映画『愛のぬくもり』映画初出演 風吹ケイ インタビュー「今人生で一番頑張りたいことがお芝居」

映画『愛のぬくもり』映画初出演 風吹ケイ インタビュー「今人生で一番頑張りたいことがお芝居」

いまおかしんじ監督の最新作『愛のぬくもり』が、2024年7月より新宿K’s cinemaほかにて公開。本作は、男女の入れ替わりという王道のストーリーから展開される、セックスもジェンダーも超えた恋の形。温かな目線とユーモアあふれる筆致も健在な、いまおかワールド全開の奇想天外な恋愛映画。主人公・の小説家・たかしを演じるのは小出恵介。たかしと体が入れ替わってしまう女・サトミを演じるのは、2022年にグラビアデビューを果たし、次世代グラドルとして数々の賞を総なめにした新星・風吹ケイ。そんな彼女に時間をいただき、映画初出演の感想を幅広く語っていただいた。

■ 映画『愛のぬくもり』映画初出演 風吹ケイ インタビュー

▼出演のきっかけ、経緯。監督の印象

ー 『愛のぬくもり』への出演、おめでとうございます!映画初出演ということですが、オファーを受けた時の経緯を教えていただけますか?

風吹ケイ
去年の11月頃にお声掛けいただきまして、その後、監督とプロデューサーの方と面談して決まったという感じです。


ー どのような感じでお声がかかったんですか?オファーの理由とか聞きましたか?


風吹ケイ
いえ、オファーの理由は聞いていないですね。初めてお会いする前に、いまおか監督がどんな方なのか、ウィキペディアでめちゃくちゃ調べたんです。そしたら写真が出てきて、おどけたポーズをしていて。「なんて陽気な方なんだろう!」って(笑)。実際にお会いしたら、本当に話す言葉が面白くて、ユニークな方だなと。


ー 舞台挨拶で短パンにサンダル姿で登壇されることでも有名ですね。


風吹ケイ
皆さん、そのようにおっしゃいますね(笑)。

ー 風吹さんは、事前によく調べるんですね。ネット番組でも、共演者の方やゲストの方について事前に調べている様子が伝わってきます。


風吹ケイ
お恥ずかしい限りです。


ー いまおか監督との初対面では、どんなお話をされたんですか?


風吹ケイ
台本をいただいた中で、自分が思うこととか、この人がどういう人なのかわからないところを、全部監督に聞いたんです。登場人物一人一人について、質問しました。


ー 以前、風吹さんがパーソナリティを務めていたラジオ番組「風吹ケイのKラジオ」でも、勉強熱心な感じが伝わってきました。


風吹ケイ
ありがとうございます!懐かしいですね。


ー もう終わっちゃったんですよね、「Kラジオ」。

▼初めて台本を読んだ時の感想、完成した作品を観ての感想

ー 初めて台本を読んだときと、完成した作品を見たときの感想を聞かせてください。いわゆる男女入れ替わりものですが、ジェンダーや多様性の話も盛り込まれていて、今風なものを感じました。


風吹ケイ
最初に読んだときは、現実ではありえない話なのでびっくりしました。でも、私のレズビアンの役とか、奥さんがいる小出さんの役とか、みんなすごい生き生きしてるなって。やっぱり、言えないこととかってあるじゃないですか。そういうのを考えずに、一人一人が自由でのびのびしていて、うらやましいなって思いました。


ー 完成した作品を見た感想はいかがですか?


風吹ケイ
一番最初に思ったのは、マイナスな意味ではなく、自分自身にまだ至らない点が多いなってことでした。でも、監督の演技指導やスタッフさんの支え、小出さんをはじめ他のキャストの方の演技力で、そういう部分もカバーされていて。ストーリーは本当に面白くて、見てて飽きないので、自分の至らなさ以外は、すごい楽しんで見れました。


ー なるほど。


風吹ケイ
もっと出来る部分がある、伸びしろがあるなって思いました。この作品から他の作品にもたくさん関わらせて頂けるように頑張ります。

▼いまおか監督の対応力と発想力

ー 小出さんが「いまおか監督の熟成された対応力、発想力」とコメントされていましたが、風吹さんが現場で感じた監督の対応力や発想力って、どんなものでしたか?


風吹ケイ
代表的なものだと、いまおか監督の作品では動物が出てくることが多いじゃないですか。撮影前に監督の作品を見たときは、「やってるな~」って思ったんですけど(笑)、そこまで違和感なく溶け込んでてすごいなって。実際に撮影で「じゃあタコ踊りやってみようか」って言われたときは、「あ、これか」って(笑)。でも、編集されたものを見ても、やっぱり変じゃないし、違和感ない。溶け込んでいるのが、いまおか節というか、監督ならではの演出だなって思います。


ー 本作では、インティマシーなシーン、いわゆるラブシーンもありましたよね。共演の小出さんも久しぶりということで、「とても緊張した」とコメントされていましたが、風吹さんはいかがでしたか?

風吹ケイ
小出さんはプロの役者さんですし、ご本人は「緊張した」ってコメントされていますけど、全くそんな風には感じなかったです。小出さんは私を含めて3回ラブシーンがあったんですけど、私とのシーンが最終日で、「やっぱり俺、最終日が一番良かった」って言ってたんです。本当に見ていてそう思いますし、小出さんはどこにカメラがあって、次にどういう風に動くかっていうのが頭に入ってるから、私が間違えたところに手を置いたりしたら、自然な流れで正しい場所に持って行ってくれたり、顔の向きを間違えたら、自然に戻してくれたり。本当にすごいなって思いました。


ー 小出さんの素敵なリードがあったんですね。


風吹ケイ
はい、本当に小出さんのサポートありきでした。


ー ネットで見る風吹さんからすると、どちらかというと攻めのイメージがあったので意外でした。


風吹ケイ
私の印象としては、小出さんは、操るというか、リードしてくれる方でした。


ー 小出さんのリードや、エスコートが風吹さんにとって助けとなっていたわけですね。

▼風吹ケイさんの悩みと戸惑い

ー 「たくさん悩んで戸惑いました」とか、「一瞬一瞬が学びと刺激で経験だった」とコメントされていましたが、具体的にどんなことだったんでしょうか?


風吹ケイ
悩みや戸惑いは、言い過ぎると言い訳っぽく聞こえちゃうかもしれないんですけど…。本当に現場では、何が分からないかも分からない状態でした。でも、監督も小出さんも、「分からなかったら聞いてね」「違ってたら言うから、間違いを恐れずにやってね」って言ってくれて。小出さんも親身になって話を聞いてくれたので、都度都度クリアにはなっていたと思うんです。でも、ずっと根底には「これでいいのかな…」っていう、ちょっとした自信のなさがあったんだと思います。

▼映画の現場とグラビアの違い

風吹ケイ
やっぱり、グラビアの現場しか経験したことがなかったので、現場の雰囲気が全然違うし、スタッフさんの動きとか、キャストの方の対応力、監督の演技指導とか、ほんとに良い経験というか、勉強になったことばかりで。すごいモチベーションにつながりました。


ー 同じ映像でも、YouTubeとは全然違いますか?


風吹ケイ
はい、緊張感の違いのようなものを感じました。


ー 撮影と収録の違いというか、YouTubeの動画撮影とは異なるイメージがありますね。


風吹ケイ
そうですね。映画は同じシーンを何度か繰り返して、納得いかない部分は撮り直したりするじゃないですか。シリアスなシーンとかだと、「感情を線でずっと繋いでおくのが難しい」って監督も言ってましたけど、本当にそうだなって。カット割りとかで同じところを何回もやったり、向きが違うだけで、ずっと繋げておくのは大変だったけど、今となってはそれがすごい恋しいし、早くもっとやりたいって気持ちです。


ー 風吹さんはいろんなことに挑戦されていますよね。それをうまく吸収して次に次へと繋げるバイタリティーがすごいなって思います。今日は楽しいお話、ありがとうございます。


風吹ケイ
嬉しいです!ありがとうございます!

▼無茶振り

ー いまおか監督が「小出さんも風吹さんもやけっぱちで無茶やってもらいました」とコメントされていましたが、実際に無茶振りはありましたか?


風吹ケイ
小出さんにはあったんだと思います。何を振られてもできる方なので、監督も安心してやられてたんだと思います。私はこのコメントを見て、そう見えてたんだって正直思いました(笑)。初めての映像作品の現場だったので、私からすると確かに無茶というか、いきなりの振りが多かったのかなって、今になって思います。

▼事前準備、男性役の難しさ

ー風吹さんは、事前準備をしっかりされる印象があります。今回の入れ替わりものだと、男性の仕草や衣装について、特に小出さんのことを調べたりしたんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか?

風吹ケイ
小出さんのことはめちゃくちゃ調べました。でも、俳優さんなので、何かに演じてる瞬間がほとんどで、素の小出恵介っていう瞬間があんまりなくて。昔の、もっと若い時の小出さんを参考にしようと思ったんですが、何十年も経てば人は変わりますしね。男性の仕草とかもいろいろ調べましたけど、やっぱり自分の想像が入ってたなって、映像を見て思いました。足を開いて座ったり、男っぽい口調を使ったりしましたけど、今思えば、そんな開かないなとか、そんなきつくないなとか(笑)。いろいろ気づきがありましたね。

▼役作りのアップデート

ー調べたことと、現場で実際に接してアップデートしていくみたいなことはありましたか?

風吹ケイ
自分の役で言うと、入れ替わった直後と終盤を比べると、撮影のタイミング的に入れ替わった直後は割と最初の方で、後半は最終日だったので、男らしさじゃないけど、男っぽいものが板についてたなって思います。

▼男性役の感想

ー 撮影は去年の12月頃ですよね。8ヶ月くらい前のYouTubeチャンネルの質問コーナーで、「男性になったら何になりたいか」という質問に、「リレーのアンカーをやって女子をドキッとさせたい」と答えていましたよね。実際に男性役をやってみて、いかがでしたか?


風吹ケイ
一言で言うと難しかったです。私が男役、小出さんが女役で本読みをした時は、お互い想像で演じてる感じで、あまりスムーズじゃなかったんです。でも、監督が「じゃあこの状態で一回入れ替えてみよう」って提案してくれて。私が女役、小出さんが男役をやってみたら、スムーズにいけたんです。それを踏まえて元の役に戻ったら、自分が言ったことを相手が言うっていうのは、わかってちゃいけないんですけど、なんとなく想像がつくようになって。そこからスムーズになれた気がします。


ー 自分だけでやると限界がありますよね。


風吹ケイ
かなり想像でやっちゃうので、実際の男性とはかけ離れたものになってたと思います。本読みとか順番ってすごい大事なんですね。本当に機会を設けていただいて良かったです。


ー 今回のお話いただくときに、映画宣伝の方からnobrockTVのURLが送られてきて、拝見してみたのですが、その中で、「風吹さんのアドリブってすごいな!」といった場面がいくつも出てきました。今回の映画ではアドリブはありましたか?


風吹ケイ
基本的に台本に沿った形ですが、一番最後に撮ったシーン、入れ替わった直後に再開して夜道を歩くシーンで、小出さんがアドリブをしてくれました。5日間一緒にいたので、仲良い距離感になっちゃって。そこは距離感がないといけないはずだったんですけど。小出さんが「携帯交換しよう」って言うシーンで、携帯がなかなか見つからなくて、「あんた待ちなさいよ」みたいなアドリブを入れてくれて。めちゃくちゃ面白かったです。


ー それは見てみたいですね!

▼もし、小池栄子さんに会ったら

ー 風吹さんは小池栄子さんに憧れているとよくおっしゃっていますよね。まだお会いしたことはないんですか?


風吹ケイ
はい、ないです。


ー もし小池さんに会えたら、何をしたいですか?やりたいこと、聞きたいこと、何でも。


風吹ケイ
うーん、何を聞きたいだろう…。やっぱり、「芝居をしてて何が楽しいか」を聞きたいです。小池さんはいろんな役を演じられていて、何にでもなれる人だからこそ、どういうところに楽しさを見出しているのか、気になります。


ー 実は私も、風吹さんを初めて見たとき、小池栄子さんに似てるなって思ったんです。


風吹ケイ
寄せてます(笑)。


ー やっぱり寄せてるんですね(笑)。風吹さんは、デビューから今までいろんなことに挑戦されて、すごいなって思います。


風吹ケイ
いやいや、まだまだです!

▼映像の分野にも

ー こねこフィルムの映像作品にも出演されてますよね。あれらは撮影的にはいつ頃になるんでしょうか?


風吹ケイ
あれは結構頻繁に撮影してるので、初めて出たのが1年前くらいだと思います。こねこフィルムは、台本がなく、割と即興でオチだけ決めといてみたいな感じなので、割と演じるっていうよりは風吹ケイ自身で演じるっていう感じが多いです。


ー 先日、吉岡優希さんが舞台出演にあたってお話を伺ったんですが、よく見れば、お二人が並んで映っているのが、こねこフィルムだったことに気づきました。

風吹ケイ
よくご覧になっていらっしゃいますね(笑)。


ー グラビア、女優、いろいろ挑戦されてきてますけど、今現在でさらにやっていきたいこととか、やりたいこととかってありますか?


風吹ケイ
話が重複してしまうんですけどやっぱり芝居ですね。この作品をきっかけに今は芝居のレッスンに通っていて、そのレッスンを経てオーディションで受かった次の作品とかも出させていただいているので、今人生で一番頑張りたいことがお芝居。何か一つ決めろって言われたら、筋トレを捨ててそっちを選ぶぐらい。いや、もう今一番頑張りたい、決めたいことなので、どんな役であれ、どんな作品であれ、携わらせていただけるのであれば、今一番頑張りたいことはお芝居だなと思います。


ー ハマっちゃったんですね。


風吹ケイ
楽しいですね、めっちゃ。

▼演劇の経験は?

ー 学生時代は、クラリネットをやられていたんですよね?


風吹ケイ
はい、吹奏楽部でした。


ー 学生時代に演劇の経験は?


風吹ケイ
全くないです。


ー この世界に入ったのも、就職されて、コロナがあって、ウェディングドレスのモデルをしたこをきっかけにグラビアを始めて…という流れですよね。最初から目標があったというよりは、経験の中でやりたいことが出てきた感じですか?


風吹ケイ
そうですね。始めたきっかけは、小池栄子さんに似てるって言われて、小池さんのことが気になりだして。調べたらグラビアをやってたので、もう始めた時から、私の目標は小池栄子さんのようなマルチな活躍をすることなので。グラビアは正直通過点っていう感じで見ています。


ー なるほど。デビュー当時の小池栄子さんを知っている私たちからすると、グラビアのイメージが強いので、経済番組に出てしっかりとコメントされたり、女優としても活躍されているのを見ると、その転身ぶりやキャリアがすごいなと思います。そんな小池栄子さんの姿を20代から体現している風吹さんもすごいと思います。


風吹ケイ
ありがとうございます。小池さんと共演させていただく頃までには、もっと技量を身につけて、胸を張れるように頑張ります!


ー 必ず叶うといいですね。


風吹ケイ
はい、叶えます!

▼カメラマンから受け取った撮影のアドバイス

ー 写真をまだ撮られ慣れていない頃に、カメラマンさんにどうやったらうまく撮ってもらえるかを聞いていたという話を耳にしたのですが、その時に聞いた話とか、それによって心がけていることってありますか?


風吹ケイ
グラビアの撮影で毎回聞いてました。みなさんいい方なんで、「今日はこうだったね」「これはこうで、これはこうで」ってたくさん言ってくださって。まとめるのは難しいんですけど、「光が来ていたらハイライトがこうで、シャドウがこうで」っていう技術的な部分から、笑顔に関しても「なんかハッピー」とか「ややハッピー」とか「超ハッピー」とか、いろんなハッピーがあるよね、みたいな話とか。


ー なるほど。


風吹ケイ
「日頃から、自分の顔をずっと見てることはないと思うけど、どんな顔をしているかとか、どういう気持ちの時にどういう顔をしてるかとかは、紐付けておいたらリクエストに答えやすいかもね」、みたいなことは結構前に言われたことがあって、今でもかなり覚えてます。

▼メッセージ

ー 最後に、この映画を見にいらっしゃるお客様に向けたメッセージをお願いします。見どころや伝えたいことなど、何でも。


風吹ケイ
私が好きなシーンは、入れ替わった状態で奥さんと自分のお父さんがそういう関係になって、それを解決した後に、私とお父さんが居酒屋で飲むシーンです。どうしようもない親父だけど、実は私の小説を全部読んでいて、後ろからハグして熱い言葉をくれるんです。「もっと面白い小説を書け」って。撮影中も泣きそうになるくらい、熱いシーンだなと思いました。


ー いいシーンですよね。


風吹ケイ
それ以外にも、小出さんをはじめ他のキャストさんが本当に光っているところがたくさんあります。見ていて飽きない話なので、ぜひ劇場で楽しんでいただければと思います!


■ 作品情報

愛のぬくもり

小出恵介 風吹ケイ
新藤まなみ 荒木双葉 川瀬陽太 田中幸太朗 冨家ノリマサ
中嶌駿介 伊藤和哉 華岡 稟 一ノ瀬紗那 

脚本・監督:いまおかしんじ
企画:利倉 亮 郷 龍二 プロデューサー:江尻健司 北内 健 アシスタントプロデューサー:竹内宏子
撮影:吉田淳志 照明:オカザキタカユキ 録⾳:山口 勉 編集:蛭田智子 助監督:小泉 剛 
ヘアメイク:甲 菜那 スタイリスト:手塚 勇 スチール:阿部拓朗 制作:洲鎌恒男
⾳楽:宇波 拓 整音・音響効果:藤本 淳 キャスティング協力:関根浩⼀  
営業統括:堤 亜希彦 制作:レジェンド・ピクチャーズ 配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト 配給協⼒:ミカタ・エンタテインメント
2024年/⽇本/ 91分/カラー/ステレオ/R-15作品 ©2024「愛のぬくもり」製作委員会
HP: https://www.legendpictures.co.jp/movie/shapeofmyheart/

公式X: https://x.com/imaoka_film2023

2024年7月6日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

愛のぬくもり

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