長年に渡り映画やドラマの撮影現場で愛され、映像業界に知らぬ者はいないというほど定番化している伝説のお弁当屋さん「ポパイ」にフォーカスした異色のドキュメンタリー『映画の朝ごはん』が、11月10日(金)よりキネカ大森、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中。今回、映画界史上初となる「ポパイ”のお弁当付き上映」開催が決定。
■ 映画『映画の朝ごはん』
映画に写らないものの、すべて
《映画》をつくっているのは誰? 監督、脚本家、プロデューサー、カメラマンや、演技する俳優たち。いや、それだけじゃない。チームの力がものをいう映画づくりの現場には、縁の下の力持ちと呼ぶべき大勢のスタッフたちがいる。そして彼らを突き動かすのは、仕事へのプライド? 映画への愛情? もちろんそれもあるだろう。しかし絶対に欠かせないものがある。食事だ!
『映画の朝ごはん』は、映像業界に知らぬ者のいない伝説のお弁当屋さん「ポパイ」にフォーカスした異色のドキュメンタリー。おにぎり二個、おかず一品と沢庵。そんな超シンプルなお弁当は、ロケ撮影の定番の朝ごはんとして熱烈な支持者を持つ。そして現場を円滑に進めるべくあらゆる雑事をこなす「制作部」の面々は、日々「ポパイ」に発注し、さらには昼ごはんと晩ごはんを手配しながら、ときに混沌とする撮影現場に活力をもたらしてきた。
本作は、もっともプリミティブな原動力=食に携わる人びとの奮闘を通じて、観客を普段目にすることのない《ものづくり》の最前線に連れ出してくれる。時代とともに変わる業界の姿、突然襲ったコロナ禍の影響。しかし現場では日々ごはんを食べ、最高のシーンを撮ろうとそれぞれの持ち場で全力を尽くす、その営みは続いていく。
日本映画史の貴重な裏話や、食べることへの並々ならぬこだわりについて証言するのは、黒沢清、樋口真嗣、瀬々敬久、山下敦弘、沖田修一ら第一線の現役監督と、映画に人生を捧げてきたスタッフたち。そこにはスクリーンには写らない、なんとも微笑ましく、映画の見方すら変えてくれる大きな物語が広がっている。
▼【映画界史上初】11/18(土)、11/19(日) 『映画の朝ごはん』“ポパイ”のお弁当付き上映開催決定!
映画界史上初の試みも実施決定!伝説のお弁当屋さん“ポパイ”のおにぎり弁当の入場者プレゼントが2日間限定で決定。
実際におにぎり弁当を召し上がりながら映画を鑑賞いただけます。『映画の朝ごはん』の世界をより深く感じてください。
【日時】
11/18(土)、11/19(日) 『映画の朝ごはん』10:00 の回
※お弁当を召し上がっていただくため、上映中場内は明るめの調光となります。
※お弁当はご入場時にお渡しいたします。
【会場】
キネカ大森 3 号館
【料金】
一般料金
※各種割引、株主ご優待券、各種ご鑑賞券利用不可。
【販売スケジュール】
■オンラインチケット予約
2 日前の 0:00~上映開始の 20 分前まで販売
※お電話でのご予約は承っておりません。
※オンラインチケット予約販売はクレジットカード決済のみとなります。
※オンラインチケット予約をご利用のお客様は、予約完了メールの画面提示、もしくはメール内容が印刷された用紙のご提示でご入場いただけます。
※上映開始直前は混雑が予想されます。予約チケットの発券が必要なお客様は、お早目に発券をお済ませください。
※上映開始までに発券が間に合わなかった場合でも一切の補償はいたしかねますので予めご了承ください。
■劇場窓口
2 日前の劇場オープンより販売開始
※チケットの窓口販売は、当日最終上映回の開始時間までとなります。
※オンラインチケット予約で完売となった場合は窓口での販売はございません。
【注意事項】
◆場内にてお弁当を召し上がっていただくことができる上映となります。
◆通常上映に比べて、お客様同士の食事音が発生する可能性がございます。
◆お弁当を召し上がっていただくため、上映中の場内は明るめの調光となります。
◆おにぎりの具材は、作品公式 X での具材人気投票で選ばれた 4 種とさせて頂きます。
◆おかずは、唐揚げとさせて頂きます。
◆缶茶のセット提供はございません。DRINK は劇場売店でお買い求め下さい。
◆いかなる事情が生じましても、ご購入後の変更や払い戻しはできません。
◆規定枚数に達し次第、販売終了となります。
◆転売・転用を目的としたご購入は、固くお断りいたします。
【お問い合わせ】
キネカ大森:03-3762-6000
■ 公開記念トークイベント オフィシャルレポート
映画業界内で話題沸騰中の『映画の朝ごはん』の公開記念トークイベントが 11 月 14 日(火)に行われた。メガホンをとった志子田勇監督と、本作に出演もしている瀬々敬久監督をゲストに迎え、本作の裏話などをたっぷり語っていただいた。
会場でお客さんと一緒に上映を観ていた本作監督の志子田勇と、本作に出演しポパイについての証言も語った瀬々敬久監督が登壇し、トークイベントが行われた。
アフタートークが初めてという志子田は早速、撮影を振り返り「2022 年 12 月 6 日に初めてポパイに撮影に行ったんですが、(サッカーワールドカップの)日本対クロアチア戦の日だったので、道中みんな TV に夢中で人気(ひとけ)がないんです。街が静止したかのように真っ暗でコンビニのルート配達のトラックがぽつぽつと明かりがあったり、そこに人の気配があって、ポパイも社会の裏側というか、誰かを支えている人たちの存在なのかなって思って。そういう映画を作りたいと思いました」と撮影当時の思いを告げた。
瀬々より「志子田君は映画のメイキングをやっている。よくメイキングスタッフとして参加してくれた優秀な人だなと思ってみていたんですが」と前置きをし「感じる映画になっていたのが良かった。映画のスタッフの一人なので渦中にいる人で映画を撮るとなると、分析的になったり、引いた目で見たりとかなかなかできないと思うんで、そこが最後、「感じてください」って終わらせ方になっていたのがすごく良かったです」と感想を述べた。
瀬々が志子田に「そもそもなんでこの映画撮ろうと思ったの?」と質問すると「緊急事態宣言の時に映画の現場も止まったじゃないですか。映画の現場も止まって、ホテルとかお店も廃業していったからポパイもこのままなくなってしまうのは嫌だな…記録して撮っておかないといけないんじゃないかと思って撮りました」と経緯を明かした。
瀬々は志子田の性格に関して「志子田君ってチャートっぽくをするのが好きだよね?これも 3 部構成になっていて最後は時間で朝ごはんで、映画のタイトルなんだけど(本編中の)言葉も「制作進行」が「生活進行」になっていたり、整理整頓してから作っていくタイプかなと最初は思いきや、後半はそういうことはどうでもいいのか?と変わっている気がするんだけど、それはどうですか?」と志子田に聞くと、「本当は整理整頓したくないんです。チャート式とか章立てとかすると見やすくなるけど、ドキュメンタリーって見やすいものじゃないと思うから。この作品は映画とポパイって 2 軸だったので、整理してこっち側とこっち側って序盤は分けて整理したけれど、本当は整理したくなくて終盤はないまぜにしました。観にくいメイキング映像のようなものは皆さん観たくないと思うので…」と語ると瀬々も「おっしゃる通りです!」と即答し、ふたりで苦笑した。
「ポパイ好きなの?」と唐突に瀬々が志子田に質問すると、一瞬の間があり会場から笑いが起こるも「まぁ…好きです。すじこが大好きで。ただ好きな人はもっとすごいので」とコメント。一方の瀬々は、実は食にはあまり興味がなく、特に撮影中は昼休憩が来てもサッと食べてすぐに現場に戻ろうとしてしまうと自身の現場での姿を明かした。
さらに瀬々は「観ているとポパイの人たちの人生にグッとくるんだよ。お父さんがいなくて、お母さんと息子で一緒に仕事しているとかグッとくるんだよ。ああやって人生を見せられると映画を作るのはたいしたことないって思うけど、ポパイの人たち、朝ごはん、“食”ってところにきれいなものっていうか、希望っていうか、美しいものを託したような…そこはどうですか?制作部の竹山君の方はしんどいわけじゃないですか?」と本作がそれぞれフォーカスしたおにぎり弁当ポパイの現場と、制作進行の竹山俊太朗が軸となっている制作現場の違いについて質問すると、志子田は「ポパイも夜中の 12 時とかから始まって昼の 12 時とかになることもあるようなので、もしかしたら映画の現場より大変かもしれない。急な発注もあったりとか…。きれいなものという意識よりは、とにかく美味しそうに撮りたかったんです」とポパイへの気持ちを明かした。
本作が初メガホンとなった志子田に「おもいっきりやれたなって気はあるでしょ?」と瀬々から質問され、「あります。だから切れなくて。愛情を持っちゃうんで、最初は(本編が)5 時間あって、そこから 2 時間 10 分にして。でも劇場で観ると冷静になって、今日観た印象だともう少し切れるところがあったかな。ここの編集点こっちだったかもって観ちゃったので」と志子田が話すと、瀬々から「じゃあ、切るか?明日は編集して上映したらどう?DCP?!?じゃあ
無理だな」と返し、会場に笑いを誘った。瀬々はさらに「映画を作るって人様に迷惑かけてつくるってことですよ。未払いでセット代払わずにとんずらしたこともあるし」と若かりし頃の撮影現場事情を暴露し、さらに会場を笑わせた。
志子田から「この下でビラ巻いているんですよ。人の手と手のやり取りって伝わるんだなって。この映画の中でもそうですけど人の手での作業ってこんなに伝わるんだって、この映画を通してそういうことも伝わればいいなって」と胸の内を明かし、最後に「ポパイは今年で 40 年。40 年の歴史が映画制作者の手に渡って、それで(制作者が)食べ続けて映画っていうのは作られてきたんだなっていう、そうした時間の中の一端を(本作は)拾わせていただいただけにすぎになくて。監督という立場で橋渡し役というか、これを観ていただいて、ほかの見ていないお客さんにも
(本作とポパイを)伝えていっていただけたら良いなと思います。」とイベントを締めくくった。
■ 作品紹介
映画『映画の朝ごはん』
●ストーリー
見た感じはごくシンプルなのに、ある種の中毒性をもって映画スタッフや俳優たちに熱狂的に愛され続けているのが、40 年近く続く老舗お弁当屋さん「ポパイ」のおにぎり弁当。数多くのケータリング業者がしのぎを削っている中で、なぜ「ポパイ」はロケ弁当の代名詞のような存在になったのか。
東京都練馬区にお店を構えるポパイは、先代社長が東映大泉撮影所に知り合いがいたことから弁当を卸すようになり、いまでは映画やテレビ番組のロケ隊に朝ごはんを届けるために、毎日深夜 0 時からごはんを炊いて、少数精鋭で手作りのお弁当を作っている。そして配送車に積まれた弁当の大半は、ロケ隊の集合場所である早朝 5 時の新宿へと運ばれていく。
とある現場でロケ弁当の采配をしているのは、制作部に入ったばかりの若者、竹山俊太朗。脚本家を夢見て、助監督として働いていたが、いまは制作進行として撮影隊の世話に奔走している。そんな半人前の竹山に目をかけているベテランの制作部スタッフ守田健二は、人生の大半を過ごした映画の世界から身を引く日がくるという、終わりの気配を感じていた。
それぞれが仕事に託す想いと、限られた時間。そして次の世代へと継承されていく映画の未来。撮影現場スタッフやポパイの従業員たち、それぞれの人間模様から、映画制作の知られざる一面が見えてくる――。
★キャスト・スタッフ
竹山俊太朗 守田健二 福田智穂 鈴木直樹
磯見俊裕 大山晃一郎 沖田修一 黒沢 清 下田淳行 瀬々敬久
内藤剛志 野呂慎治 樋口真嗣 藤井 勇 山下敦弘
ナレーション:小泉今日子
監督・企画・撮影・編集:志子田 勇
音楽:yojik と wanda
製作:由里敬三 プロデューサー:飯塚信弘 録音:百々保之 整音:松本理沙
撮影協力:芦澤明子(J.S.C)ポスター絵画:伊藤ゲン 制作統括:阿部浩二
制作協力:MOM&DAVID 2023 年/DCP/131 分/ドキュメンタリー
助成: AFF2 ©ジャンゴフィルム
配給: 彩プロ
宣伝協力: ブラウニー
公式サイト eiganoasagohan.com
公式 X(Twitter) @eiganoasagohan
映画『映画の朝ごはん』
キネカ大森、シネスイッチ銀座 他 全国順次公開中