2024年3月7日、文化庁委託事業「ndjc：若手映画作家育成プロジェクト 2023」合評上映会が開催され、選ばれた4人の監督の短編映画が上映。作品ごとに監督とキャストが登壇し、舞台挨拶を行った。本記事では、『明るいニュース』（城真也監督）を取り上げる。
■ 短編映画『明るいニュース』
校門を乗り越えるには、ちょうどいい理由でした。
作品ストーリー：
ビル清掃員の濱中元は、オフィスの菓子や小銭を盗むなどやりたい放題。案の定仕事をクビになるがこんなことには慣れっこだった。生活保護の申請に出向くも必要書類の多さに萎え、家に沸いたハエを退治しようと包丁を振り回して怪我したり、うまくいかないことばかり。そんなとき病院で出会った看護師の内田靖子に一目惚れして、半ば強引に関係を結ぶ。しかし靖子には別の恋人がいて、彼との間に子どもが出来たとのこと。それを聞いた元は自分の子どもだと信じ込み、嬉々として父に報告するが望んでいた反応は得られず…。
▼上映後舞台挨拶
登壇者は城真也監督と出演者の篠原悠伸、安亜希子、伊藤佳範、宮田佳典の5人で、司会は伊藤さとりが務めた。
監督の城真也は、冒頭で感謝の意を述べた。
城真也監督
本日はお忙しい中、ご来場いただき、そしてご覧くださりありがとうございます。まず、この映画を作るのに様々な人に力を注いでいただいたことに感謝を伝えたいです。
西ケ谷スーパーバイザーを始めとする選考委員の方に選んでいただいて、VIPOの事務局の皆さんにずっと支えていただいて、関係者の皆さんも、脚本指導だったり、絵コンテ指導だったりと支えていただいて、今並んでいる素晴らしいキャストの皆さん、あの全員ではないですが…に出ていただき、プロフェッショナルのスタッフの方にたくさん支えていただききました。
何よりもオフィス・シロウズのプロデューサーの草野江里加さんと、久保田傑さんには、もうずっと若い監督に多くの選択の自由を与えていただいて、映画を作り完成させることができたので、そのことにまず感謝を申し上げたいと思います。
主演の篠原さんは、主演を務めたことはそんなにはなく、最初にきたのはプレッシャーだったことを振り返った。また、主演という真ん中にいることで、まわりのみんなと関われて、物語の全部が観られるという安心感も同時にあったことを明かした。
安さんは自身が役柄と同じ職種であることを明かし、「この映画のお話をいただいたときに、私自身が看護師をやっているので、キャラクターを作っていくときに、監督と一緒に結構話す機会があって、一緒にキャラクターを作っているような感覚があってすごく楽しかった。」と述べました。
伊藤さんは、篠原さん演じる元（げん）の職場の上司・先輩役で、篠原さんと一緒で、強烈なキャラクターであることを述べ、篠原さんがアドリブでガラスを舐めるシーンで、「僕がガラスを舐めたら気持ち悪いですか？」と何度も聞かれたエピソードを明かした。
宮田さんは、「ちょっと愛が行き過ぎた男を演じました宮田佳典です。」とあいつ。罵倒するシーンでは、自身のアイディアが採用されたことを語った。
▼興味があること、テーマとして掘り下げたいことは？
城真也監督
そうっすね。なんか今回に引き付けて言うと、30分の短編の尺で、脚本で構成するっていうのは結構難しく、いろいろ苦労もあったんですけど、ずっと元（げん）は何か生きようとしてる人だなって思っていて、それがすごい自分では気に入っているんですね。
何かそういう事件を起こすような人は多分自分で死のうと死のうっていうエネルギーの方向に突っ走っていってると思うんですけど、それではないなっていう。
やっぱり何か生きようとしてる人を撮りたいなっていうのは思います。
あと、やっぱりさっき世代の話したんですけど、同世代のプロデューサーさんや人間と一緒に映画を作りたいなって思っています。
作品タイトル：明るいニュース
監督氏名：城 真也（JO Masaya）
出演者： 篠原悠伸 安 亜希子 菊川実晴 伊藤佳範 鈴木晋介
スタッフ： 監督・脚本：城 真也
製作総指揮：松谷孝征（VIPO理事長）
製作：特定非営利活動法人映像産業振興機構（VIPO）
プロデューサー：草野江里加 久保田 傑
ラインプロデューサー：齋藤大輔
撮影：飯岡幸子
照明：玉川直人
録音：鈴木健太郎
美術：野中茂樹
編集：鈴木真一
衣裳：江頭三絵
ヘアメイク：有路涼子
スクリプター：松村陽子
助監督：玉澤恭平
制作担当：花山康大
音楽：岩出拓十郎
スチール：柳橋啓子
作家推薦団体：PFF
制作プロダクション：オフィス・シロウズ
上映年・フォーマット・上映時間・コピーライト：2024年／カラー／ビスタ／30分／©2024 VIPO
