映画『釜石ラーメン物語』東京上映初日舞台挨拶。「頑張って喧嘩に勝ってやるぞ」

映画『釜石ラーメン物語』東京上映初日舞台挨拶。「頑張って喧嘩に勝ってやるぞ」

2023年7月8日(土)、新宿K’s Cinemaにて、映画『釜石ラーメン物語』が東京での上映初日を迎えた。上映初日には舞台挨拶が行われ、主演の井桁弘恵、妹役の池田朱那、父親役の利重剛、今関あきよし監督が登壇。映画初主演にオファーされた時の感想や撮影時のエピソード、釜石弁についてトークを展開した。

釜石ラーメン物語

■ 映画『釜石ラーメン物語』 東京上映初日舞台挨拶

▼公開を迎えての感想

-3年ぶりに突如、実家のラーメン屋に戻り、波乱を巻き起こす主人公・正実を演じた井桁弘恵さん、お願いいたします。

井桁弘恵
正実を演じさせていただきました井桁弘恵です。
本日はお集まりいただきありがとうございます。短い間ですがよろしくお願いいたします。

-そんな正実とぶつかりつつも、2人でお母さんの残したラーメンの味に迫ろうとする妹・仲良を演じた池田朱那さん、お願いいたします。

池田朱那
仲良役を演じさせていただきました池田朱那です。
今日はチケットが販売されてからわずか約5分で完売したと聞いて、こんなに楽しみにしてくださっている方がいて、すごく嬉しいなと思いました。今日は短い時間ではありますが、楽しい時間を過ごしたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

-そして、そんな喧嘩の絶えない姉妹の父親役、剛を演じた利重剛さん、お願いいたします。

利重剛
父親を演じました、利重剛です。いいですね、やっぱり満杯の劇場は。
いろいろある映画の中から、これを選んでくださって本当にありがとうございます。
よろしくお願いします。

今関あきよし監督
ちなみに「おだつな、ふたつけっぞ!」ってあれなんなんですかね。

利重剛
なんでいまその質問なんですか?

今関あきよし監督
わかんないでしょ地元はいいけど、東京じゃ。

利重剛
「おだつな」ってわかんないですかね?
「ふたつけっぞ」っていうと、「叩くぞ」ということですね。
「おだつな」は、「調子に乗んな!」みたいなことですね、訳すとそんな感じのことですかね。

-利重さんありがとうございました。それでは監督、お願いします。

今関あきよし監督
監督役を演じました今関あきよしです(笑)
よろしくお願いします。
去年の桜が咲く頃に撮影をして、現地の釜石では桜の咲く頃に上映をして、やっとこうして東京・新宿で上映ができる。もう本当に感無量です。皆さん楽しんでいただけたでしょうか?

あと、ハリウッドでの上映も決まりましたので、ご報告です。ありがとうございます。今英語字幕をつけております。

釜石ラーメン物語

▼今関監督への質問。本作撮影のきっかけは?

-岩手県釜石市のご当地ラーメンであるこの釜石ラーメンを題材に映画を撮ろうと思ったきっかけっていうのは何だったんでしょうか?

今関あきよし監督
2014年に初めて僕が釜石に行って、まだ震災の傷跡が残ってたんですけれども。「この街を元気にできる映画を撮ってもらえないか、撮れたらいいな」といった地元の話をききまして、そこからですね。
すぐにラーメンの話というのは思いつかなくて、なんだかんだ7年、8年かかって。スタッフと一緒に、何気なく食べていたラーメンが釜石ラーメンだったんですね。
「あれ、もしかしたらこのラーメンで撮れるかもしれない。むこうのソウルフード釜石の意識して食べるっていうというよりも、もういつものように食べているラーメン。これを題材に映画にできないかと思いついて、今に至るという感じです。
あと井桁弘恵ちゃんに無理やり出演をお願いして…

井桁弘恵
そんな無理やりだなんてことはないですよ(汗)

今関あきよし監督
ぜひ出てほしいって言って、もう井桁さんなくしてこの映画はないので。

井桁弘恵
ありがとうございます!

▼オファーを受けた井桁さんの感想

-そんな井桁さんは、本作映画初主演ですが、監督にオファーを受けたときの気持ちを教えていただけますか?

井桁弘恵
やっぱりこの仕事をする上で映画の主演を「いつかやりたい・やらせていただけたらいいな」って思っていたので、それがこういう形で叶うとは思っておりませんでした。
監督とはこの作品の前に撮られていた作品のオーディションでお会いしたという縁もあって、その監督が私を選んでくださったことがすごく嬉しくて、監督がたくさん温められてきた作品の主演をやらせていただくということで不安もあったんですけど、それ以上に嬉しい気持ちでいっぱいでした。

釜石ラーメン物語

▼主人公・正実とご自身を比較して

-正実という役はマイペースなお騒がせ姉貴という役柄でしたけれども、ご自身と比較して、共通する似ているところ、また似ていないところはありますか?

井桁弘恵
私はあまりお騒がせしないですよ、普通は(笑)
あそこまで声を荒げたりはしないんですけども。
でも、酔っ払ってるシーンがちょこちょこあったと思うのですが、お酒好きなところは似てるなと思います。
海宝漬を食べながらお酒を飲むシーンはすごく幸せでしたね。
そういうところは似ているのかなと思います。

-逆に似てないところは?

井桁弘恵
基本的にはあんな感じではないですし、私も姉妹なんですけど私は妹の方なので、今回演じさせていただいたのは姉だったんでそういうところもちょっと違う部分ではありました。

釜石ラーメン物語

▼井桁さん演じる正実の妹・仲良を演じた池田さんの想い出のシーン

-そんな井桁さん演じる正実の妹を演じた池田さんは、正実との川を挟んでのシーンが印象的でした。

今関あきよし監督
大変だったね川のシーンは。思ったりよも距離感があって、すごい遠いんですよ。ぜひ釜石に行って小川川(こがわがわ)を見に行ってほしいんですけど。

池田朱那
本当にだから川のシーンは台本を読んだときから「これは大変だろうな…」っていうのは想像がついていたので、釜石に撮影に行く前に、東京の方でリハーサルを行わせていただいて、そこで準備していったんですけど。思っていた倍(の距離)はあったんですよ。
だからまず、「おねえちゃんの声が届かなかったら会話にならないぞ」っていうところから始まったんです。
(実際は)ギリギリ、意外と届きました。
むしろ声を上げることによって感情もその分乗ってきたので、すごくいいシーンになったんじゃないかなと思いました。

釜石ラーメン物語

-井桁さんはいかがですか、川のシーンは。

井桁弘恵
いやあ大変でしたね。でもやっぱりそこがすごく重要なシーンになることは台本を読んでもわかっていましたし、お互いに、正実としても負けたくないし、演じる上でも負けたくないみたいに、お互いに、「頑張って喧嘩に勝ってやるぞ」みたいな気持ちがすごく出ていたので、私は演じていてすごく達成感があるシーンでもありましたし、あそこまで感情が乗ったからこそ、その後にお父さんが倒れたときのショックというか、そこの気持ちもすごく乗ったので、演じている側としてすごく楽しいシーンでした。演っているときは大変だったんですけど。

▼釜石弁

-そんな喧嘩の絶えない2人…

今関あきよし監督
お父さんは大胆に倒れましたよね。

-利重さんの釜石弁も素晴らしかったですが、いかがでしたか撮影は?

利重剛
釜石弁、難しかったです。
イントネーションは難しくないんですけど、同じ釜石の中でも地域によって微妙に違うんです、言葉が。

-撮影の前に、ちょっと早めに入られたそうですね。

利重剛
いつも早く町になじもうと思って入るんですけど、今回、(台詞を)思いっきり方言にしちゃうと全然よくわかんなくなっちゃうし、町の人と話してると皆さん、標準語に近い喋り方をしているので、「それはそれでちょっとだけ足そうか…」みたいな、その塩梅が難しかったですね。
方言自体が難しいというより、どのぐらいでやるのかが難しかった。

釜石ラーメン物語

-利重さん・お父さんの釜石弁は見事だったと思うんですけど、井桁さんと池田さん、若い子はちょっと違った釜石弁(の扱い方)があったと思うんですけれども、利重さんの釜石弁に引っ張られてしまうことはなかったですか。

井桁弘恵
なんかもう馴染み過ぎているというか…

釜石ラーメン物語

利重剛
でも2人とも興奮したときは釜石弁が出るみたいなところを注意して作っていたので、それはかなり上手でしたね。

井桁弘恵
嬉しい~

池田朱那
喧嘩のときは、濁点がね、濁点をすごく意識して。
でも、あの実際に釜石に住んでらっしゃる方、同世代の方にも話を聞いても、標準語に近いので。
私もどれぐらい入れたらいいかわからなかったんですけど、利重さんに引っ張られたのかわかんないですけど、別に意識してないんだけど私も田舎育ちなので、濁点が自然でした。
別に意識したわけじゃないですけど、方言の先生に、「あれ良かったよ」って言われたのが嬉しかったです。

釜石ラーメン物語

▼今関あきよし監督からひとこと

今関あきよし監督
現場であまり話していなかったけど、僕はお2人に思っていることがあって。 僕は監督だけど頼りないので、正実とかキャラクターに関して脚本はあるけど、まだ見えてない中で撮影もしていて、「もうおまかせしよう」と思っていました。
井桁くんが、「あ、やっぱり正実だ」と思ったシーンがいくつかあって。

まず、花を投げるシーン。 僕はお母さんが海にいるみたいなニュアンスでしゃがんで投げたらどうかっていったんですけど、井桁さんは、「いや、正実だったらもうそこじゃなくて、むしろ、ホッて投げた方がいいんじゃないか」って言ってくれたんです。そのことと、あと、利重さんと2人で港で並んで、利重・お父さんはちゃんと拝むけれど、正実は拝まなかったじゃないですか。あれも僕、脚本では拝むんじゃないかなって思ったの。

そうしたら… 「あ、そっかそうだよな」って。
そこで結構ね泣きそうになっていました僕。
すごく良かったです。

池田くんもカメラに映ってないのに厨房で芝居をするんですよね。
あれもすごく、もう現地の人って感じで嬉しかった。ふっと見るとね、カメラは向こうにあるのに、厨房の中で芝居をちゃんとしてるんですよね。
本当に2人とも役者として完全に成立してるなっていう、まさに本当にその瞬間を僕は見たようで、そう思います。

▼井桁さんからメッセージ

ー井桁さんから一言お願いいたします。

井桁弘恵
本日は本当にお越しいただきありがとうございました。この作品は釜石の街の豊かさだったり、釜石の街の方の優しさにたくさん助けられて完成した作品なので、釜石市の方にたくさん見ていただきたいのはもちろんなんですけども、この作品を通して全国の方に、この釜石の魅力だったり、釜石ラーメンの美味しさだったり、それを通じて、私達が演じさせていただいた家族の繋がりとか、街の方との繋がりとかそういう小さな幸せみたいなところにたくさんの方に気づいていただけたらなと思って作品の制作に携わらせていただきました。
これから全国の上映に向けてたくさん動いていくと思うんですけれども、たくさんの方に届くように、ぜひアメリカでも、全国、世界中に、この作品が届くように、今日来ていただいた皆さんにも、これからこの作品を愛していただけたらなと思います。行ったことがない方は、ぜひ釜石に一度足を運んでいただいて、釜石ラーメンも食べていただけたらなと思います。
本日は誠にありがとうございました。

釜石ラーメン物語
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釜石ラーメン物語

■作品概要
映画『釜石ラーメン物語』
井桁弘恵 池田朱那 利重剛 渡辺哲 大島葉子 岡村洋一 木月あかり 厚木拓郎 関口アナン 佐々
木琉 山崎将也 森湖己波 長田涼子 椿かおり 島本和人 佐伯日菜子 村上弘明
Staff 脚本・監督:今関あきよし プロデューサー:伊藤直克 脚本:いしかわ彰 撮影:三本木久城
録音・音響効果:丹雄二 美術:Yacco 編集:鈴木理 音楽:遠藤浩二 助監督:土田準平 制作進行
:井口光徳 主題歌「ひかり射し込む場所」洸美-hiromi協賛:新潟商事 釜石はまゆり会 協力:釜石
市 制作協力:寿々福堂 ©「釜石ラーメン物語」製作委員会 2022/日本/カラー/16:9/85分

公式サイト http://kamaishi-ramen.jp/index.html

公式Twitter https://twitter.com/kamaishiramen

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