神保慶政監督特集上映『生活の中の映画』トークイベントレポート「ドラマチックじゃないのに心の機微に触れました」

神保慶政監督特集上映『生活の中の映画』トークイベントレポート「ドラマチックじゃないのに心の機微に触れました」

神保慶政監督特集上映『生活の中の映画』のトークイベントにラジオパーソナリティのキニマンス塚本ニキさん、シモキタ – エキマエ – シネマ K2 共同代表 北原豪さんがゲストで登壇した。両氏は本特集で上映される作品群から感じる作家性やまちづくりと映画が結びつきについて語った。

■ 『生活の中の映画』トークイベントレポート

はじめに塚本ニキさんから、本日上映された、Cプログラム「子どもを生きる」から『えんえんと、えんえんと』に ついて「この作品に監督の作家性のようなものがよく表れていたなと思いました。作中で主人公の女の子が夏休みの課題で街の人の一番古い記憶を聞いて回っていますが、他者の心のうちや記憶、人と人との交わりから何が生まれるのかという事をとても考えているように感じました。」とコメント。

そして『僕はもうすぐ十一歳になる。』にも「日常生活の断片を垣間見せてくれるんだけど、その中に死生観や宗教観であったりをとても自然に描いていました。それがドラマチックな形でないけれど、すごく心の機微に触れました」と言及した。

北原氏も「人格形成に関わる人生の瞬間や、人が何かを志す際の原体験や原風景を切り取っているイメージがあります。登場人物の原風景を垣間見るような」と言うと、監督の神保も「過去にアメリカの映画祭で上映した際、 自分の経験や体験も作品に反映されているけど、昆虫少年だったわけでもないので、キャラクターについて創作した要素が大きい事を評価してもらいました。

つまり日本よりもアメリカは「民族のるつぼ」的な環境なので、他者への関心や、日常生活においての人と人との交わりに目を向けることは非常に価値を置かれている。なので、僕の創作プロセスを気に入ってもらえたのではないか」と話した。

また映画の制作過程とまちづくりについても話が展開し、神保「別のプログラムですが『冒険―会いたい人に会いにゆく』という作品はまだ撮影中の作品です。今回の特集上映用に中編版を制作し上映を行います。

この完成させる事に重きを置かないまま発表していく考え方は“まちづくり”とも似ているなと感じてます。まちづくりって永遠に完成しないと思うので。」と話し、北原「何かのプロジェクトにはゴールがありますが、まちづくりや新しいサービスを生み出すときはいかに持続させるかを考えてますよね。

その場合はゴールというかはビジョンを大事にしていて。途中段階で上映する事は、神保監督の作品に通底している人生の原体験を見せていく事にも関係しているかなと思います。映画として物語のゴールを見せる以上に、人生にとって大事なビジョンを見せているのではないか。」と絶賛した。

キニマンス塚本ニキさん、北原豪さんを迎え、本特集上映の魅力を存分に語り幕を閉じた。神保慶政監督特集上映『生活の中の映画』は2週限定で公開、その後全国順次公開予定。


特集上映情報

神保慶政監督 特集上映 『⽣活の中の映画』プログラム
○プログラム『⾃分を⽣きる』“⾃分らしい豊かな⽣き⽅”を⾒つけるヒントが詰まった作品集
『Workcation』 『冒険―会いたい⼈に会いにゆく』 『憧れ』75min/カラー/ 2ch/ ドラマ&ドキュメンタリー


◯プログラム『旅を⽣きる 』”⼈⽣の冒険”を通して、新たな視点で世界を⾒つめる作品集
『せんそうはしらない』『0ライン―⾚道の上で』96min/カラー/ 2ch/ ドラマ


◯プログラム『⼦どもを⽣きる 』“素朴な疑問と発⾒”から、新たなエネルギーに出会う作品集
★⼦どもたちにもおすすめのプログラム
『えんえんと、えんえんと』『僕はもうすぐ⼗⼀歳になる。』93min/カラー/ 2ch/ ドラマ


スタッフ
監督:神保慶政
コピーライター:イリエナナコ 宣伝美術:鈴⽊規⼦
予告編: 堀合豪⼈(Mogross)  配給・宣伝:夢何⽣ 宣伝協⼒:⽮部紗耶⾹
公式Web: https://seikatsu-eiga.studio.site

神保慶政監督特集上映企画『⽣活の中の映画』
2024 年6⽉28⽇(⾦)より下北沢K2ほか全国順次公開


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