9月1日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷で、映画『緑のざわめき』の初日舞台挨拶が行われ、主演の松井玲奈、その異母姉妹役の岡崎紗絵、倉島颯良、そして、夏都愛未監督が登壇。キャスト同士の印象、作品作りのエピソードを語った。
■ 映画『緑のざわめき』初日舞台挨拶
『緑のざわめき』は、第18 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門に正式出品された、福岡、佐賀を舞台に、3人の異母姉妹が織りなす物語を描いた作品。新鋭・夏都愛未監督(『浜辺のゲーム』)が、大江健三郎や中上健次の文學にインスパイアされ、葉脈と血の繋がり、ファミリーツリー、性と聖の繋がりをテーマに描くオリジナル作品。3 人の異母姉妹に、元カレ、女子会メンバーらが交わり、物語は思いもよらない方向へと進んでいく…
▼本作はオリジナル作品。なにをテーマに描いたか
本作がなにをテーマに描いたか質問された夏都愛未監督は、「この作品は、1枚の葉っぱには葉脈があって、そこからそれぞれ家族・血の繋がりや人間関係が広がっていく模様を一つの映画に作った作品です。」と答えた。
夏都監督は、大江健三郎や中上健次の文学にインスパイアされた部分があるという。俳優として活躍、小説家としても注目を集める松井玲奈を主演に抜擢した理由をたずねられた夏都監督は、「松井玲奈さんはご自身で小説も書いていらっしゃるので、こういった複雑な作品なのですが、そういった心の難しい動きにも寄り添ってくださると思って今回オファーしました。」と松井さんを主演にした理由を説明した。
▼最初は4時間分にも及ぶ脚本
松井さんのもとには、はじめに4時間分にもおよぶ脚本が届いたという。当時の感想を松井さんは、「すごく分厚かったです。ロード・オブ・ザ・リングかと思いました。」と、その脚本のことを説明した観客を笑わせた。
最初に脚本を読んだ時の感想について松井さんは、「それだけ夏都さんが描きたいものがここに詰まってるんだなと思って、もうただその情熱を感じながらページをめくっていました。」と振り返った。
▼初めて会った時に感じたもの
岡崎さんに初めて会った時に松井さんは、響子をストーキングする異母妹の菜穂子を感じたという。松井さんは岡崎さんと会ってすぐの頃に、「松井さんのこと、もっと教えてください!」と岡崎さんに言われ、「ガツガツしてる!菜穂子がいる!私を知ろうとしてくれてる!」と、その印象を明かした。
「(私って)大丈夫でしたか?」と不安げにたずねる岡崎さんに対し、松井さんは「大丈夫です。それがすごく嬉しくて、コミュニケーションもとりやすかったですし、お芝居にも反映できた気がして、すごく楽しかったです。」と笑顔で返答した。
▼『名探偵コナン』の話題で…
倉島さんは、松井さんと『名探偵コナン』の話で緊張が和らいだという。その理由について倉島さんは「私、『名探偵コナン』の映画で一言だけ声優のお仕事をさせていただいたことがあったんです。」、「撮影の序盤で、松井さんとロケバスで一緒になることがあって、緊張していたんですけど、松井さんが『名探偵コナン』の話を振ってくださったんです。」と経緯を説明。
すると、松井さんは「『名探偵コナン 異次元の狙撃手(2014年)』に出ていたってWikipediaに書いてあるんだけど、どこに出てたの?』って、コナン好きなので聞いちゃったんです。」と、当時のことを明かした。
倉島さんは「それで私はすごく緊張がほぐれました。やっぱり年齢がちょっと離れているところがあるので、距離が縮まった瞬間だったなと思います。」と笑顔で返した。
▼松井さんが倉島さんにプロだと感じたこと
松井さんは、菜穂子と同じく響子の異母妹の杏奈役を演じた倉島さんに、プロだなと思うことがあったという。その出来事を松井さんは、「二人で撮影しているときに、倉島さんの顔と言うかまぶたに、大きな虫がとまったんです。でも、芝居をやめないんです。」と説明し、「倉島さんもすごいと思ったし、カットをかけない監督もすごいと思いました。」、「カットがかかるまで、ずっと我慢してお芝居を続けて、その集中力が本当に素晴らしいなと思います。」と感想を述べた。
▼メッセージ
夏都愛未監督
この映画はほとんど言ってしまうと男性があんまり出てこなくて、女性たちが繰り広げる物語なんですけれども、特に社会的な“MeToo”みたいなテーマがあるわけでもなくて、でも女性たちが手を取り合って、何か壁を壊して次のステージに行こうとしてる姿を見ていただいて、性差によって障壁の生まれない社会の実現に繋がるといいなと思って作りました。
松井玲奈
この作品は人と人との繋がりを得られた作品になっていると思います。今から見ていただく作品の中で私達3人がどのように関わり合っていくのか、そして一つ一つのシーンでそれぞれがどんな思いでいるのかをぜひ考えながら見ていただけたら嬉しいなと思います。
■ 作品概要
『緑のざわめき』
あらすじ
過去の痴漢被害のトラウマを抱えて生きてきた響子(松井玲奈)は、病を機に女優を辞め、東京から生まれ
故郷のある九州に移住しようと福岡にやってきて、元カレの宗太郎(草川直弥)と再会する。
異母姉の響子と繋がりたいと、彼女をストーカーする菜穂子(岡崎紗絵)は、異母姉妹ということは隠
し、響子と知り合いに。
施設に預けられていて、8 年前から佐賀県嬉野で叔母の芙美子(黒沢あすか)と暮らす高校 3 年生の杏奈(倉島颯良)は、自分宛の手紙を勝手に読んだ叔母に不信感を募らせていた。「まずは話してみませんか?」という支援センターの広告を見て、身元もわからない菜穂子からの電話に、悩みを打ち明け始める。同じ頃、杏奈に思いを寄せる透(林裕太)は、杏奈とうまくいくよう、集落の長老・コガ爺(カトウシンスケ)に相談しに行っていた…
就職活動がうまくいかない中、 地元・嬉野に戻り、親友の保奈美(松林うらら)に就職の相談をする響子は、ひょんなことから自分と杏奈が異母姉妹ということを知ってしまう。菜穂子は、宗太郎に恋焦がれる絵里(川添野愛)等いつもの女子会メンバーとの旅先を嬉野に決め…
松井玲奈 岡崎紗絵 倉島颯良
草川直弥(ONE N’ ONLY) 川添野愛 松林うらら 林裕太
カトウシンスケ 黒沢あすか
監督・脚本:夏都愛未
プロデューサー:杉山晴香 / 江守徹
撮影:村松良 照明:加藤大輝 音楽:渡辺雄司
配給:S・D・P 製作:「緑のざわめき」製作委員会
2023 年/日本/カラー/4:3/Stereo/115 分 ©Saga Saga Film Partners
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
公式サイト:https://midorinozawameki.com/
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9 月 1 日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開