいっぱいてでてくるのって人それぞれだと思います。

何かその人の、そこで出会った人たちとか過ごした時間とかが一番いいというか、自分も「群馬のどこが好きですか?」って何回も聞かれてるんですけど、モノで答えるのだと、焼きまんじゅうとか温泉になっちゃうので。
私が群馬で一番好きなのは、そこで出会った人とか、一緒に仕事した人とか、自分に何かいろんなものをくれた人とか時間とかなので、そういう意味で言うと、それこそが地元っていうか、それこそが地元の誇れるところじゃないかと。
私が過ごした地元での時間みたいなものが、もし私が、最期に思い出すとしたら、焼き饅頭とかではなく、多分それなんだと映画を見ながら思いました。

つかさ(なつこ 役)
すごく素敵…

佐々木藍(西野 役)
僕も“ぐんま特使”になりたいです。

陣慶昭(翔太 役)
僕はまだ人生経験が浅いので…
次が高校生なのでまだ故郷だなって感じることは少ないんですけど。
僕は出身が横浜で、いろいろあります。
ストーリー作るとしたら何かな…ってみなさんの話を聞いているときに考えていたんですけど。
学生だから学校とかの思い入れが強いのと、地元は国道1号線が通っているので、自分の道であったり、通学路が…

全員
あぁ、通学路っていいね!

陣慶昭(翔太 役)
通学路でも結構いろいろな思い出があるので、それを使ってつくっていきたいです。

つかさ(なつこ 役)
面白そう

佐々木勝陽(すすむ 役)
僕は島根県出身です。港町で…

つかさ(なつこ 役)
今日はお母さまもいらっしゃたんですよね

佐々木勝陽(すすむ 役)
そう急遽サプライズで、島根から飛んできてくれたんですけど。
僕は島根を出て、もうかなり…20年ぐらい経ちました。
でも、島根を出る当初は、出たくて仕方なかったですね、「(島根には)もう何もない…」みたいな。
映画館もなくなっちゃったし。
でも、長くなればなるほど実家に帰ったときの良さがどんどんわかってきました。
海とか、ちっちゃいトンネルがあるんですけど、そこを抜けたらすごい綺麗な砂浜じゃないですけど、岩場があって。
それって今となってはわかるけど、いま実際に島根にいる人たちが、「あ、ここいいな」って思えるような映画を作れたらいいなと思います。
自分の母校の中学も、今月で閉校になってしまいます。
だから、さっき「なんで、島根に帰った時に行っておかなかったんだ」っていう気持ちがありました。地元にいるうちに、いろいろなところを回ってほしいし、自慢してほしいっていう気持ちがあるので、そういう作品ができる・あればいいなと思います。

有希九美[ばーば(せつこ)役]
私は、東京都の練馬区の出身なんですけど。
もう既にそこを出て40年も経ってるんでねそれが地元って言っていいのかっていう感じですけど。
練馬区にあった有名なところっていうと、「としまえん」遊園地とかがあって、でもそれも一昨年になくなってしまって。
最近聞いた話は自分が通っていた小学校もどこかと合併するから新しい名前を募集中とか。
「あ、そうなんだ。」って。


どんどん街が様変わりしていって、自分が住んでいたところも、昔はバスに乗っていかないと、西武池袋線に乗れなかったのに、最近は都営大江戸線ができたから、もう交通が便利になっちゃって、どんどん都会化していってるっていう感じはあるんですけど、でもやっぱり今記憶を取り戻すとそれこそ近所に呉服屋さんがあったなとか、金物屋さんがあったなとかお菓子屋さんがあった、お団子屋さんもあった、夏はかき氷もあったとか、そういう商店街をやっぱり思い出すんですよね。

そういうのは今ではセットを作らないと、その古き良き時代の雰囲気が出せないかもしれないけど、そこだって様変わりしては行くんだけど、その人情は変わらないみたいな。

最近は、人生100年時代・120年時代になってるから、老老介護とかの問題も出てくるし、そういうものを全部織り込んでできたらとは思いますね。

つかさ(なつこ 役)
私は東京の下町生まれで、江戸っ子なんですけど。
市川準監督の『東京夜曲』や、喜劇駅前シリーズ、『男はつらいよ』のような人情喜劇を撮りたいです。

塩野峻平監督
僕はこれ(『此処だけの話』)です。
これが正解というか、答えです。

自分の地元で撮る映画だとしたら、これがひとつの完成品です。


▼映画『此処だけの話』 期間限定公開

2024年7月10日から、2024年8月末日までの期間限定で、YouTubeにて再公開


▼関連記事


■ 作品情報

『此処だけの話』

(2024年/⽇本/カラー/16:9/30分)


あらすじ:
鰹節屋の祖⽗⺟の家で⽣活するなつこ。⼤きな夢もなくただただその⽇を居⼼地良く⽣きている。
少々複雑な家庭事情を持つなつこと、その周りの⼈々との⽣活を描いた⽇常ドラマ。



出演:つかさ、有希九美、佐々⽊藍、林⽥⿇⾥、佐々⽊勝陽、陣慶昭、⼿島実優、笹野⾼史
スタッフ:⟨監督・脚本・編集・プロデューサー⟩塩野峻平⟨撮影監督⟩近藤実佐輝⟨照明⟩岡上亮輔
⟨録⾳⟩⼤津研⟨ヘアメイク⟩⼦池絢⾳⟨助監督⟩⼩⻄康介⟨制作担当⟩⽊下千加⟨演出助⼿⟩平間⾹帆
⟨制作進⾏⟩加藤佑真⟨制作応援⟩清⽔陽介・遠藤百華・渡部史也⟨撮影助⼿⟩平賀紫⽣⟨録⾳助⼿⟩⼩菅⼒哉
⟨スチール⟩春⽇晃⟨⾳楽⟩釘本勇気⟨協⼒⟩中野智⾏・遠藤佳孝・師岡健治
⟨制作⟩Baboo⟨企画製作⟩⼋幡上町商店街くらま会
主題歌:ikachan「ハロー」作詞 塩野峻平 作曲 ⾼橋遼

此処だけの話

上映イベントカテゴリの最新記事