新鋭・⼩辻陽平の⻑編監督デビュー作『曖昧な楽園』11/18⼟ ポレポレ東中野ほか全国順次公開決定

新鋭・⼩辻陽平の⻑編監督デビュー作『曖昧な楽園』11/18⼟ ポレポレ東中野ほか全国順次公開決定

第 36 回東京国際映画祭コンペティション部⾨正式出品された、新鋭・⼩辻陽平監督による⻑編デビュー作『曖昧な楽園』。映画祭でのワールドプレミアを⽬前に控えるこの度、2023 年 11 ⽉ 18 ⽇(⼟)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開が決定。劇場公開決定の⼀報に合わせ、ポスタービジュアルと場⾯スチール(7点)解禁。諏訪敦彦(映画監督)、月永理絵(ライター、編集者)、やまだないと(漫画家)、髙橋泉(脚本家)、小川あん(俳優)、仙頭武則(映画プロデューサー)、小原治(ポレポレ東中野)からの絶賛コメントが到着。

曖昧な楽園

■ 映画『曖昧な楽園』

『曖昧な楽園』は、新鋭・⼩辻陽平による⻑編監督デビュー作。交通量調査員をしながら、同居する母の介助をする達也と、宇宙基地のような巨大団地に住む植物状態の老人を世話するクラゲ―――決して交わることのない、⽣と死をめぐる2つの物語を、SF 映画のような独特の雰囲気で映し出す 167 分のロードムービー。

「曖昧で不確かな瞬間をこそ映したい」という監督の信念のもと、脚本作りから演出まで、「即興」を重視した手法が採用され、監督と俳優たちはつねに対話を重ねながら物語を構築していきました。初⻑編監督作にして、いきなりの国際映画祭選出を成し遂げた⼩辻。受賞の⾏⽅に期待が集まっている。

▼あらすじ

交通量調査員として働く達也(奥津裕也)は、身体の不自由になってきた母(矢島康美)と、一軒家で二人暮らしをしている。夜毎、母からのトイレを報せる呼び出しブザーが鳴り、日常的な介助に応じている達也。行き交う人々の数をかぞえて記録するばかりの仕事にも、カプセルホテルで過ごす夜にも、どこにも居場所を見出せずにいる。クラゲ(リー正敏)は、顔見知りだった独居老人(トム・キラン)の部屋へ毎日のように通い、植物状態の老人の世話をしている。だが、老人の住む団地は老朽化によりもうすぐ取り壊されようとしていた。ある日、久しぶりに再会した幼馴染の雨(内藤春)を老人の部屋に案内するクラゲ。ささやかな交流を深めていくなかで、団地の取り壊し期日は迫っていく。やがてクラゲと雨は、老人を連れてバンで旅に出るが……。それぞれの抱える家族についてたどる旅の物語。

▼ワールドプレミアは、東京国際映画祭にて

『曖昧な楽園』は、10 ⽉ 23 ⽇より開幕する第 36 回東京国際映画祭コンペティション部⾨でワ
ールドプレミアとなり、上映は、26 ⽇(⽊)20:10〜TOHO シネマズ⽇⽐⾕ スクリーン 12、28 ⽇(⼟)20:05〜ヒューマントラストシネマ有楽町、31 ⽇(⽕)16:35〜丸の内ピカデリー2の 3 回にわたり上映。26、31 ⽇には監督、キャストによる舞台挨拶と Q&A を実施する。

▼場面スチール(7点)

▼コメント

諏訪敦彦(映画監督)
あなたがカメラの前に立ってくれて、私がそれを撮影する。あなたが映画のなかに存在することの感動。他には何もいらない。ただそれだけで奇跡的なことなんだ…。映画を撮っていてそう思えた瞬間があったことを思い出した。物語ることよりも大切な瞬間がある。死んでいることと生きていることの隙間を彷徨う者たちの静止したような時間が重ねられる中で、映画は彼らが「存在すること」と出逢おうとする。交通量調査をする達也にとって無為な時間に堆積する母親の抑圧が感情に点火する瞬間が訪れるが、雨とクラゲの場合、発火する感情もないまま死に接近し、生きているものと死にゆくものとの存在の差を測定するように彼岸への道行きを開始する。彼らは孤独であり、世界と断絶した闇の中にいるのかもしれないが、『曖昧な楽園』は希望を捨てない。映画=カメラはそれが誰であれそこに写る者を決して否定しない奇跡的な装置であることをこの映画がよく知っているからだと思う。この果敢な挑戦を讃えたい。

月永理絵(ライター、編集者)
時が止まったような巨大な団地。足元でかすかに点滅する光。車が行き交う灰色の道路。まるで遠い星のどこかを映したような無機質さにまず引き込まれた。そしてそこを行き交う人々はみなぼんやりと輪郭を失っていて、なるほどこれは SF 映画なのだと確信したが、その確信は間違いだったかもしれない。でもたしかにここに映るのは、どこかには存在するがどこにも存在しない場所であり、私はその曖昧さに惹かれたのだ。

やまだないと(漫画家)
現実を生きる為の非現実。哀しみのない世界を夢みて悲しみを受け入れる。


髙橋泉(脚本家)
⽣きていない⽣。死んでいない死。その曖昧な時間が⾒事に紡がれる。
時折り⻘く燃え上がり、⾳を⽴ててパチパチと弾ける。送り⽕を⾒守っている時のように、気持ちが澄んでいく。
好みを超えて⾷らってしまった。


小川あん(俳優)
実体を掴もうとするほど、するすると零れ落ちていく。思いを口にすると、自分の言葉じゃなくなってしまう。
そんな時、内に残るのは“曖昧”な感覚。私は一生この感覚から逃れられないでいる。けれど、この映画はそんな“曖昧”が溶けていく。溶けて、音を立てず静かに消えていく。情緒の流れるところに。

仙頭武則(映画プロデューサー)
『曖昧な楽園』には映画づくりに対する真摯な姿勢が映っている。それは、小辻陽平の日々を生きる姿。

小原治(ポレポレ東中野)
生も死も、交わらない 2 つの物語も、翳りの中でスペクトラムに関わり合っている。
ショットの一つ一つ、その一秒一秒が、目の前からはぐれてしまった世界との関わりを取り戻そうとするかのように。
そこに映画の呼吸が生まれている。
全 10,063 秒。こんな呼吸を共にするために映画館の暗闇がある。
『曖昧な楽園』を映画館で味わってほしい。


■ 作品概要

映画『曖昧な楽園』

2023 年/カラー/167 分

奥津裕也 リー正敏 矢島康美 内藤春 トムキラン

高橋信二朗 竹下かおり 文ノ綾 新井秀幸 三森麻美

監督・脚本:小辻陽平
撮影:寺西涼
照明:西野正浩
録音:中島光、太田達成、高橋信二朗
美術:猪狩裕子、石倉研史郎、山崎綾乃、藤村嘉忠
編集:小辻彩
整音:飯田太志
制作協力:サウンドブリックス
音楽:Osier(LuckGun)
主題歌:アカリノート『星の駱駝 曖昧な楽園Ver』
宣伝デザイン:ウタリトリ(濱本順由、岩瀬直美、佐藤若菜)
製作・配給:曖昧な楽園製作委員会

『曖昧な楽園』公式サイト https://aimainarakuen.studio.site
『曖昧な楽園』公式 X アカウント https://twitter.com/aimainarakuen

2023年 11 ⽉18⽇(⼟)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

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