4月7日(木)から4月17日(日)の期間、元映画館(東京都荒川区)にて、舞台「いつかのっとかむ」の上演が決定。本作は、Pandemic Design ( https://www.pademicdesign.com/ )が挑戦する「Museum Project」。本プロジェクトは、芝居が行われる劇場空間を飛び出し日常であるはずの空間に演劇を溶解させる、日常と演劇の圧倒的境界線の消失を目的とする。
上演会場は「元映画館」(もとえいがかん)。30年前まで実際に地元で愛されてきた映画館。
今回、主宰・日野祥太さん、主演の里内伽奈さんにお時間をいただき、本作上演のきっかけ、魅力ある出演者のキャスティング方法、舞台初出演となる里内さんの感想や意気込みなどたっぷりとお話を伺いました。
■ 舞台「いつかのっとかむ」主宰・日野祥太、主演・里内伽奈インタビュー
▼本作上演のきっかけ
-本作上演のきっかけを教えて下さい。
日野祥太
まず最初に作品を作る前に、元映画館という場所に訪れたんです。そこありきで考えた作品になっていきました。映画館でやるのであれば、やはり映画関係の話をしたいなと思いました。なので今回、映画関係者のお話になっています。
コロナウイルスで苦しんだ映画関係者の方や劇場関係の人がいらっしゃいまして、そういう人たちの知り合いの中でも苦しんでいた方が数多くいらっしゃいました。そんな人たちをストレートに描くというよりかは、ちょっと比喩表現を入れて作品を作って、それを映画関係の人やそういった事情を知らなかった人たちに届けたいなと思って作品の制作をし始めました。
▼魅力ある役者陣の選出方法
-魅力ある役者さんが揃っていると思いました。キャスティングはどのように行われたのでしょうか?
日野祥太
そうです!もう魅力しかないです。今回オーディションは一切していなくて、お声掛けさせていただいた人たちを集めさせていただきました。僕の作品ではいつも“同じ界隈の人を集めない”というスタイルをとっています。
今回の舞台は映画関係のお話でもあったので、映画を中心に活動している方々や、逆に舞台を中心に活動している方々を集めていて、初舞台の人が多かったです。その他にもTikTokから見つけた彩雪(ayase)ちゃんという子がいたりします。いつもYouTuberの方やモデルの方をキャスティングすることが多いです。
演劇を広めていくためには演劇の人たちの界隈だけでやっていては広がらないと考えています。それなので、いつもキャスティングを幅広くさせてもらっています。その延長線上で今回のこういう作品の中でも、舞台関係や映画関係の人だけを集めるというのでは、何か物足りないなと思いました。
せっかくなら舞台・映画関係以外の人たちも集められたらと思ってのキャスティングでした。なので幅広いメンツになっていると思います。
-人脈ももちろんあると思いますが、日野さんが自ら探しに行ってオファーをかけたということなんですね。
日野祥太
はい、もちろんめちゃくちゃ探しました。なので、みんな見たことがある人たちだと思います。
櫻井保幸さんや里内伽奈さんは、ご自身の作品だったり何か露出されているものを見たことがある方としてお声掛けしています。
▼里内伽奈さんのオファーについて
ー里内さんは、日野さんからオファーをいただいた時のことで覚えていること、印象に残っていることはありますか?
里内伽奈
まずご連絡いただいた時に、もうすでに企画書がしっかりとついていました。その企画書を読んですぐ参加のお返事をしました。以前から何回かご一緒する連絡はいただいていたんですけど、機会が無くてなかなか実現しませんでした。
自分の自主映画を最近作ってみたタイミングで、この作品のオファーが来て、速攻で「これは私がやりたいです!」となりました。映画と演劇両方への愛がすべて企画書に詰まっていて、こんな面白い試みをされるんだなと思いました。
▼役者さん自身の特技・持ち味を活かした脚本
-役者さんの特技や持ち味(自主制作映画の撮影や音楽活動など)を活かした脚本・配役だと感じました。そういった当て書き的な部分は考慮されたのでしょうか。
日野祥太
それはありますね。役者自身とかけ離れたものを演じてもらうとなると、今回の作品的には無理が出てくることがあると思うんです。ステージ・舞台上で行われるスタイルの舞台だったら、脚本で作り込むことがきる可能性があると思います。
今回のようなお客さんとゼロ距離のお芝居となると、役者自身と近しいものがどこかでは必要だと考えていました。
里内伽奈
この点はすごいなって思いました。全員の個性を含めてあの役になっていると思いました。脚本を書いたのが先なのか、この顔ぶれと状況をつくったのが先なのかはわかりませんが、役者本人と役の融合という観せ方がとても面白いと思いました。
▼台本を初めて読んだ時の感想
-里内さんのコメントに、「台本を読んだときは正直難しくて驚いた」とありました。その驚きと、感じた難しさについてお話を聴かせてください。
里内伽奈
ゼロ距離ということの「これはお客さんありきだな」という難しさを読んだ時点で感じました。また、脚本の前半と後半での印象の違いがある点にも難しさを感じました。言葉がすごく大切だなって思いました。素敵で綺麗な言葉がとても多くてそれをどう言えば伝えられるのかと考えました。
脚本を読んだ時に、そういった言葉をとても大切にしたいと考えました。今までの役では、そういう言葉を発したことがあまりなかったので、「おっ!?」と頑張ろうと思いました。
また内容について、分からせるようで分からせなかったり、進んでいく中でわかっていくことが多いので、まずそこに関する参加メンバー全員の共有も最初は大変でした。そこはみんな一緒に共有しながら作っていっている感覚を強く感じています。
▼舞台初主演の意気込み
-里内さんにとって、今回舞台初主演ということですが、意気込みをお聞かせください。
里内伽奈
実はとても怖くて、まだまだ不安なんです。でも、全員がずっと出ていて空間共有ができているので、皆と一緒にいる安心感が大きいです。しっかりしなきゃというプレッシャーはありますが、皆さんと楽しみながら本番を迎えられればと思っています。
▼日野祥太さんのコメントにある「圧倒的境界線の消失」について
-本日、稽古場見学をさせていただいて、日野さんのコメントにあった「圧倒的境界線の消失」を体験することが出来ました。里内さんのコメントにも「この作品はお客様と一緒に過ごす事で完成する作品」とありますが、あらためてお客様に伝える点がありましたらメッセージをお願いします。
日野祥太
役者と全く同じ時間軸をその場で過ごすことになるので、「舞台を観に行くぞ!」という感じの意気込みで来るというよりかは、ふらっとこの空間を楽しみに足を運んでくれたらと思います。純粋な劇場という場ではなく、元映画館というレトロで良い場所だからこそ、時間と空間の共有を是非楽しんでもらいたいと思っています。
▼個性豊かな共演者の皆さんと必死に考えながら稽古していること
-本番に向けての稽古の状況やエピソードについて、印象に残っていることがありましたら教えて下さい。
里内伽奈
稽古を始めた頃、まだみんなが台本が理解しきれてないときにやってみると、やはり各々が考えてきたことが全然違ったんです。でもそれは本人がその役だからそう思ったとか、何か演出家がガッツリ引っ張るっていうより、本当に個々を大事にしてくれている作り方だと思いました。
初めはとっちらかったりしていたんですけど、一度、Zoomでみんなで稽古日ではない日に、3時間ぐらい話し合ったんです。それが本当に有意義な時間でした。その共有がないと、同じ空間であれを作れなかったんだろうなっていうことが印象に残っています。
ただ話し合いだけで3時間なんて、多分稽古では取れないはずなので、Zoomですけどきちんとみんなで話すという時間は本当にありがたかったです。
-気兼ねなく全員で長時間話すというあたらしいスタイル(オンライン打合せ)は有効に活用できるんですね。
里内伽奈
そうなんです。稽古だと追われてしまうし、今は稽古が終わった後に飲みに行って話すとかができないのでゆっくり話し合える場は大切でした。
▼実際に「元映画館」で稽古してみての感想
-「元映画館」で稽古をしてみての感想を教えてください。
日野祥太
元映画館の内部の1階と2階の実際の高低差などを肌で感じるとまた違いますし、声の感じも違うし、こんな動き方するのかっていう確認もあらためてできたと思うので、これだけ稽古が進んだ中で、
あの現場で稽古することは本番前の通し稽古までないですけど、稽古場でも、改めてその肌感を
持ってお芝居してくれるんじゃないかなと思っております。
里内伽奈
なかなか実際の場所で稽古するってこともないし特殊な場所ですから、今回の機会は本当に貴重で普段の稽古場では気づけないことがたくさんありました。お客さんが入ってくれていると空間が変わったりとか、お客様から「どこに座るかで見え方が違うっていうのも楽しい」という声がありました。この空間に来て、どこにいるかによって人それぞれ感じ方も違うといったことが面白いと思います。
日野祥太
ああいう空間だから、席によって見えないシーンがあったりすると思うんです。でも逆にその席にしか見えない視界も出てくるので、それは特殊な形ではあると思います。
-用意される座席は、指定席なのでしょうか?
日野祥太
はい。チケットの購入時に自動的に指定された席がランダムに選択される形式になります。
里内伽奈
もはや、座席位置に前とか後とかないんですよね。どこに座っても“ゼロ距離”なので(笑)
-確かにどこに座っても、役者さんに最接近できますものね。
▼舞台『いつかのっとかむ』 見どころとお客様へのメッセージ
-見どころと、お客様へのメッセージをお願いします。
里内伽奈
役者本人たちを見て欲しいです。俳優目線で言うと、空間を楽しんでいただいて、それぞれの個人と役、みんなの居方や生き方がにじみ出てくる何かが、そばであると思います。そういうところを全出演者、それぞれ8人のエピソードを想像したり考えて観ていただけたら楽しいのではないかと思います。
やはり実際の空間ですね、是非、元映画館に来ていただきたいです。
日野祥太
こういう演劇って、元々あった事件や災害を忘れないで欲しい…と人に届ける一つの媒体だと思うんです。映画館とかって、スマホを触りながら見られるような作品や空間ではないですよね。そういう空間ってもうだいぶ少なくなってきていると思います。
YouTubeやTikTokだったらあまり考えないで見ていられるものが増えてきてしまっています。あらためてその場に足を運んで、その作品のことを考えてもらうということだったり、作品が何を伝えたいのかということを考えてもらえる数少ない媒体だと思うんです。
あらためてそういう場所や作品をお客様には楽しんで欲しいなって純粋に思っております。
★追加情報★
本作に出演する「小川未祐」による、 《いつかのっとかむSpecial Live》の開催が決定!
場所は本公演の会場である「元映画館」。座席数は限定40名。
チケットは現在販売中。
・2022.4.14(thu)14:00
・3000yen.
・全席自由席
https://pandesign.thebase.in/items/60596182
★4月14日に開催予定であった『小川未祐Special Live』の予定を変更し、4月12日14時にコラボレーションライブとして焦点を合わせて行くこととなりました。
4月12日14時~@元映画館 今作で楽曲提供の『湯木慧』と出演中の『小川未祐』による『いつかのっとかむcollaboration Live』を開催。公開ラジオのような2名のライブには珍しいトークショーを挟みながらのライブです! 先着40名 3500円
https://pandesign.thebase.in/items/60849185
■公演情報
【キャスト】
里内伽奈 / 小川未祐 / 高尾美有 / 彩雪 / 板橋廉平 / 櫻井保幸 / 植田恭平 / 土路生優里
【会場】
元映画館
https://www.moto-eigakan.com/
(〒116-0014 東京都荒川区東⽇暮⾥3丁⽬31−18 旭ビル 2F)
JR常磐線「三河島」駅より徒歩5分
JR⼭⼿線「⽇暮⾥」駅より徒歩15分
【タイムスケジュール】
▼2022年4⽉7⽇(⽊) – 17⽇(⽇) ※全14公演
4⽉7⽇(⽊) | 14:00 | 19:00 |
4⽉8⽇(⾦) | 休演日 | ← |
4⽉9⽇(⼟) | 14:00 | 19:00 |
4⽉10⽇(⽇) | 13:00 | 17:00 |
4⽉11⽇(⽉) | 休演日 | ← |
4⽉12⽇(⽕) | - | 19:00 |
4⽉13⽇(⽔) | - | 19:00 |
4⽉14⽇(⽊) | - | 19:00 |
4⽉15⽇(⾦) | - | 19:00 |
4⽉16⽇(⼟) | 14:00 | 19:00 |
4⽉17⽇(⽇) | 13:00 | 17:00 |
※開演時間を過ぎてからのご来場は指定の席にご案内できないことがありますのでご了承ください。
※新型コロナ感染症拡⼤等の影響で公演内容を変更する場合がございます。ご来場直前に公式HPおよびTwitterを必ずご確認ください。
【チケット情報 ※全席指定席】
●前売・当⽇ | 4,000円
▼J-Stage Navi
http://j-stage-i.com
Tel.03-6672-2421(平⽇12:00〜18:00)
▼ローソンチケット(Webのみ)
http://l-tike.com 〈Lコード|33765〉
●Premiumチケット(毎公演限定4枚) | 10,000円
PandemicDesignBASE( https://pandesign.thebase.in/ )
【スタッフ】
作・演出:⽇野祥太
舞台監督:⾓⽥晃⼀
照明/⾳響:DISCOLOR Company
制作:J-Stage Navi
映像:森脇洋平・富⽥喜助
宣伝美術:三宅宇太郎
宣伝スチール:彩雪
宣伝モデル:あわつまい
企画・製作:PandemicDesign
劇中歌:湯⽊慧(TANEtoNERECORDS)
【協⼒】
株式会社エー・チーム /株式会社スタッフ・ワン/株式会社プライム
劇団ひまわり砂岡事務所/balconia株式会社/合同会社ディスカラーカンパニー
⾖庵/澤井克幸/背後東京
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