2023年12月15日(金)より、シモキタ-エキマエ-シネマ K2にて、堀井綾香監督の最新作映画『The Night Before』が公開。本作は、短編『prologue』と中編『飛べない天使』の二部作で構成される。公開初日には、『飛べない天使』でW主演を務める福地桃子と青木柚、そして堀井綾香監督が登壇する。W主演のおふたりと監督に本作出演の経緯や撮影時のエピソードについてうかがいました。
■ 映画『飛べない天使』 福地桃子、青木柚、堀井綾香監督インタビュー
▼堀井監督が福地桃子さんにおくった手紙
堀井綾香監督
福地さんにはその時はまだお会いしたことがなかったんです。 テレビで拝見していて、すごく
気になる女優さんで、今回ぜひお願いしたいと思い、 自分の気持ちがどうしたら一番伝わるか
を考えて、お手紙という手段をとらせていただきました。
-手紙はやはり、手書きで書かれたのでしょうか。
堀井綾香監督
はい、もちろんです。
-福地さんは手紙を受け取っていかがでしたか?
福地桃子
お手紙をいただくことは、好きで嬉しかったですし、 以前自分が出演させていただいた映画を
堀井監督が拝見してくださったり、 撮影が終わった今でも先日上演した舞台を観に来てくださ
ったり、私が取り組んでいることを見守ってくださっていることがとてもありがたいと思って
います。
そして、作品に対しての想いを、 まだ企画の段階から共有させていただいて、 映画作りに参加
するひとりとして、初期の頃から携われることがすごく貴重だしありがたいと思いました。 それが嬉しかったです。
-思いを伝えるという手段として、手書きのお手紙というのはとても伝わりやすいですし、 大
事なことですね。
堀井綾香監督
そうですね。どういう想いでこの映画を作りたいかというものって、お手紙や直筆が伝わりや
すい届きやすいと思ったのもあります。
-どのような内容がお手紙には書かれていたのでしょうか?
福地桃子
先ほどお伝えした、私の出演作品を観てくださっていることや、「今年、撮ろうとしている映
画があって、その映画にぜひ出演していただきたいです」 といった、 なぜこのタイミングだっ
たのかということが、私にとっていろいろな巡り合わせだと感じました。
何でしょうね、 見た人の心がちょっと軽くなるような何かそういうきっかけささやかな変化み
たいなものを見る人に与えられるような、 何か映画を撮りたくて、そこに出演していただけま
せんかっていうような内容になります。
-ありがとうございます。
福地桃子
そうですね、あと堀井さんが、 「聡太郎の役とミニシアターで働いてた時のことと重なるんです」 といった話もありました。
堀井綾香監督
自分にとっての刺激みたいなものというか、映画そのものもそうですけど、やっぱり自分をど
こかに連れて行ってくれるような…。
映画自体を観ることがどこかに連れて行ってくれるような体験だと思うんですけど、そういう
ことを通して…。
ミニシアターでアルバイトしていた経験があるのですが、 そこで出会った人やそこでの出来事
に自分が心を動かされたりとか救われる瞬間があったので、そういうところからも、心が動か
される・救われる内容の映画を撮りたいと思っていました。 それを書き連ねました。
▼青木柚さんオファーの経緯
-青木さんも堀井監督からのオファーとのことですが、オファーに関するエピソードをお話い
ただけますか?
堀井綾香監督
私がメイキングのスタッフとして入っていた映画に青木さんが出演されていました。
そこでの青木さんに対して、お会いする前と後ですごく印象が変わった感じがしました。
「何かを抱えていらっしゃる方なのかしら…」 と思っていたのですが、わりと明るいという
か、人懐っこいように感じたんです。
青木柚
普通だと思いますよ!
堀井綾香監督
現場での立ち振る舞いなのか…どうかはわからなかったのですが、 青木さんのポップな一面を
感じ取れる瞬間があって、そういう青木さんを 「スクリーンでもっと観たい」、 「いつか一緒
にご一緒できたら… と思いました。
『飛べない天使』のストーリーの構想が進み、 聡太郎という役柄が立ち上がってきたときに、
その役を青木さんにぜひお願いできたらと思いました。 聡太郎っていう役はかなり難しい役柄
で、ポップな一面だけじゃなく抱えている想いや、 後半にかけてお芝居や表情をみせていかな
いといけない役どころなので、一緒の現場で拝見していた青木さんにこの役を託したいと思ってオファーさせていただきました。
-青木柚さんって、 『まなみ 100%』 の時期前後から、 出演する作品・役柄が変わった印象を
受けました。
堀井綾香監督
みんなが同時期に思っていたのかもしれませんね。
「もっとこういう青木柚を見たい!」みたいな。
青木柚
自分はベースがずっとネガティブかと言われると、そういうわけではないので、変わったとい
う自覚はあまりないです。 元々、 人と話すのが好きなので、その面が見えてきたのかもしれま
せん。
以前は、仕事と私生活は別物、とどこかで思っていたのですが、それがだんだんと混ざってき
たタイミングだったというのもあるかもしれないです。
▼堀井監督からオファーを受けた時に覚えていること
-ちなみに堀井監督からオファーを受けた際に覚えてることや印象に残っていることはありま
すか?
青木柚
先ほど堀井監督のお話しにあった、 メイキングビデオの撮影を担当されていた現場で「いつか
ご一緒できたら…」 という言葉をいただいて、 「またって言ってくださって嬉しいな」 という
気持ちになりました。
ご一緒した方から、「また一緒にやりましょう」、「どこかでまたやりたいね」 という声をか
けていただくことはあるのですが、タイミングなど様々な理由があって実現することはそんな
に多くなくて。
今回、実際にお話をいただき、純粋に「2年前のお話は本当だったんだ」と思いましたし、堀
井監督の思いの詰まった作品に出演が決まったことが嬉しかったです。
▼堀井監督が抱えていた思い
一堀井監督に質問です。 今回 「人の内面で起こるささやかな変化をテーマとして扱っている」
とのことで、監督自身の「コロナの期間の思いが反映されている」 という話がありました。監
督はどのような思いを抱えていらしたのでしょうか。
堀井綾香監督
コロナの自粛期間にはとても暗いニュースを耳にしましたし、周りも私自身も「自分は世の中
に必要とされていない」 と思ってしまう感覚や、 「この先どうなるんだろう…」 という不安を
感じて、そういったものに押しつぶされそうになっている人の話を耳にしました。
「そこで壊れてしまうくらいだったら、 逃げ出したっていいじゃん」 と思いました。
何かしらの選択肢や最後の切り札みたいなものがあるということを知っているだけで世界の見
え方ってきっと変わってくると思っています。
そういうきっかけを見る人に与えられるような映画を撮りたいと思いました。
▼ご自身が演じた役柄について
-キャストのお2人にうかがいます。 まず福地さんは、 「都会に疲れた女性」 青木柚さん
は、「孤独を抱えた青年」 っていう形でそれぞれご自身が演じた役をどのように捉え、役作り
や芝居の上で心がけたことがあったかについて教えてください。
◆福地さんが演じた優佳について
福地桃子
私は普段東京で生活をしていて、 当たり前にカラダになじんできてしまっているこの感覚や、
一歩どこかに出て誰かと触れ合ったり、 そこではないところに行ったときに、それって気づき
があったりすると思っています。
その感覚が腑に落ちたところで、 東京への疲れっていうところで、 ト書きにとらわれすぎず
に、この2人が触れ合っていく中で、 垣間見えたらいいなと考えました。
台詞に関して、 特に “東京に疲れた…” といった表現はないじゃないですか。
2人の会話の中で、 自由を求めている聡太郎と、その環境にいるのに満足できていない優佳と
の対比の中で見えてくるものがあるんじゃないかなと思ったので、 何かをやろうとしていたわ
けではなかったかなと思っています。
-“都会につかれた…” 云々といったことは口に出していなくて、どちらかというと、“人がいっ
ぱいいるんだけど、私のことを気にしてくれていない”とか、“どこかに行ったとしても、 探し
てくれない”といったところが、 “孤独”という言葉として、 優佳と聡太郎に共通の感覚があるの
かなと思いました。
堀井綾香監督
優佳に対しては、 “迷子” みたいな感覚がありますね。
「自分はどっちに進んだらいいのかわからない」 とか 「日々の生活を繰り返しているけど、 み
んなは目的地があって歩いているけど、 私はどっちに行ったらいいんだろう」 といった感覚と
か、そういった点を意識した部分はあります。
◆青木さんが演じた聡太郎について
-一方、青木さんの方は「孤独を抱えた青年の聡太郎」という役ですがいかがでしょうか?
病院から抜け出してきた冒頭のシーンが印象的ですが、 演じるにあたって心がけたことなど
はいかがでしょうか?
青木柚
そうですね。病院から抜け出したという設定なので、“どれぐらいの身体的限界があるのか“と
いう部分は、演じる時にも意識しましたが、それ以上にこの 「聡太郎」 が物語においてどうい
う存在なのかを考えました。
夢なのか現実なのかという境い目は、観た人に委ねるものだと思うんですけれども、どこかに
連れていってくれる ・ 引っ張っていく牽引力のある突き進む人。 優佳にとって聡太郎がそうだ
ったように、「こういう人がいたらいいのに…」 を体現している青年だなと思ったので、 生命
力たっぷりで演じようと思いました。
-確かに病院から抜け出した半面、 とても元気な感じがあって、さきほどあった身体的限界と
いう考えも頭にうかび、 難しい役に感じました。
堀井綾香監督
“夢”ととらえた場合に、 逆に生き生きしているというか、 自分が普段できないことや人とお喋
りをしたり、“こうありたい自分”を夢の中で体現しているのが聡太郎の姿だと思っています。
病人だけれども、 夢の中では逆転しているというか、 聡太郎の方が優佳よりもむしろ生き生き
して映っていると思います。
福地桃子
確かに出会いのシーンは、現実世界だったら優佳は聡太郎に話しかける勇気を持ってないかも
しれないけど、夢だから最初は気持ちは繋がっていないけど、 気づいたら話しかけていたよう
なことが起きて、“いつの間にかここにいた… ” みたいな感じかもしれません。
堀井綾香監督
ふたりとも、どこか遠くに行きたいと思っていて、 優佳も潜在的にどこかに連れ出してほしい
と思っていると私は考えています。
だから、羽根に思わず手を伸ばすし、 聡太郎の中から飛び出た羽根が優佳を夢の中に連れてい
ってくれたという見方もできると思っています。
優佳も潜在的に思っている行動がきっと出てきたんだろうな… というところが感じられると思
います。
▼眼を閉じると…
-ふたりが眼をとじると眠りにおちる、ふたりがリンクするといった感じがすごく面白いと思
いました。
青木柚
あれは僕も観てびっくりしました。 ああいう感じになるんだ…って。
-撮影時に編集後の結果が分からないこともありますものね。
青木柚
「あぁ、眼を閉じている姿を撮っているなぁ……」 って思っていたけど、びっくりしました。
堀井綾香監督
あんなにアップですからね。
福地桃子
撮影時、何度か夢と現実がごっちゃ混ぜになりましたよね。夢か現実かそこを私たちは意識する必要はあまりなかったのですが、 「あれ?今は夢なんだっけ?」 と、 身につけているものや (シーンの繋がりもあるので、そこがごちゃ混ぜになるといった苦労がありましたね。
青木柚
演じる側はね。
福地桃子
みなさん、大変そうでした。
堀井綾香監督
観ている人もそれ (夢か現実か)を途中で忘れてしまうぐらいがいいかなと思って、「ここは現実です」、「ここは夢です」 といったものはあえてそんなに提示していません。
▼ふたりの温度感
-青木さんのコメントに書かれた “温度感”という言葉がとても印象に残りました。
定食屋のシーンや、観光マップに書き込むシーンのおふたりの様子がすごくいいと思いまし
た。あのシーンについておふたりでつくりあげるための事前のやりとりはあったのでしょう
か。
福地桃子・青木柚
いやもう、まったく(笑)
青木柚
ただ、この短期間ですごくいろいろなお話をしました。 スタッフさんの人数もそんなに多くな
かったので、俳優同士だけではなく、 お話をする機会が多い現場だったんですけど。
福地さんは、僕が持ってないものを持っているなっていうのもあって、どこか
違うけれども、共通した話ができないと言うわけではないというか。 その絶妙な感覚が、 優佳
と聡太郎の関係性とも近いように思えたので、撮影中はお互い気を張ることなく現場に臨めた
と思います。
なので、地図上に絵や文字を描くシーンの時も楽しんでいましたね。
福地桃子
楽しかったです。
堀井綾香監督
あのシーンはかなり長く撮っていましたね。
福地桃子
長く撮っていましたね。 台本には(詳しくは書いて)なくて。
青木柚
あのシーンは撮る予定があったんでしたっけ?
堀井綾香監督
地図に書くあのシーンはあったのですが…
福地桃子
(台本に)セリフは書いていなかったですね。
堀井綾香監督
そうですね。 描写として4行ぐらいで書いてありました。 「優佳が地図に線を伸ばしてい
く…」 みたいな。
青木柚
そうでしたね。
堀井綾香監督
そんなに詳しいところまで書かれてなかったんですけど、 撮影の最終日に撮ったふたりの空気
感が良かったです。
福地桃子
すごくいい流れで、 実際に巡ったところを思い出しながら喋っていたので。
青木柚
あれはいい時間だったなあ…
-魚の絵や似顔絵(?)が良かったですね。
堀井綾香監督
かわいいですよね。
▼印象深い定食屋のシーン
-定食屋でアジフライで、 聡太郎が優佳に対して、口を開けて「あ〜ん」とするシーンはアド
リブですか?
堀井綾香監督
あれは書いてあるかな…。
青木柚
書いてあったかな…
堀井綾香監督
おぼえてない?じゃあアドリブです(笑)
青木柚
アドリブでやるかな…?とは思っていたけど…
堀井綾香監督
“口を開ける”と書いてあったかもしれない….
青木柚
それをどこでやるかっていうのは(はっきりしなかったです。シーンとして)長かったから。
堀井綾香監督
でも、アドリブは結構、 細かいところであると思います。
大体の流れはあるんですけれど、食事をしながらのシーンだったので、そのタイミングはふた
りがやりやすいように空気を作り上げてくださったと思います。
だから、餃子がテーブルに落ちちゃったりとかね。
青木柚
定食屋のシーンでは、福地さんに見守っていただきました。
ーいろいろな料理に手を出していましたよね。
堀井綾香監督
全部レンゲで食べていましたね。 それが食べやすいのかなって思っていました。
青木柚
お米ばっかり食べているんですけどね。
餃子を落としてしまったり、いろいろとハプニングがありました。
福地桃子
でもいいシーンでしたよね。
堀井綾香監督
ずっと観ていられます。 ふたりの気持ちがすごく繋がるシーンというか、 「また今度一緒にご
飯食べようね」 って、それって聡太郎がある種、 ずっとかけられたかった言葉なんだと思って
います。
それを優佳が言ってあげることで聡太郎にとっても、この旅を優佳とする意味がそこで生まれ
たというか、お互いの気持ちが繋がった瞬間なのかなって思っています。
一食事のシーンはいいですよね。 食事のシーンがいいと作品が良くなるって耳にしますし。
堀井綾香監督
いいますよね、確かに。
一料理の数も量もすごかったですね。
堀井綾香監督
あれは実際に、あのお店にあるメニューなんです。
福地桃子
中華料理屋さんなのにメニューがとても豊富。びっくりしました。
堀井綾香監督
オムライスに、カレー、 餃子、 何でもあるんですよね。
ースープも注文した品数だけテーブルにあることにも目が留まりました。
食堂だけでなく、土産物屋の鬼ごっこのシーンもいいですね。
青木柚
鬼ごっこしたね。 走った。
堀井綾香監督
あれはめっちゃリアルでしたね。
▼新しい出会い
-福地さんのコメントに書かれていた 「新しい出会いもあり」という部分についての質問で
す。新しい現場というと、一般的に新しい出会いがあるんじゃないかなと思ったのですが、何
か特別な出会いを感じるものがあったのでしょうか。
福地桃子
今ちょうど話に出ていた中華料理屋さんとか、 伊東での撮影っていうのは1年ちょっとぶりだ
ったんですけど、映画で続けて (同じ撮影地) っていうのも何かのご縁だなと思いました。
前作は海沿いで撮影していたので、静かな広い空間での伊東の街の印象の映画だったんですけ
ど。今回はわりと街にも人を感じるというか。
定食屋さんでは人の姿はないけれど、 作ってくれた人のぬくもりを感じるようなメニューが並
んでいたり、人が繋いでくれたものを、 聡太郎が食べたときに映像としてにじみ出てくるもの
があったから…
堀井綾香監督
そうだね。人は映らないけど料理は出てくるし、海のシーンでは人は映らないけど、船が動い
てるっていう不思議さがね。
福地桃子
登場人物は少ないのですが、 どこかに誰かの存在が出てくるシーンがたくさんあったので。
夢っていうこともあって不思議なことも起きるけれど、でもぬくもりは常に隣にくっついてき
ているものだなと感じました。
▼撮影は年の瀬
-寒い中でずっと動かないシーンがありますが年の瀬に撮影されていたとか。 寒そうだなと思
って見ていました。
青木さんのコメントに「どこかに連れて行ってもらえるような感覚」 というものがありました
が、どういった感覚だったのでしょうか?
堀井綾香監督
上着の袖がなかったもんね。
青木柚
ベストみたいな服装で、 重ねて着こんでましたね。
-頭だけあたたかそうでしたね。
青木柚
これは自分だけなのかもしれないんですけど、 個人的に年の瀬の撮影で、 (年内) 最後の仕事
だったっていうこともあって、 自分がいろいろな役に出会って、いろいろな人と仕事をしてき
た1年が終わる作品が、こういうタイミングで、この土地でっていうのがすごく、 腑に落ちる
というか、「この作品はこのタイミングだったな」 と。
役によっては、すり減らさなきゃいけない瞬間もあったり、 私生活でも悩みは生まれるわけ
で。そういった仕事上や日常でのプラスだけではない感情が重なったところでこういった作品
に携われるのは、ご縁というか。 優佳と聡太郎たちの旅のように、“どこか遠くに連れていっ
てもらったな”という感覚になる撮影でした。
駆け込み乗車…じゃないですけど、 最後 ( 年の瀬に)ガーッてクランクインして、あたたかい
現場で終わるというすごく良い経験だったと思います。
▼お客様へのメッセージ
ー作品をご覧になる方へのメッセージをいただければと思います。
堀井綾香監督
そうですね。
優佳って今の若い人たちを、ある意味体現しているような役だと思っています。
「心が疲れたときに… というわけではないですけど、 どこかに旅をするような気持ちで観て
いただいて、少しでも世界が変わって見えたり、心が前を向くようなきっかけを与えられたら
と思っています。
福地桃子
この映画の中で主人公がひとりになったとき、“洗濯機を回して、それを見つめている”といっ
た場面があるのですが、すごく短いシーンだけれど、ふと自分と向き合ったり、 その反面、 孤独になったりという気持ちになるシーンだったなと感じて共感できたんです。誰かが誰かに寄り添いたいとか、それを言葉にできなかったとしても、こんな風にどこかで手を差し伸べてくれる人と出会う巡り合わせってあるんだなと思えた作品でした。
観てくださった方にも、 自分が気づいていないところで抱えていたものが、少しでも軽くなったらいいなと、届いたらいいなと思います。
青木柚
どんな映画でも、 最初から最後までずっと覚えていることって、 難しいと思うんです。
劇中の登場人物たちが眼をつぶったら、 いろいろなものが見えたりするように、日常で暗い気
持ちになったときに、 思い出す映画というか…
いま、福地さんが言った、 “見つめている、回っている” というものを見て、作品を観てくださ
った方々がご自身と重ねるように、ふと目を閉じたときや、どこかへ行きたいなと思ったとき
に、この映画を思い浮かべてもらえたら嬉しいですし、あの羽根のような存在であればなと
思います。
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■ 作品概要・公開情報
映画『The Night Before』
キャスト:
短編『prologue』髙橋雄祐、平井亜門、山田愛奈
中編『飛べない天使』福地桃子、青木柚、前原瑞樹、さいとうなり
監督・原案・編集:堀井 綾香 脚本:常間地裕
2023/60 分/カラー
SNS: X https://twitter.com/nuiavan_film
2023 年 12 月 15 日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ K2 にて公開