映画『僕の月はきたない』主演・古谷蓮、ヒロイン・架乃ゆら、工藤渉監督インタビュ-

映画『僕の月はきたない』主演・古谷蓮、ヒロイン・架乃ゆら、工藤渉監督インタビュ-

映画『僕の月はきたない』が6月15日(土)より、新宿 K’s cinemaにて公開。本作は、無名俳優である古谷蓮が30日間続けた禁欲生活をさらに継続し、寺修行をしながら禁欲と自己鍛錬の狭間で足掻き、苦しみながらも自己発見する様子を活写。禁欲に切実に悶える青年の葛藤に工藤監督が真正面から誠実に向き合い、笑って泣けるジャンルレスな令和版禁欲青春映画が誕生。 今回、主演・古谷蓮、ヒロイン・架乃ゆら、工藤渉監督にお時間をいただき、本作制作の経緯について幅広くうかがいました。

■ 映画『僕の月はきたない』古谷蓮、架乃ゆら、工藤渉監督インタビュ-

▼ 「30days」プロジェクトの成り立ち

-今回の作品は、映画『30days』が元になっていますよね。古谷さんが禁欲の末に告白するという内容でしたが、パッと聞くと、オナ禁→修行→成功したら告白というそれぞれのつながりがバラバラというか、唐突さを感じる部分もあります。本作制作のプロジェクトの始まりから、どのように進んでいったのか、また、階戸さんへの想いや、古谷さんにとってどんな方だったのかなどを教えていただけますでしょうか。

古谷蓮
『30days』はコロナ禍での撮影で、吉田浩太監督がリモ-トのみで撮る映画という特殊な作品の企画の一つでした。脚本も何もない状態から始まったので、僕自身も何をすればいいのか分からず、手探りで進めていきました。相手役の女優さんも最初は決まっていませんでしたし、30日後に禁欲を終えて意中の女性に告白することだけが決まっていた状態でした。本当にどこに向かって進んでいけばいいのか分からない状況でしたね。

▼古谷さんにとっての階戸(しなと)さん

-古谷さんにとって、階戸さんはどういった存在だったのでしょうか?趣味がドラムと言った共通点がプロフィ-ル上からは感じましたが

古谷蓮
出演は別作品なのですが、数年前に映画祭で階戸さんをお見かけしたこと、お話したとかではなく、本当に見ただけということがあって、その時にとても綺麗な方だと思ったんです。それで吉田監督に「この方(にオファ-してみるのは)どうでしょう?」と提案したのですが、「絶対無理だよ」と言われました。
それでもダメ元でオファ-してみたら、快諾してくださって。僕としては願ったり叶ったりでしたし、吉田監督も僕が選んだ方ということで、よりモチベ-ション高く撮影に臨めました。限りなく事実に近いモキュメンタリ-という形式だったので、僕が「この方がいい」と選んだ階戸さんと共演できたことは、本当に嬉しかったです。役者としても、人としても尊敬できる方だったので。

▼寺での修行経験について

-お寺での修行という発想はどこから出てきたものでしょうか?


古谷蓮
きっかけは台本にあったわけではなく、自分で考えてお寺での修行を選びました。座禅が良いと感じ、煩悩を捨てるという意味で寺との繋がりを感じました。当時は深く考えていたわけではなく、とにかく自分を変えたい一心でした。役者としても人間としても未熟さを痛感しており、修行で全てが解決したわけではありませんが、25歳という年齢で将来に不安を感じ、必死にもがいていた時期でした。


-コロナの時期は俳優さんの仕事が減って、考える時間が増えたというはなしを耳にしました。


古谷蓮
そういったことも無意識のうちに影響したのかもしれません。

▼『僕の月はきたない』映画化のきっかけ

-『30days』があったうえで、本作『僕の月はきたない』が制作されるに至ったお話をきかせてください。


古谷蓮
お寺での修行後に東京に戻り、吉田浩太さんから脚本を書くように言われ、『僕の月はきたない』の原案を書きました。それを気に入った吉田さんが映画化を提案し、そこから全てが始まりました。
1年以上かけて脚本を書き直し、監督・脚本・主演を自分で務める予定でしたが…


工藤渉監督
危ないところだったね。

古谷蓮
はい、危ないところでした。
良かったです。こういうカタチになって。
最終的に工藤監督にお願いすることになりました。


-古谷さんと吉田さんの間でのやりとりがあったうえで、その後から工藤監督が参加する流れなんですね。


工藤渉監督
なんのきっかけかは覚えていないんですけど、吉田さんと古谷さんとの打ち合わせに同席し、脚本を読んだのがはじまりになると思います。そこからちょっと間をおいて、「やります」と伝えました。
古谷くんの実際にあったことと、エンタ-テイメントとして作っていく中で、気持ち・心情がエモ-ショナルなものが撮れるだろうなと思ったことがやってみようと思う決め手でした。


-監督をする流れとしては、オファ-というかお願いされたかたちですか?

工藤渉監督
吉田さんからお願いされたかたちですね。「渉、やる?こんなのあるんだけど、オナ禁の作品なんだけど」って。
「ん…オナ禁…?」って。


古谷蓮
「なんのこっちゃ?」ですよね。

▼架乃ゆらさんの出演の流れと「30days」について

-では、架乃さんの出演の経緯についてお聞かせください。
映画の中では「30days」を見て勇気をもらってオ-ディションを受けたという話でしたが、実際はどうだったのでしょうか?

架乃ゆら
実際は、工藤さんからお話をいただきました。『30days』には、まったく関わっていませんでした。
工藤さんから台本をいただいて、めっちゃ面白いとおもったので、「ぜひやらせていただきたいです!」と返事をして参加させていただきました。
なので、この映画に関わることになってから『30days』を観ました。変な映画でした(笑)
でも、両作品ともに共通して言えるのは、なんだかわからないけど、熱い感じがあって、こんなに面白い作品があったんだなって思いました。

工藤渉監督
ちなみに、架乃さんは架空の役で、古谷くんは、彼自身という位置づけです。

▼架乃ゆらさんのキャスティングと演技への想い

-架乃さんは、他の面白い映画作品にも出演されている印象があるのですが、プロフィ-ルを調べてみると、中学時代は演劇部に入っていたそうですね。昔から演技に興味があったのでしょうか?


架乃ゆら
はい、いま思い返してみれば、もともと目立ちたがり屋な面があったので、その最大級といいますか、舞台に立つことに憧れて演劇部に入りました。みんなで意見を出し合いながらお芝居を作るのが楽しく、AV女優になってからも映画やドラマなどに出演する中で、中学時代に抱いていた演じることの楽しさを再認識しました。年々演技の楽しさが増しており、これからも演技を続けていきたいと思っています。


-中学時代の夢が今の活動に繋がり、着実に叶っているんですね。

▼古谷さんが俳優を目指したきっかけ

- 古谷さんはいつ頃俳優を目指したのですか?


古谷蓮
高校を卒業する時、特にやりたいこともなく、大学にも進学する気がなかったので、小学生の頃に楽しかった学芸会を思い出して俳優をやってみようと思ったのがきっかけです。


架乃ゆら
「モテたいから」では(笑)?


古谷蓮
モテたいっていうのもありますね(笑)。


工藤渉監督
モテたのかい(笑)?

古谷蓮
それはこれからです!これをきっかけに!
9年かかってますけれども。
僕の見立ては、1,2年でイケると思っていたんですけどね。甘かったです。
やっと、今回、チャンスをいただけました。

▼過去の演劇経験について

古谷蓮
小学校の学芸会は、本当に楽しかったです。
当時やった演目が、「人間になりたがった猫」で、猫が魔法で人間の姿に変えてもらって、人間の街に迷い込んでいくというお話でした。
僕は主人公ではなく、街にいる意地悪な警官役でした。でも、町娘に恋をしていて、ひとりで歌って踊るシ-ンがあって、主人公の前では意地悪なのに、彼女の前では態度が変わるという役で、振り付けも自分で考えました。
会場が割れんばかりの歓声が起こって、その時の快感が忘れられなくて。


工藤渉監督
夢の話?


古谷蓮
現実ですって!
僕のお母さんも覚えていますもん。
お客さんも大爆笑で、最前列のおじさんから「役者やなぁ!」と褒められました。スタ-爆誕!みたいな。


工藤渉監督
嘘ついちゃだめだよ、たまに嘘つくから(笑)。

古谷蓮
嘘じゃないんですって!詐称しないですから。
現場でも、工藤監督はこんな感じなんです。ツッコミが間に合わないくらい。

▼古谷さんのプロフィ-ルについて

-ツッコミといえば、古谷さんのプロフィ-ルに「2.8枚目俳優」とあったのですが、これはどなたが考えたのでしょうか?


古谷蓮
劇団の主催者である富坂さんが考えてくれたもので、僕が言い出したものではないんです。


工藤渉監督
自分がスベったわけじゃないんだ。


古谷蓮
僕自身は「2.5枚目」くらいかなと思っていたんですけど。0.3足されて「2.8枚目」になっていました。

架乃ゆら
「2.5枚目」と「2.8枚目」だったら、「2.8枚目」のほうがいいですね。


古谷蓮
あぁ!それならよかった!

▼工藤渉監督が映画監督を目指した経緯


-ちなみに、工藤監督は青森出身ですよね?古谷さんが千葉、架乃さんが岡山の出身で。監督はどうして映画監督を目指したのですか?

工藤渉監督
兄が映画好きで、当時「ロ-ドショ-」のような雑誌を毎月買って、「これは見ておいたほうがいい」とか、深夜に「このアニメを今見ないとダメだ」と呼び出されたりしていました。


-映画好き同士だとそういう「圧」みたいなものがありますよね。

工藤渉監督
そうなんですよ。「この流れで見ないとダメだ」みたいな。


-それがきっかけですか?

工藤渉監督
20歳くらいの時に何をしようか、悩んでしまって何をすればいいのか分からず、しばらくはフラフラしていました。当時、ゲオで1000円で5枚のDVDをレンタルして、ずっとみていて、「映画!」だと。
それで自分で小説のようなものを書き始めたりもしましたね。


-1000円で5枚というのは、懐かしいですね。


工藤渉監督
そうですね。あのサ-ビスは最高でした。


古谷蓮
今だと1000円で5枚は割高に感じてしまいますね。


工藤渉監督
そうかもしれないね。DVDという媒体自体が少なくなってきましたし。昔は1000円で10枚レンタルできたりもしたんですよ。

▼禁欲化するとモテるという都市伝説について

-工藤監督は、古谷さんの禁欲に掛ける思いを聞いて、「すごく面白かった」と書いていましたね。


工藤渉監督
ええ、面白かったです。
というか、「何言ってるんだろう、この人」って(笑)
「なんで禁欲するんだろう…」って。今もまだ分からないですね。


-禁欲を選んだ理由はあるんですか?


古谷蓮
まあ、モテたかったからですね。


工藤渉監督
本気で思ってたの?禁欲したら、ちょっとかっこよくなれるとか?


古谷蓮
いや、それは都市伝説でありますから。


工藤渉監督
それを信じてたの?


古谷蓮
いや、分からないから、自分でやってみようと。何でも試してみないと。


架乃ゆら
メロンに醤油をかけてウニの味になるのか、みたいな(笑)?


古谷蓮
そうそう、そういうノリです。まずは体験してみてどうなるか。


-禁欲するとモテるっていう都市伝説を架乃さんは聞いたことがありましたか?


架乃ゆら
いえ、ないです。


古谷蓮
え、嘘?有名だと思ってたんだけど。有名じゃないんだ。知らなかった。


工藤渉監督
まぁ、聞いたことはあるかな…くらいかな。


古谷蓮
え!?でも吉田さんは知っていましたよ。

工藤渉監督
吉田さんなら知ってそうだね。

▼30歳まで童貞だと魔法使いになれるという話

-30歳まで童貞だと魔法使いになれる、なんて話もありますよね。


架乃ゆら
それは一般的に耳にしますよね。


古谷蓮
それは完全にファンタジ-ですよ。魔法使いになんてなるわけがない。
でも、禁欲するとテストステロン(男性ホルモン)値が上がるとか、科学的な裏付けもあるようで、現実味があるじゃないですか。魔法使いはファンタジ-ですけど。


-男性のエネルギ-が溜まってモテるというのは、確かに現実味がありますよね。


古谷蓮
その時はまだちゃんと調べてなかったので、「そうなんだ!モテればいいや!」と思って、一回やってみようと。


工藤渉監督
意味不明ですよね(笑)本当に意味が分からない。


-いやぁ、でも貴重な話が聞けていますし。


架乃ゆら
こんなことを一生懸命語ってくれる人はいないですよね。改めて聞いてもよく分からないですけど。

▼現場で愛される古谷さん。現場の雰囲気

-監督がコメントされていますが、古谷さんは、すごく愛されるタイプなんだとか。いまだに“意味がわからない”といいつつも、古谷さんはどんなタイプだと思いますか?


工藤渉監督
古谷君の性格を言語化するとなると、難しいんですけどね。


古谷蓮
そんなに難しいですか?


工藤渉監督
社交的に見えて、実は別の顔があるというか…。


古谷蓮
そういわれてみればそうですね。でも、みんなそうじゃないですか?


工藤渉監督
いや、そうなんだけど、とにかく古谷くんはスタッフに愛されていて、現場ではツッコミが間に合わないくらいでした。いつもちょっとボケている感じだったかな?


古谷蓮
僕はボケてるつもりはないんですけどね。みんながそう言うから、「違いますよ」って訂正するんです。ツッコミじゃなくて、僕としては訂正のつもりで。


工藤渉監督
吉田さんも、「古谷のことはどうでもいいから」っていう割には、「古谷くん主演で映画を撮ってみないか」って言ってきたりするんです。
結局、古谷くんのことが大好きなんだよね、吉田さんは。


古谷蓮
ありがたいですね。

▼架乃さんとの関係

-これも、工藤監督のコメントですが、「古谷さんは、架乃さんに愛されてる」と書いてありますが。


工藤渉監督
それは勝手に書いたのかな(笑)。

-逆に、架乃さんは古谷さんのことを…


工藤渉監督
嫌いだと思うんですよ。

<一同爆笑>

古谷蓮
ツッコミが早いって!
まだ何も言ってないのに、せめて本人の口から聞かせてください。
なんで代弁するんですか!(笑)


架乃ゆら
この映画に関わっている人は、工藤さんもそうだし、吉田さんもそうだし、元々繋がりのある人・親交が深い方が多いんです。
私は途中から参加して、最初は緊張してあまり話せなかったんですが、古谷さんが愛されキャラだというのがわかったから、いろいろ話をしました。

▼古谷さんから見た、架乃さんの印象

-古谷さんから見た架乃さんの印象は?

古谷蓮
とても肝が据わっているなと思いました。お寺のシ-ンの撮影は後半からが多かったんですが、そんなに撮影中にコミュニケ-ションを交わすことがなく、序盤は共演シ-ンが少なかったので、あまり話す機会がありませんでした。
でも、ベンチのシ-ンで、まだ打ち解けてないのに、架乃さんが急にアドリブを入れてきて。「すごいな、この人」って。


架乃ゆら
そんなことないですよ~


古谷蓮
これが女優かと。

架乃ゆら
そんな、私の奇行みたいに言わないでくださいよ~


古谷蓮
いやいや、あれは奇行だよ。


架乃ゆら
その前に古谷さんが「俺はなんでもいけるぜ!」みたいな雰囲気を出していたんです。

古谷蓮
ほら、こういうところなんですよ。俺、言ってないって!


架乃ゆら
いえいえ、オーラ出していましたよ。


古谷蓮
そんな、この作品でそんなオ-ラ出せないでしょう!
でも、それくらい気概のある女優さんだなと思って、そこから完全に安心しきってできました。

▼架乃さんの特技と趣味について

-架乃さんの話に飛ぶのですが、特技はサイクリングだそうですね。


架乃ゆら
はい。


-今日、着ている服も、FOX Racing(https://foxracingjapan.com/)で、マウンテンバイク系ですね。

架乃ゆら
これは古着屋さんで買って、今日はたまたま着ているだけなんですけどね。


-マウンテンバイクには乗るんですか?


架乃ゆら
いえ、軽いサイクリング程度で、弱虫ペダルとか、ツ-ルドフランスみたいな感じではないです。


-趣味はいろいろあるんですよね?昭和歌謡とか特撮とか。


架乃ゆら
そうですね、オタクっぽいところがあります。凝り性なので、気になったらとことん調べちゃうんです。飽きたらまた次のことに…って感じで、結果的にオタクになっちゃっていますね。

▼架乃さんの女優としての目標

-少し作品から離れた質問になりますが、7月でAVを卒業されるとのことですが、YouTubeでの発信もされていますが、今後は女優として活動するなかで、目標や夢、演じてみたい役などがあれば教えてください。


架乃ゆら
具体的な目標や演じたい役はまだ決まっていませんが、映画「グッドバイ・バッドマガジン」や「僕の月はきたない」のように、面白い作品に携わり続けたいと思っています。
今後も、面白い作品に携わって、私を使いたいと思ってくれるような役者になりたいと思っています。今は好きなことをやらせていただいているので、これからも続けていきたいです。


-コラムも執筆されていて、マルチな才能をお持ちだと思うので今後の活躍も楽しみにしています。

▼古谷さんが経験から学んだこと

工藤渉監督
ぜひ、古谷くんにも夢を聞いてあげてください。

-はい、もちろんうかがいたいと思います。まず、今回の作品作りを通して、お寺での修行など様々な経験をされたと思いますが、何かご自身の糧になったことや、役立ったと感じていることはありますか?


古谷蓮
お寺に行ったから変わったとか、修行したから変わったということではないのですが、何か行動を起こしたという事実が、今の僕にとっては糧になっているかもしれません。
以前は頭の中で色々と考えてばかりで、結局何も行動しないことが多かったんです。今回は、バカだと思われるかもしれませんが、とりあえずお寺に行ってみようと決めて、実際に行動に移してみました。それだけでも、僕にとっては大きな一歩だったと思いますし、今後も臆病にならずに色々なことに挑戦していきたいと思っています。
それが正解か不正解かはわかりませんが、やってみなければわからないですからね。結果として、今回はこのような映画を作らせていただくという嬉しいことにも繋がったので、やっぱり無駄なことはないんだなと思います。これからもどんどん色々なことに挑戦していきたいです。

▼古谷さんの俳優としての将来の方針


-では、古谷さんは俳優としての将来の方針や、具体的な目標とまでは言わなくても、目指したい方向性のようなものはありますか?


工藤渉監督
ないんですよ、本当にないんです。


架乃ゆら
なんで、(古谷さんより先に)全部先に言っちゃうんですか(笑)

古谷蓮
(工藤さんは)僕なんですか?(笑)
まあ、確かにそう言われてみると、具体的な目標は特にないんですが、やはり俳優として生きていきたいと思っています。それは、俳優という仕事を続けていくという意味でもあり、生活していく上でも俳優としてやっていけるようになりたいという意味でもあります。俳優業だけで食べていくという。そのためには、乗り越えなければならない高い壁がたくさんあるのですが…。

▼俳優業。脚本も?

-今回、古谷さんは俳優としてだけでなく、脚本も書かれているとのことですが、俳優だけでなく脚本家としても…

工藤渉監督
それは本当にやめたほうがいい


古谷蓮
茶々の入れ方が!(笑)


架乃ゆら
でも、それがダメだったから、今回、こういう形になったんですものね。


工藤渉監督
とんでもないスカした脚本が…
「古谷くん、自分のことをこういう風に思ってんだ」とか。
黄昏てみたりね。


古谷蓮
別にスカしていませんし、黄昏てないですって。
あくまで、芝居をやっていきたいと思っています。

-いまの話からすると、古谷さんが書いた脚本を工藤監督が手直ししたという流れですか?


工藤渉監督
最初の脚本は、「なんだこりゃ?」と思いました。

それは冗談として、無情な脚本だったんです。そのまま流れてしまうというか。それはやりたいことと違うというか。
そこで、エンタ-テイメントとして見せたいなと思って、脚本家の鈴木太一さんに入っていただきました。


古谷蓮
ドラマがなかったですよね。おっしゃる通りで事実に基づいて書いていったので。

工藤渉監督
淡々としていたよね。

-架乃さんの役については、当初の脚本になかったということでしょうか?


古谷蓮
はい、なかったです。女性の役自体はあったんですけど、琴絵さんのような役ではありませんでした。

▼工藤監督からみた架乃さんについて

工藤渉監督
架乃さんのお芝居について少し話してもいいですか?
本当に素晴らしくて、役について深く考えてくれる方なんです。
正直、琴江という役は感情が繋がりにくいというか、僕自身も「どういうことなんだろう?」と思っていた部分があったんですが、架乃さんはその部分を全部繋げてくれました。きっと頭の中でたくさん考えてきてくれたんだと思います。
架乃さんは僕が考えてもいなかったような感情を少しずつ足してくれて、役が完成していったんです。架乃さんが出演してくれて本当に良かったと思っています。
面白い作品にどんどん出て、また一緒に仕事ができたら嬉しいです。

架乃ゆら
なんか映画のなかみたいになってきましたね。


古谷蓮
もうスイッチ入っちゃったね(笑)。楽しくなってきちゃった。

-笑いがたえないインタビュ-って、皆さんの雰囲気が伝わって、いいと思います。架乃さんが出ている作品がスピンオフでできたりして。


古谷蓮
で、架乃さんが主演、僕がその後ろの方を歩いている…なんていうのも面白いかもしれませんね。なにか坊主がいるな…ってすぐバレるでしょ(笑)
これ、繋がりでしょ。もしかしてずっとこれが映ってない?って。

架乃ゆら
ホラ-ですね。

▼メッセ-ジ


-それでは最後に、映画の見どころやメッセ-ジを、お客様に向けてお願いします。


架乃ゆら
この映画「僕の月はきたない」は、言葉では説明しづらいけれど、観ると心に響く何かが伝わってくる作品だと思います。性描写はほとんどないので、男性も女性も安心して観ていただけます。古谷さんのお尻が映るくらいでしょうか(笑)。誰もが経験するであろう、がむしゃらに頑張る姿が描かれているので、きっと共感できる部分がたくさんあると思います。ぜひ劇場でご覧ください。


古谷蓮
今回の映画は実話を元にしていますが、内容よりも、願い続ければ叶うというメッセ-ジを伝えたいです。目標に向かって一生懸命努力すれば、必ず良い方向に向かえるはずです。この映画を観て、皆さんにもっと頑張ろうと思ってもらえたら嬉しいです。


工藤渉監督
生きづらさを感じている人は多いと思いますが、この映画を観て「無理しなくていいんだ」と思ってもらえたら幸いです。ぜひ劇場でご覧ください。


映画『僕の月はきたない』作品情報

■STORY

憧れの人に告白するため 30 日間の禁欲を決行した俳優・古谷蓮(古谷蓮)は何も変われなかった反省から、憧れの人に変わった姿を見せるべく寺修行に行くことを決意する。自己鍛錬に勤しむ古谷。性欲に悩む夫婦や性を超越する住職との出会いを重ね、自己発見の授業を駆け抜けていく古谷に思いがけない悲報が届く。禁欲と自己鍛錬の目的を見失う古谷。そんな中、映画「30days」の大ファンだという琴絵(架乃ゆら)と出会う。禁欲に切実な問題を抱える古谷と琴絵の運命的な出会いによって、禁欲自己鍛錬はクライマックスを迎えていく……。



▼予告編


■CAST
古谷蓮、架乃ゆら、仁科貴、国保裕子、坂牧良太、吉田浩太、⿅野裕介、芹澤興人

■STAFF
プロデューサー:吉田浩太  後藤剛    監督:工藤渉  脚本:鈴木太一

撮影:関将史  録音:篠崎有矢 美術:岩崎未来 スタイリスト:中村もやし ヘアメイク:くつみ綾音 助監督:國谷陽介 音楽:零式  主題歌『よろこびの歌』作詞作曲:朝真裕稀

2023|86 分|日本|アメリカンビスタ|カラー

コピーライト
©LUSTS

公式アカウント
X(旧Twitter)|
@bokunotuki

■映画の前日談となった「30days」とは
2021年、俳優・古谷蓮があまりに暇なコロナ禍を有意義にするため、30日間の禁欲を決行し憧れの人に告白をするというフェイクドキュメンタリー映画。30日間無事に禁欲を達成し、憧れの人に告白をしたが、自らの魅力のなさを痛感してしまう結果となり、その後90日間の寺修行に行くことを決意するのだった。

2024年6月15日(土)新宿K’s cinemaにてレイトショー上映

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