主演二人と監督含めて3兄弟。映画『中村屋酒店の兄弟』先行公開初日舞台挨拶レポート

主演二人と監督含めて3兄弟。映画『中村屋酒店の兄弟』先行公開初日舞台挨拶レポート

3月4日(金)渋谷シネクイントにて、映画『中村屋酒店の兄弟』の先行公開初日舞台挨拶が開催。登壇者は、本作の兄弟を演じた弟役の藤原季節、兄役の長尾卓磨と白磯大知監督の3名。3月18日(金)からの全国公開を前に同劇場で先行公開を迎えた喜び、出演のきっかけ、撮影時のエピソードを語った。
本作は俳優としても活動している白磯大知監督が、役者業の傍ら独学で脚本を書き始めて初監督した作品。徐々に数を減らしている現代の町の酒屋にスポットを当て、兄弟を通じ家族の距離を描いたヒューマンドラマ。
弟の和馬を演じるのは、第42回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第13回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞を受賞し、『his』『佐々木、イン、マイマイン』『のさりの島』『くれなずめ』『空白』など数々の話題作に出演する若手実力派俳優の藤原季節。兄の弘文を『ミセス・ノイズィ』『罪の声』『愛のくだらない』『カム・アンド・ゴー』など幅広い作品に出演している長尾卓磨が演じている。

中村屋酒店の兄弟

映画『中村屋酒店の兄弟』

中村屋酒店の兄弟

Story 
数年前家を出て一人東京で暮らす和馬(藤原季節)は、親が経営していた酒屋を継いだ兄、弘文(長尾卓磨)の元へ帰ってくる。年齢を重ね、変わってしまった母の姿に戸惑いながらも、その時を受け入れ過ごしていく和馬。相手を思うほど、和馬、弘文は少しづつズレていったお 互いの距離を感じていた。

和馬の抱える秘密を知る弘文、それを知る和馬。お互いが前に進むためとった選択には、純粋に相手を思う辛さと難しさがあった。そして、2人は朝を迎える・・・。

藤原 季節(弟・和馬役 )

中村屋酒店の兄弟
藤原季節

1993年生まれ、北海道出身。2014年、映画『人狼ゲーム ビーストサイド』(熊坂出監督)で俳優活動をスタート。主な映画出演作に『ケンとカズ』(小路紘史監督/16年)、『全員死刑』(小林勇貴監督/17年)、『止められるか、俺たちを』(白石和彌監督/18年)、『his』(今泉力哉監督/20年)『佐々木、イン、マイマイン』(内山拓也監督/20年)、主演映画『のさりの島』(山本起也監督/21年)、『くれなずめ』(松居大悟監督/21年)、『空白』(吉田恵輔監督/21年)、『DIVOC-12』(三島有紀子監督/21年)等。待機作に映画『わたし達はおとな』(加藤拓也監督/2022年6月10日(金)公開予定)、ドラマ「WOWOWオリジナルドラマ 神木隆之介 の撮休」第2話「嘘から出た何か」(監督:瀬々敬久/WOWOWプライムにて2022年1月14日(金)よる11:00~)等がある。
第42回ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞、第13回TAMA映画賞 最優秀新進男優賞受賞。

長尾卓磨(兄・弘文役 )

中村屋酒店の兄弟
長尾卓磨

神奈川県出身。塚本晋也監督作品『ヴィタール』(2004)で初めて映画の現場に入る。最近の出演作に『ミセス・ノイズィ』(2020/天野千尋監督)、『罪の声』(2020/土井裕泰監督)、『ヤクザと家族 The Family』(2021/藤井道人監督)、『機械仕掛けの君』(2021/磯村勇斗監督)、『愛のくだらない』(2020/野本梢監督)『カム・アンド・ゴー』(2021/リム・カーワイ監督) 、『信虎』(2021/金子修介監督)等。

白磯大知監督

中村屋酒店の兄弟
白磯大知監督

1996 年 東京都出身。17 歳から俳優活動を開始。役者業の一方独学で脚本を書き始める。『中村屋酒店の兄弟』が初監督作品で、数々の賞を受賞。「第 30 回 東京学生映画祭」グランプリ、「第 2 回 門真国際映画祭」作品賞・最優秀 J:COM 賞、「第 11 回 下北沢映画祭」観客賞。

■映画『中村屋酒店の兄弟』先行公開初日舞台挨拶レポート

▼上映初日を迎えて

MC:松崎まこと
上映初日を迎えての一言をお願いします。

白磯大知監督
本日は劇場までお越しいただき、大変な中ありがとうございます。
この作品は僕が22歳のときに撮った作品なのでもう3年ぐらい前の作品になります。今、この3年間、コロナ禍というものを経て、今ここでこうやって上映ができて、そして全国へ走り出す第一歩がここの劇場のこの日というのが僕はすごく光栄に嬉しく思います。
この映画に皆さんが何かを感じ取っていただけるものがあると幸いです。本日はよろしくお願いします。

中村屋酒店の兄弟
白磯大知監督

藤原季節
藤原季節と申します。今日はどうもありがとうございます。
こんな日が来るとは思っていませんでした。さきほど長尾さんと喋ってたんですけども、こんなかっこいい服着て、人前に立たせていただいたんですけど、撮影中はほとんど私服で登場して、髪の毛も自分たちでセットして作った小さな小さな映画がシネクイントで満席という奇跡。最高です!本当にありがとうございます。

中村屋酒店の兄弟
藤原季節

長尾卓磨
長尾卓磨です。本日はこの夜にありがとうございます。本当に今、季節くんがおっしゃった通りでございます。短い時間ですが、お付き合いいただけたらと思います。よろしくお願いします。

中村屋酒店の兄弟
長尾卓磨

▼これまでを振り替えって、あらためての感想は?

MC
監督に質問です。撮ったときは22歳、学生ですよね。尺的には45分という長い映画ではありませんが、3年経ってここに行き着いて感慨的に改めてどうですか。

白磯大知監督
当時、僕はがむしゃらに脚本を映像化しようとしているだけでした。映画祭で賞を取るとか、この映画館でかけたいとか、そういうことよりもまずはもう目の前の、“まず映画はどうやって作られているんだろう”ということを知るところから始まりました。
そうやってスタートしたものがいろんな方々のお力のおかげで今こうやって、コロナも経て、まだ完全にとはいかないんですけども、劇場で皆さんにお越しいただいて上映できることが不思議というか、今後続けていく中で、僕は何回もこの感覚に立ち返らないといけないなと思います。

中村屋酒店の兄弟

▼オファーを貰った時の感想は?

MC
藤原季節さんに質問です。オファーをもらったときのことを覚えていますか?最初はどんな感じだったんですか。

藤原季節
最初はメールでオファーをいただいて、お断りするということが一度ありました。その後渋谷のカフェで対面して、「やっぱりやらせてください」という経緯があったんです。

MC
なぜ最初は断ったんですか?

藤原季節
僕が未熟だったという一言に尽きますね。
最近、(コロナ禍によって)対面というものが減って、メールとか、SNSのダイレクトメールとかでオファーをいただくことが増えています。
だけど今思い返すと白磯大知くんや、この映画館で初日を迎えた『佐々木、イン、マイマイン』(2020)でも対面で台本を細川岳という人間からもらっていて、対面したことの記憶ってなくならないと思っています。直接印刷した紙を人に手渡しすることって大事なんだなと思いますね。

中村屋酒店の兄弟

MC
そのときに得たインスピレーションみたいなものが、『佐々木、イン、マイマイン』もそうだけども、このへんが当たっていたってことですね。

藤原季節
やはりあのときの細川岳の姿も白磯大知の姿も忘れないし、今はこの映画に参加できたことが自分にとって幸運だったなって思います。

▼3兄弟のような関係

MC
長尾卓磨さんに質問です。季節さんのお兄さんの役を演じられたわけですが、舞台に並んでいると3人兄弟みたいですよね。兄貴分的なところで、8日間の撮影現場でもそういう感じだったんですか?

長尾卓磨
そうですね。3兄弟だねって撮影現場の時から言ってましたね。

白磯大知監督
長尾さんは温かい目で見守ってくれていました。スケジュール的に現場がすごいキリキリしていたんですけど、長尾さんの方を見たら、空中を見ている感じでした。

藤原季節
現場はキリキリしているのに、長尾さんだけがずっとのほほんとしていました。

中村屋酒店の兄弟

MC
空気を和ませている感じなんですね。

長尾卓磨
お酒の力だと思います(笑)
これからご覧いただく酒屋さんは、実際の酒屋さんを使わせていただいたんですけど、花屋さんと一緒で、お酒に囲まれているとなんとなく和やかな心地に僕はなっていたんですけど、みんなは?

中村屋酒店の兄弟

藤原季節
初めて聞きました、そんな現象は。

MC
実際には酒屋さんがまだ営業中に撮っていたんですよね。

白磯大知監督
そうですね。営業中だったので、撮影中たまにお客さんがいらっしゃった瞬間は何回かありました。
「すいません。お騒がせしてます」なんて。

MC
藤原さんは撮影の時の思い出はありますか?印象深かったこととか。

藤原季節
印象深かったことは酒屋さんのご主人とその奥さんと話してる時に、「もう店をたたもうとしているんだ」という
衝撃の事実をなぜか僕が最初に知ったことですね。

MC
そうだったんだ。それは話しやすかったからですか?

藤原季節
僕が店の方にずっと話しかけていて、白磯君に「おい、あの酒屋ってなくなるらしいぞ」って言って、「本当に!?」という感じでした。

MC
監督は全然知らなかったですね。

白磯大知監督
知らなかったですね。

藤原季節
だからご主人が映画のオファーを引き受けたのも、「少しでもこの酒屋の姿が残るといいね」と思ったからだそうなんですよ。

▼本作の見どころとお客様へのメッセージ

MC
お客様に見どころやここを見てほしいというところをお願いします。

長尾卓磨
見どころは…
皆さんそれぞれ…

藤原季節
その通りなんですけれども~、あえて。

長尾卓磨
皆さんそれぞれ親しいご家族であったり、ご友人だったりとか、いらっしゃると思うんですけれど…。
ちょっと…今日、満席の皆さんのお顔を見ていたら泣きそうで、今ちょっとドキドキしています。
皆さんの中の個人的な、皆さんにしかない思い出が、何かのきっかけによみがえる瞬間がこの映画の中にありましたら、幸いだなと思います。

中村屋酒店の兄弟

藤原季節
今、劇場公開に向けた映画の制作が、どんどん中止になっていて、僕も思うところがすごいあるんですけれど、こうやって満席の映画館を観るととっても嬉しいです。
僕は今まで映画館という場所で、自分からは離れた出来事や、離れている人の気持ちを想像したりして、戦争のこと、恋愛のこと、大災害のこと、震災のこと、LGBTQのこと、いじめ、虐待もいろんなことを映画館という場所で、何とか自分に近づけて、観てきたんですけど、この映画ってやっぱり家族の映画。『中村屋酒店の兄弟』って家族の映画だなと思っています。
この映画を観て、僕はそういえば家族の誰かと2人っきりで、サシでゆっくりお酒飲んだことなんて、まともになかったなあと思うんですよね。そんなことできるのかなとか思うんですけど。
せっかく今日、来ていただいたので、何か自分のそばに、この物語を引き寄せて近づけて楽しんでもらえたらと思います。もっとたくさんいろんな今を切り取る映画が誕生することを本当に願ってます。
恐れずに、諦めずに、今までと同じ暮らしを続けていくことも、抵抗の一つなのかなって僕は思います。今日は本当に来ていただきありがとうございました。

中村屋酒店の兄弟

白磯大知監督
作品の内容は季節くんから伝えていただきました。
今回の上映はラジオドラマから始まるんですけれども、ドラマなので、画面に映像が映らないです。
最初に文字が入って真っ暗の状態からラジオドラマで始まります。
ラジオドラマの中で皆さんの中で音を聞きながらな、それなら目をつぶってもいいかなって思うぐらいな、映画館にしたらすごい贅沢な使い方をしてしまっているんですけれども、その何からいろんな想像を巡らせていただいて、本編に入るという上映の形を今回は取らせていただいてます。それも新しい体験として楽しんでいただけたらなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

中村屋酒店の兄弟
中村屋酒店の兄弟
2階席のお客様を見上げる白磯大知監督、藤原季節さん、長尾卓磨さん

■作品情報

映画『中村屋酒店の兄弟』

▼キャスト、スタッフ
藤原季節 長尾卓磨 藤城長子
橘 美緒 千葉 龍都 新井 秀吾 高橋 良浩 中村元江 磯崎信浩 磯崎教子

監督・脚本:白磯大知

撮影:光岡兵庫 撮影助手:山田弘樹 録音:小笹竜馬 照明:岩渕隆斗、小松慎吉
照明助手:森本悠太、斎藤愛斗
制作:徳平弘一、長野隆太、光岡兵庫、樋井明日香、白磯大知 編集:キルゾ伊東、白磯大知
音楽:総理(響心soundorchestra)「とある兄弟」
ロケ地協力:中村屋酒店、清水宅
スピンオフラジオドラマ著作・制作:TBSラジオ 配給:パルコ
2019年|カラー|55分|©『中村屋酒店の兄弟』

公式サイト 
https://nakamurayasaketennokyoudai.com/

Twitter公式アカウント 
https://twitter.com/nakamurakyoudai

2022年 3月4日(金)より渋谷シネクイントにてレイトショー先行公開
3月18日(金)より全国順次公開

中村屋酒店の兄弟
中村屋酒店の兄弟

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