映画『The Night Before』を構成する短編『prologue』舞台挨拶。描きたかった「変革・変化」

2023年12月23日（土）、シモキタ-エキマエ-シネマK2にて、短編映画『prologue』に出演する俳優3人、髙橋雄祐（エン役）、平井亜門（マル役）、山田愛奈（マドカ役）と堀井綾香監督の舞台挨拶が行われた。短編『prologue』は、中編『飛べない天使』とともに、映画『The Night Before』を構成する作品。舞台挨拶のMCは松崎まことが務め、本作撮影のキャスティングをはじめとしてトークを展開した。

1. ■ 作品概要・公開情報

▼キャスティングについて

3人のキャスティングについて質問された堀井監督は、「髙橋くんは、私が初めて撮った『dear TOKYO』という短編映画に出演していただいたという縁です」、「この役にポイントがあって、エンはいろいろ背負った役でその映像自体もスタイリッシュな感じなので、すごく合うと思って、お声掛けさせていただきました」と語った。

平井さんと山田さんのキャスティングについては、髙橋さん演じるエンと、平井さん演じるマル、山田さん演じるマドカとの関係性を説明しつつ、エンとの対照的なイメージから、以前から知っているふたりに対して、3人のバランスも考えてお願いしたという。

▼3人がどのようなオファーを受けたか、感じたか

堀井監督からのオファーを受けた時のことを質問された髙橋さんは、送られてきた脚本を読み、面白いと思ったことや、堀井監督からはすぐにレスポンスを返してくれたことを語った。

平井さんは受け取った脚本を読むと内容が難しく哲学的な点にビビったが、知っている衣装の中村もやしさんがいるし、頑張れそうだと思ったと当時の胸の内を明かした。

山田さんは、監督に話を聞くまでは、脚本を読んだだけだと、どんな世界かなっていうの気持ちがあったという。続けて山田さんは、自身が日記を毎日書くようにしていることを話し、その日記を書いてあることを見返すと、「なんでこの日の自分ってこんなに悩んでたんだろう」とか、「すごい楽しそうじゃんこの日」みたいな、その感覚（と同じ）なのかなって勝手にイメージして、すごく楽しそうだなと思ったと語った。

撮影の直前の読み合わせで、堀井監督は3人と、それぞれが疑問に思ってることに対して話をしたという。その翌日には撮影があり、撮影日数も一日だったということが明かされた。

▼マイナスプロモーション

撮影現場での達成感が果たせたことを話した平井さんに対し、髙橋さんは本番で一度もセリフを嚙んだことがなかったが、「亜門くんはちょいちょい…」と、撮影現場を振り返ると、平井さんは慌てて「それ、マイナスプロモーションだから！」とツッコみを返し、会場を笑わせた。

▼短編『prologue』ともうひとつの中編作品『飛べない天使』を観た感想

『prologue』と『飛べない天使』を観た感想について髙橋さんは、編集のリズムを感じ、「堀井監督ってこういう編集をするんだ…」と思ったことを語った。

山田さんは、「監督の作品って受け取り手側の今までの人生に置いて、いろいろな見方や受け取り方・感じ方があるなと個人的には思っている」、「2作品を続けて観ることによって私自身が感じたのは、新たなことに飛び込むときや何かに悩んだりするときって、私だけじゃなくてきっと皆さんも迷ったり、マイナスなイメージを持ったり、あまりプラスではない感情を持つんだろうなって個人的には思っています。」

「それってみんなが経験するというか思うことで怖いけど、きっとそれに飛び込んだらまた違う世界が見えるし、それは良かったんだなってことに後々思うっていう、絵本を読んでるみたいな感じに私はなった」

「それこそさっき言った日記を見返している感じ」、「その後に、“この先こうやってこうやって、でもまた何かぶつかるんだろう、でも、この経験があるから怖いけど、飛び込んでみよう”っていうのに繋がったり、そういう気持ちにさせていただきました」と語った。

▼本作の共通のテーマ「変革」

2作品を撮った流れについて質問された堀井監督は、「決意表明みたいなものが『prologue』としてあって、『飛べない天使』も、コロナの期間に抱えていた思いというか、暗いニュースを耳にしていて、普段の生活でも何か行き詰まってしまう瞬間が誰しも・私にもある」、「それで自分が壊れちゃうぐらいだったら、逃げたっていいじゃんって思っていて、そういう選択肢を観る人に与えてあげられたら、そういう思いを抱えた人に寄り添うことができるのかなってすごく思っている」、「なので、そういったことをテーマにしたいというのもありましたし、『prologue』で“革命”という大それたテーマにしているので、『飛べない天使』では、人の内面で起こるささやかな変化というか、夢の旅を通して、同じ場所に帰ってくるけど、ちょっと世界の見え方が変わってるような、何かそういう変化を描きたいなと思って、去年は撮っていた流れがあります」と答えた。